呪術廻戦
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地下の瓦礫の山からやっと這い上がって外に出た頃、黒い人影2つが空中に浮いていた。1つは蹴り飛ばされて建物にめり込んでいる。多分蹴ったのは宿儺で蹴られたのは制服と髪型からして恵ちゃんだとわかった。
いくら恵ちゃんとはいえ、1年生が特級呪霊と一対一で戦ってるなんて信じられない。宿儺からすれば私たちは赤子同然な訳で、現世に蘇った彼が指何本分だろうがあまり変わらないと思うし、その上虎杖くんのフィジカル面もある訳で、でも私がどうにか出来るとも思えないから取り敢えず駆け付けるまでは恵ちゃんが無事であることを祈るしかなかった。
彼が落ちた場所目掛けて走るが何せ遠い。
もう砂埃も上がらなくなって戦闘は終わったのだと嫌でも理解する。
雲が分厚く黒くて雨が降ってきそうだ。
ああ!!いた!
「恵ちゃん!!」
「...歌音」
座り込む彼はキズだらけで、宿儺との惨状が伺える。その足元には半裸の虎杖くんが倒れていて、彼を中心に血の海が出来ていた。
私は頭の処理が追いつかない。呆然とそれを見るが、情報が多すぎた。
「...なにこれ?」
「虎杖が...死んだ」
地面にうつ伏せる虎杖くんを見ながら恵ちゃんはそう言う。
慌てて虎杖くんに触れるが、生きている人間にしてはぬるい。思わず手を引っこめた。
さっきまで私に触れていた宿儺...虎杖くんの大きくて温かかった手は地に落ちたままで、本当に彼が動かなくなったことがじわじわ恐ろしくなってくる。
...というか目の前で虎杖くんが倒れたのなら心のダメージが私の比じゃないだろうに、今の恵ちゃんは伏せ目で感情が感じられなかった。
まだ私達は出会って日は浅いけど分かる、絶対感情を隠しているのだ。
男の人のことはよく分からないけど、弱さを見せたくないから?プライド?
虎杖くんがこうなったことは私も悲しいけど、正直処理が追いついていないし虎杖くんをどうすればいいか分からない。
まだ生きている恵ちゃんを優先しようと決心した。
「...伊地知さんの車が外にあったから行こう」
「いや、お前はまず伊地知さんに現状を報告して来い。虎杖は俺達だけじゃ運べねぇから人手が必要だ」
私よりも恵ちゃんの方が冷静だった。
伊地知さんの車まで走って、窓を開けてもらう。粗方説明すると、彼は渋い顔をしてトランクからシートを出して「では伏黒くんの元へ向かいましょう」と一緒に走り出した。
再び恵ちゃんを見つけるが、先程よりも辛いのか身体を動かす気配がない。あれだけ宿儺の攻撃を受ければしんどいのは仕方ないだろう。
「私は虎杖くんを運びますので小津さんは伏黒くんをお願いします」
「はいっ!」
もう意識があるのかも分からない恵ちゃんの腕を肩に回して立ち上がった。重いけどいける。
怪我をひとつもしていないのが私だけなのは何だか情けないが、こうして人の役に立ったから良かったかもしれない。
虎杖くんが死ねば宿儺も死ぬって五条先生が言ってたけど、一体指何本分の宿儺が消えたのだろうか。任務に出る前は2本食ったって言ってたし、さっきの特級呪霊からも宿儺が回収していたかもしれない。恐らく3本分か。
車に大分近づいてきたところで恵ちゃんが身じろぐ。やっぱりさっきは気絶していたようだ。
「...悪ぃ、...」
か細い声で恵ちゃんは呟いた。
多くを語らない彼が珍しく喋るのを聞けば、宿儺が虎杖くんの心臓を捨てて彼の体を人質にしたらしい。恵ちゃんと宿儺が対峙するが
