ハイキュー
夢主設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その後の決勝戦も勢いに乗って勝利し、ついに迎えた春高本戦。
勝ち上がってきた烏野高校との試合、最近なんとなく覚えたスコアを、手汗を滲ませながら書き記していった。
稲荷崎高校バレー部は春高全国3位、インターハイでは準優勝を勝ち取ったチーム。部員達はやる気に満ち溢れていて、北くんだってチームの調子がいいって言ってた。
落ちた烏と呼ばれていると監督が教えてくれたが、前日勝ち上がってきただけあって烏野高校も調子は悪くなかった。ど素人のあたしが遠目から見て分かることは、誰よりも背が小さいオレンジの10番と、セッターの9番の息が宮兄弟くらいぴったりで、大耳くんと同じくらいの背の高い11番が角名くんと張るくらいブロックが上手で。上げればキリがないけど、きっと今日も勝てると思っていた。吹奏楽部の応援が凄い後押しになってるのも感じたし、先生だって途中まで「流れは悪くない」って言ってたのに。
3セット目のデュースで、あたしの指先は震え始めた。このセットで負けたら3年生は引退。その事実をやっと自覚している。
何故だろう、とても辛い。彼らが引退していくのが悲しいのもあるけれど、多分バレーをして輝く彼らを見るのが好きだったのかもしれない。もう彼らのサポートをすることが出来ない。
あぁ、1点とった。
あっ、またデュース。
そんな一喜一憂を繰り返して、アドバンテージを烏野高校がとった。嫌だ、このまま終わるなんて。もう1点とってくれ、と手を組み心の底から願う。
侑と治の速攻が繰り出された。しかし烏野の10番と9番にブロックされてこちら側にボールが飛んでくる。銀島くんが追いかけるけど、そのボールはコート内に落ちた。
ゾワッと鳥肌が立つ。
「(うそ、負けた。稲荷崎が負けた)」
あたしの指からシャーペンが落ちた。
観客席から喜ぶ声が響いて、選手達が抱き合っていて、でもあたし達は呆然としている。
負けるなんて思ってなかった。涙がじわりじわり浮いてきて、唇を噛み締める。
選手達がベンチに帰ってきて、監督が立ち上がった。釣られてあたしも立ったまま監督の話を聞くけど、全く頭に入ってこない。
ついに頬に水滴が流れる感触があって、手で顔を覆った。
「なんで小津が泣いとんねん」
「う、ごめっん」
「...まあマネージャーも泣いた事やし、お前らがそんだけ凄かったんや。もうええから観客席に挨拶してこい」
「うぅ...ひっく、」
「小津、半年間ありがとな。お前がおってくれて助かったわ」
「か、監゙督゙ぅぅ」
「ははっ泣きすぎや」
監督からの労いの言葉で涙腺は崩壊した。
あたしだっていっぱい監督に感謝してるのに。今は言えないから後で言おう。
暫くして皆が戻ってくる。袖で目元を拭って、スポドリを手渡していった。
「お前、誰よりも泣いとるな」
「俺の涙引っ込んだで」
「だって、ほんまに感動したから...みんなおづがれ゙...」
また視界が滲んできた。部員達が笑って、アランくんや大耳くんや赤木くんが慰めてくれる。
北くんが、「最後までマネージャーしてくれてありがとう」と肩をポンポンしてきて、再び涙腺が崩壊した。
「あたしだって、続けてよ゙がっだよ゙ぅ」
あれ、こんなに涙もろかったっけ。
☆☆☆
やっと涙も引っ込んで、皆バスへ移動し始めた。
今まで浮かない顔をしてた侑と治が北さんと喋って泣いていたが、双子も泣くんだなーと素通りする。
先にアランくんや角名くんと歩いて建物の出口に差し掛かった時、「歌音」と腕を掴まれた。
「うわっ、何?」
「か、帰り学校までオカンが迎えに来るって、お前も送ってく言うとる」
「ほんま?おばさんに甘えて乗らせてもらうわ」
息を切らせて走ってきたのは治だった。ちょっと目が潤んでいる。あれ?別に今急いで来なくても良かったんじゃないの?てか顔近くなかった?まあ急いだ後って距離感分からなくなるよね。知らんけど。
割とどうでもいい疑問が浮かぶが、治は角名くんとぴゃーっと歩いていって姿は見えなくなる。
それにしても人が多いので荷物がぶつかりまくった。まだ隣にいたアランくんに少し荷物を持って貰う。
