「残さず食えや！アフリカのガキんちょ共は食いたくても食えへんのやぞ！」
「アホ！そいつらも腹いっぱいになったら残すわ！」


またある日の1日練。
昼食を残した侑に治がブチ切れた。母親自家製弁当の後に「これはきついわ〜、コンビニ弁当重っ」みたいなことを侑が言っていた気がする。
治は「弁当あんのにコンビニのガッツリ系買うとかありえへん」、どうやら残すのが気に食わないらしい。
持って帰る帰らんの言い合いから、また別の話にもつれ込んで取っ組み合いの喧嘩になっていた。


「ダァホ！」
「なんやカスコラァ！」



「小津先輩、あれ止められませんか？」

「あ、角名くん。嫌や、止め方わからん」

「お、北さん来はったからやっぱ良いです」

「何なん...」


「...お前らええ加減にせえや」

怖っ。
当事者でないあたしでも背筋がヒヤッとした。
毎度のことながら、怒った北くんが真顔なのも声が低くなるのも、全てが恐ろしい。
そういえば侑が口の端を切っていたはず。その場からそそくさと離れて、救急箱片手に宮兄弟の説教が終わるのを待った。



「喧嘩見るなんて2ヶ月ぶり」

「イタッもっと優しくして」

「コイツら小津先輩がおらん時に限ってよう喧嘩しとりますよ」

「ホント？元気やなぁ。治は？大丈夫？」

「おん」

「今日は治の方が3発多かったな」

あぁ、だから侑の方が怪我しとんのか。
近くにやってきた銀島くんや角名くんが普段の様子を教えてくれる。アランくんは双子の喧嘩を冷静に分析していた様で、「飯食った後やったから2人とも動きが鈍い」と謎の感想。

なんだそれ。


「なんか違うだろ...とも言いきれないか」

「お、ぺこぱか？俺銀シャリ好きやで。イタッ」