、最終的に虎杖くんが戻ってきてしまった事で亡くなったそうなのだ。
「任務で仲間を失ったのは初めてじゃないが未来ある同級生が死ぬのは堪えるな。アイツ、死ぬ直前に呪いを残していきやがった」
そう言って自嘲じみた笑みを浮かべる。後部座席に彼を乗せた。
再び伊地知さんの元へ向かい虎杖くんを運ぶのを手伝う。亡くなった人は重い。彼とはもっと仲良くなれたんだろうなぁとぼんやり考える。
途中心臓らしい臓器が捨ててあった。あれを宿儺がやったのだろう。車に虎杖くんを乗せて恵ちゃんの隣に座った。彼の意識はまた無くなっている。怪我はしているが見た感じ大事には至って無さそうなので安堵のため息をついた。野薔薇は無事だろうか。虎杖くんのこともどうしよう。
「あの...小津さん、首どうされたんですか?」
ふと伊地知さんに声をかけられて彼の方を見る。ルームミラー越しに目が合った。
あ、そういえば!!制服の襟を持ち上げる。
「...はは、えっと...はは」
ただただ笑って誤魔化す。誤魔化しきれてないけど。スマホのインカメで見てみると赤紫で歯型がくっきり付いていた。くそこれどうすんだ。
「い、伊地知さん、反転術式って内出血も治せるんですかね?」
「さぁどうでしょう...。家入さんに聞いてみて下さい」
帰りの車内は普通に気まずかった。だってこれ...ただのキスマだよね。派遣された殆どの生徒が怪我してたり最悪な状況なのに、ただのキスマって...。恥ずかしいが硝子先生に聞いてみよう。
☆☆☆
「おやおや」
「違うんです宿儺に...」
取り敢えず鬱血痕を見せると彼女の口角が片方上がった。粗方説明すると「治せるが宿儺の器の件の後でいいか」と言われてしまい、地下の五条先生が座っている隣で大人しく待つことに。
とっとと消してもらって恵ちゃんや野薔薇の様子を見に行こう。
「あれ、何でここにいるの?」
「...硝子先生待ちです」
「そっかそっか」
ふーと長いため息をついて私を見てくる。また目隠し越しに目が合った。
「君に傷一つついてないって聞いて安心したよ」
「そんな...情けないです。他の2人は怪我までして闘ったのに」
「いーや、君がもし戦線離脱して逃げたり隠れたりしても構わないさ。教え子が怪我する、はたまた重症だったりっていうのは本当に辛いんだ」
恵が君に怪我が無くてよかったって言ってたよ、と先生はナイスガイな笑顔を見せてきた。くぅ、恵ちゃんも五条先生もありがとう...。
その後伊地知さんがやって来て、私達1年の派遣は宿儺の器の虎杖くんを殺すため、ついでに他の1年も死ねば五条先生への牽制になるなど上が仕向けた脅しであることを知った。つまり私達は利用されたという事で、仮にもし全員死んでも宿儺の脅威が無くなって五条先生に圧が掛かるだけ。
次第にふつふつと怒りと、でも実力ではどうにも出来ない虚しさが湧いてくる。そんなのただの足でまといじゃないか。
「全員殺してしまおうか」
五条先生の聞いた事ないようなマジな声が一室に響く。
悔しい、敵は呪霊だけじゃなかった。
「小津、これから宿儺の器を解剖するんだが」
「...見ます。私が他の1年生に伝えます」
「やばくなったらすぐ部屋から出なよ」
硝子先生がシーツを剥ぎ取ればそこには虎杖くんがいた。手袋をハメながら彼女は遺体を見る。
解剖...内蔵とか、血とか、ひぇぇ。色々な覚悟を心で決めていると、伊地知さんが情けない悲鳴を上げた。
虎杖くんが起き上がっているではないか。
あれ?え???