そういえば1人になるなって北くんが言ってたから彼を拘束するのに丁度良いのかもしれない。
勝ち上がってきた烏野高校との試合、最近なんとなく覚えたスコアを、手汗を滲ませながら書き記していった。
稲荷崎高校バレー部は春高全国3位、インターハイでは準優勝を勝ち取ったチーム。部員達はやる気に満ち溢れていて、北くんだってチームの調子がいいって言ってた。
落ちた烏と呼ばれていると監督が教えてくれたが、前日勝ち上がってきただけあって烏野高校も調子は悪くなかった。ど素人のあたしが遠目から見て分かることは、誰よりも背が小さいオレンジの10番と、セッターの9番の息が宮兄弟くらいぴったりで、大耳くんと同じくらいの背の高い11番が角名くんと張るくらいブロックが上手で。上げればキリがないけど、きっと今日も勝てると思っていた。吹奏楽部の応援が凄い後押しになってるのも感じたし、先生だって途中まで「流れは悪くない」って言ってたのに。
3セット目のデュースで、あたしの指先は震え始めた。このセットで負けたら3年生は引退。その事実をやっと自覚している。
何故だろう、とても辛い。彼らが引退していくのが悲しいのもあるけれど、多分バレーをして輝く彼らを見るのが好きだったのかもしれない。もう彼らのサポートをすることが出来ない。
あぁ、1点とった。
あっ、またデュース。
そんな一喜一憂を繰り返して、アドバンテージを烏野高校がとった。嫌だ、このまま終わるなんて。もう1点とってくれ、と手を組み心の底から願う。
侑と治の速攻が繰り出された。しかし烏野の10番と9番にブロックされてこちら側にボールが飛んでくる。銀島くんが追いかけるけど、そのボールはコート内に落ちた。
ゾワッと鳥肌が立つ。
「(うそ、負けた。稲荷崎が負けた)」
あたしの指からシャーペンが落ちた。
観客席から喜ぶ声が響いて、選手達が抱き合っていて、でもあたし達は呆然としている。
負けるなんて思ってなかった。涙がじわりじわり浮いてきて、唇を噛み締める。
選手達がベンチに帰ってきて、監督が立ち上がった。釣られてあたしも立ったまま監督の話を聞くけど、全く頭に入ってこない。
ついに頬に水滴が流れる感触があって、手で顔を覆った。
「なんで小津が泣いとんねん」
「う、ごめっん」
「...まあマネージャーも泣いた事やし、お前らがそんだけ凄かったんや。もうええから観客席に挨拶してこい」
「うぅ...ひっく、」
「小津、半年間ありがとな。お前がおってくれて助かったわ」
「か、監゙督゙ぅぅ」
「ははっ泣きすぎや」
監督からの労いの言葉で涙腺は崩壊した。
あたしだっていっぱい監督に感謝してるのに。今は言えないから後で言おう。
暫くして皆が戻ってくる。袖で目元を拭って、スポドリを手渡していった。
「お前、誰よりも泣いとるな」
「俺の涙引っ込んだで」
「だって、ほんまに感動したから...みんなおづがれ゙...」
また視界が滲んできた。部員達が笑って、アランくんや大耳くんや赤木くんが慰めてくれる。
北くんが、「最後までマネージャーしてくれてありがとう」と肩をポンポンしてきて、再び涙腺が崩壊した。
「あたしだって、続けてよ゙がっだよ゙ぅ」
あれ、こんなに涙もろかったっけ。
☆☆☆
やっと涙も引っ込んで、皆バスへ移動し始めた。
今まで浮かない顔をしてた侑と治が北さんと喋って泣いていたが、双子も泣くんだなーと素通りする。
先にアランくんや角名くんと歩いて建物の出口に差し掛かった時、「歌音」と腕を掴まれた。
「うわっ、何?」
「か、帰り学校までオカンが迎えに来るって、お前も送ってく言うとる」
「ほんま?おばさんに甘えて乗らせてもらうわ」
息を切らせて走ってきたのは治だった。ちょっと目が潤んでいる。あれ?別に今急いで来なくても良かったんじゃないの?てか顔近くなかった?まあ急いだ後って距離感分からなくなるよね。知らんけど。
割とどうでもいい疑問が浮かぶが、治は角名くんとぴゃーっと歩いていって姿は見えなくなる。
それにしても人が多いので荷物がぶつかりまくった。まだ隣にいたアランくんに少し荷物を持って貰う。
そういえば1人になるなって北くんが言ってたから彼を拘束するのに丁度良いのかもしれない。
7/7ページ