ハイキュー
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熱気とボールが舞う体育館、滴る汗、揺れるユニフォーム。
「っっしゃあ!」
「ラァ!!」
春高予選、兵庫県トーナメントの準決勝戦で、宮兄弟の雄叫びが響いた。
負けたら3年生は引退。そんなプレッシャーも露知らず、相変わらずこの2人は暴れている。あたしの顔面にぶち当てた侑のスパイクサーブも更にレベルアップして、サービスエース先制しまくりだった。
「今回もストレート勝ちですね」
「ああ。調子ええな」
間もなくマッチポイント。そろそろこのセットは終わるだろう。
すると、監督が思い出したように、あっと声を漏らした。
「観覧席にあの紙袋忘れてしもたんやけど、俺手離せんから代わりに取ってきてくれへん?」
「あ、いいですよ」
☆☆☆
「稲高のマネージャーよな?」
観覧席へ監督の忘れ物を取りに来ていたあたしの後ろから声がかかる。
「エ?」と間抜けな声を出して振り返ると、両耳に沢山ピアスがくっついていて髪の毛が明るく、黒のピチピチスウェットを履いた如何にもな男性がいた。
「かわええやん!なあなあ、インスタかLINE教えてや。お兄さんと仲良くなろ」
「え、え?いや、」
「ダメ?」
ニコッと人あたりの良さそうな笑顔。あ、こいつ慣れてやがる。
「あ〜、そういうのはちょっと...」
「えーなんで?」
なんでってそりゃ...。いやあたしに説明する義務はないだろって自分にツッコミを入れる。こんなことしてる場合じゃない。
その後も粘られて、なんだかうんざりしてきた。この状況から早く逃げたいのだが
いつの間にか細い通路の退路を塞がれて動けなくなっていた。1歩下がると男の人も近づいてくる。
怖い、どうすればええんやコレ。
「...何してるんですか」
男性の後ろから覇気のない声が振りかけられた。
ジャージを着た角名くんが立っている。彼が見えなくなるくらい間近に男性はいたらしい。
角名くんは遥かに身長が高く、見下ろすだけで相当な威圧感があった。
「行きますよ」
男性がちょっと隙を見せた間に、手首を掴んだ勢いでグイッと引き寄せられ、前にたたらを踏む。
角名くんはいつ関わってもテンションが低くて何を考えているのか分からない。例に漏れず今回も。
そもそもなぜ彼があの現場に居合わせたのだろうか。
手を引っ張られる力が強い。早歩きだけど歩幅は合わせてくれている。
振り返ると、男性は舌打ちしながらあたし達と反対方向へ歩き出していた。
「す、角名くんありがとう」
「いえ」
「センパイ」
「は、はい、」
「1人になるなら侑とか呼んでください」
「あ、うん。ごめん」
階段に差し掛かった時、いつの間にか手は離されていた。
☆☆☆
「お前トイレ行ったんちゃうんか?なんで歌音と来んねん」
「...ナンパされとったでセンパイ」
「エッ!!?!?」
「ハッ!?!?!」
「なんや、エラい遅かったな」
先生の忘れた荷物を届けると、北くんにそう尋ねられた。
少し離れた宮兄弟から、悲鳴みたいなでっかい声が聞こえる。
「あー、...多分ナンパ?されてた...?」
「は?角名と一緒におってか?」
「いや、角名くんは途中で助けてくれてん」
「ほーん。...やっぱアカンかったわ」
「...なにが?」
「バレー目当てじゃ無さそうな変な奴おるなとは思っとったけど、ノーマークはアカンかった。こっからは1人になる前に言え。俺でもアイツらでもええから」
「ハイ...」
とっても鋭い瞳。あたしは結構苦手だった。
それに、ちょっとでも渋ったらぐうの音も出ない正論で論破されるに違いない。
大人しく頷いた。
「ツム機嫌悪ない?」