「おぉっフルチンじゃん」
「いっいいい生ききき返っ!」
「伊地知うるさい」
「なっなんで、ひえぇ!」
「ちょっと残念」
思わず五条先生の腕にしがみついた。生き返っ、どうして、いやそんな事よりもフルチン!知る由も無い未知の領域をばっちり見てしまって慌てて顔の前に手をやる。
「あのー恥ずかしいんスけど...って歌音!?!?」
「見てない見てない見てないっ」
「本当?顔真っ赤だよ」
「〜〜!!」
いくら恵ちゃんとはいえ、1年生が特級呪霊と一対一で戦ってるなんて信じられない。宿儺からすれば私たちは赤子同然な訳で、現世に蘇った彼が指何本分だろうがあまり変わらないと思うし、その上虎杖くんのフィジカル面もある訳で、でも私がどうにか出来るとも思えないから取り敢えず駆け付けるまでは恵ちゃんが無事であることを祈るしかなかった。
彼が落ちた場所目掛けて走るが何せ遠い。
もう砂埃も上がらなくなって戦闘は終わったのだと嫌でも理解する。
雲が分厚く黒くて雨が降ってきそうだ。
ああ!!いた!
「恵ちゃん!!」
「...歌音」
座り込む彼はキズだらけで、宿儺との惨状が伺える。その足元には半裸の虎杖くんが倒れていて、彼を中心に血の海が出来ていた。
私は頭の処理が追いつかない。呆然とそれを見るが、情報が多すぎた。
「...なにこれ?」
「虎杖が...死んだ」
地面にうつ伏せる虎杖くんを見ながら恵ちゃんはそう言う。
慌てて虎杖くんに触れるが、生きている人間にしてはぬるい。思わず手を引っこめた。
さっきまで私に触れていた宿儺...虎杖くんの大きくて温かかった手は地に落ちたままで、本当に彼が動かなくなったことがじわじわ恐ろしくなってくる。
...というか目の前で虎杖くんが倒れたのなら心のダメージが私の比じゃないだろうに、今の恵ちゃんは伏せ目で感情が感じられなかった。
まだ私達は出会って日は浅いけど分かる、絶対感情を隠しているのだ。
男の人のことはよく分からないけど、弱さを見せたくないから?プライド?
虎杖くんがこうなったことは私も悲しいけど、正直処理が追いついていないし虎杖くんをどうすればいいか分からない。
まだ生きている恵ちゃんを優先しようと決心した。
「...伊地知さんの車が外にあったから行こう」
「いや、お前はまず伊地知さんに現状を報告して来い。虎杖は俺達だけじゃ運べねぇから人手が必要だ」
私よりも恵ちゃんの方が冷静だった。
伊地知さんの車まで走って、窓を開けてもらう。粗方説明すると、彼は渋い顔をしてトランクからシートを出して「では伏黒くんの元へ向かいましょう」と一緒に走り出した。
再び恵ちゃんを見つけるが、先程よりも辛いのか身体を動かす気配がない。あれだけ宿儺の攻撃を受ければしんどいのは仕方ないだろう。
「私は虎杖くんを運びますので小津さんは伏黒くんをお願いします」
「はいっ!」
もう意識があるのかも分からない恵ちゃんの腕を肩に回して立ち上がった。重いけどいける。
怪我をひとつもしていないのが私だけなのは何だか情けないが、こうして人の役に立ったから良かったかもしれない。
虎杖くんが死ねば宿儺も死ぬって五条先生が言ってたけど、一体指何本分の宿儺が消えたのだろうか。任務に出る前は2本食ったって言ってたし、さっきの特級呪霊からも宿儺が回収していたかもしれない。恐らく3本分か。
車に大分近づいてきたところで恵ちゃんが身じろぐ。やっぱりさっきは気絶していたようだ。
「...悪ぃ、...」
か細い声で恵ちゃんは呟いた。