「そんな事あらへん」
「フッフ」
「何笑てんねん」
「お前分かりやすいなあ」
「っっしゃあ!」
「ラァ!!」
春高予選、兵庫県トーナメントの準決勝戦で、宮兄弟の雄叫びが響いた。
負けたら3年生は引退。そんなプレッシャーも露知らず、相変わらずこの2人は暴れている。あたしの顔面にぶち当てた侑のスパイクサーブも更にレベルアップして、サービスエース先制しまくりだった。
「今回もストレート勝ちですね」
「ああ。調子ええな」
間もなくマッチポイント。そろそろこのセットは終わるだろう。
すると、監督が思い出したように、あっと声を漏らした。
「観覧席にあの紙袋忘れてしもたんやけど、俺手離せんから代わりに取ってきてくれへん?」
「あ、いいですよ」
☆☆☆
「稲高のマネージャーよな?」
観覧席へ監督の忘れ物を取りに来ていたあたしの後ろから声がかかる。
「エ?」と間抜けな声を出して振り返ると、両耳に沢山ピアスがくっついていて髪の毛が明るく、黒のピチピチスウェットを履いた如何にもな男性がいた。
「かわええやん!なあなあ、インスタかLINE教えてや。お兄さんと仲良くなろ」
「え、え?いや、」
「ダメ?」
ニコッと人あたりの良さそうな笑顔。あ、こいつ慣れてやがる。
「あ〜、そういうのはちょっと...」
「えーなんで?」
なんでってそりゃ...。いやあたしに説明する義務はないだろって自分にツッコミを入れる。こんなことしてる場合じゃない。
その後も粘られて、なんだかうんざりしてきた。この状況から早く逃げたいのだが
いつの間にか細い通路の退路を塞がれて動けなくなっていた。1歩下がると男の人も近づいてくる。
怖い、どうすればええんやコレ。
「...何してるんですか」
男性の後ろから覇気のない声が振りかけられた。
ジャージを着た角名くんが立っている。彼が見えなくなるくらい間近に男性はいたらしい。
角名くんは遥かに身長が高く、見下ろすだけで相当な威圧感があった。
「行きますよ」
男性がちょっと隙を見せた間に、手首を掴んだ勢いでグイッと引き寄せられ、前にたたらを踏む。
角名くんはいつ関わってもテンションが低くて何を考えているのか分からない。例に漏れず今回も。
そもそもなぜ彼があの現場に居合わせたのだろうか。
手を引っ張られる力が強い。早歩きだけど歩幅は合わせてくれている。
振り返ると、男性は舌打ちしながらあたし達と反対方向へ歩き出していた。
「す、角名くんありがとう」
「いえ」
「センパイ」
「は、はい、」
「1人になるなら侑とか呼んでください」
「あ、うん。ごめん」
階段に差し掛かった時、いつの間にか手は離されていた。
☆☆☆
「お前トイレ行ったんちゃうんか?なんで歌音と来んねん」
「...ナンパされとったでセンパイ」
「エッ!!?!?」
「ハッ!?!?!」
「なんや、エラい遅かったな」
先生の忘れた荷物を届けると、北くんにそう尋ねられた。
少し離れた宮兄弟から、悲鳴みたいなでっかい声が聞こえる。
「あー、...多分ナンパ?されてた...?」
「は?角名と一緒におってか?」
「いや、角名くんは途中で助けてくれてん」
「ほーん。...やっぱアカンかったわ」
「...なにが?」
「バレー目当てじゃ無さそうな変な奴おるなとは思っとったけど、ノーマークはアカンかった。こっからは1人になる前に言え。俺でもアイツらでもええから」
「ハイ...」
とっても鋭い瞳。あたしは結構苦手だった。
それに、ちょっとでも渋ったらぐうの音も出ない正論で論破されるに違いない。
大人しく頷いた。
「ツム機嫌悪ない?」
「そんな事あらへん」
「フッフ」
「何笑てんねん」
「お前分かりやすいなあ」