多くを語らない彼が珍しく喋るのを聞けば、宿儺が虎杖くんの心臓を捨てて彼の体を人質にしたらしい。恵ちゃんと宿儺が対峙するが
、最終的に虎杖くんが戻ってきてしまった事で亡くなったそうなのだ。
「任務で仲間を失ったのは初めてじゃないが未来ある同級生が死ぬのは堪えるな。アイツ、死ぬ直前に呪いを残していきやがった」
そう言って自嘲じみた笑みを浮かべる。後部座席に彼を乗せた。
再び伊地知さんの元へ向かい虎杖くんを運ぶのを手伝う。亡くなった人は重い。彼とはもっと仲良くなれたんだろうなぁとぼんやり考える。
途中心臓らしい臓器が捨ててあった。あれを宿儺がやったのだろう。車に虎杖くんを乗せて恵ちゃんの隣に座った。彼の意識はまた無くなっている。怪我はしているが見た感じ大事には至って無さそうなので安堵のため息をついた。野薔薇は無事だろうか。虎杖くんのこともどうしよう。
「あの...小津さん、首どうされたんですか?」
ふと伊地知さんに声をかけられて彼の方を見る。ルームミラー越しに目が合った。
あ、そういえば!!制服の襟を持ち上げる。
「...はは、えっと...はは」
ただただ笑って誤魔化す。誤魔化しきれてないけど。スマホのインカメで見てみると赤紫で歯型がくっきり付いていた。くそこれどうすんだ。
「い、伊地知さん、反転術式って内出血も治せるんですかね?」
「さぁどうでしょう...。家入さんに聞いてみて下さい」
帰りの車内は普通に気まずかった。だってこれ...ただのキスマだよね。派遣された殆どの生徒が怪我してたり最悪な状況なのに、ただのキスマって...。恥ずかしいが硝子先生に聞いてみよう。
☆☆☆
「おやおや」
「違うんです宿儺に...」
取り敢えず鬱血痕を見せると彼女の口角が片方上がった。粗方説明すると「治せるが宿儺の器の件の後でいいか」と言われてしまい、地下の五条先生が座っている隣で大人しく待つことに。
とっとと消してもらって恵ちゃんや野薔薇の様子を見に行こう。
「あれ、何でここにいるの?」
「...硝子先生待ちです」
「そっかそっか」
ふーと長いため息をついて私を見てくる。また目隠し越しに目が合った。
「君に傷一つついてないって聞いて安心したよ」
「そんな...情けないです。他の2人は怪我までして闘ったのに」
「いーや、君がもし戦線離脱して逃げたり隠れたりしても構わないさ。教え子が怪我する、はたまた重症だったりっていうのは本当に辛いんだ」
恵が君に怪我が無くてよかったって言ってたよ、と先生はナイスガイな笑顔を見せてきた。くぅ、恵ちゃんも五条先生もありがとう...。
その後伊地知さんがやって来て、私達1年の派遣は宿儺の器の虎杖くんを殺すため、ついでに他の1年も死ねば五条先生への牽制になるなど上が仕向けた脅しであることを知った。つまり私達は利用されたという事で、仮にもし全員死んでも宿儺の脅威が無くなって五条先生に圧が掛かるだけ。
次第にふつふつと怒りと、でも実力ではどうにも出来ない虚しさが湧いてくる。そんなのただの足でまといじゃないか。
「全員殺してしまおうか」
五条先生の聞いた事ないようなマジな声が一室に響く。
悔しい、敵は呪霊だけじゃなかった。
「小津、これから宿儺の器を解剖するんだが」
「...見ます。私が他の1年生に伝えます」
「やばくなったらすぐ部屋から出なよ」
硝子先生がシーツを剥ぎ取ればそこには虎杖くんがいた。手袋をハメながら彼女は遺体を見る。
解剖...内蔵とか、血とか、ひぇぇ。色々な覚悟を心で決めていると、伊地知さんが情けない悲鳴を上げた。
虎杖くんが起き上がっているではないか。
あれ?え???
「おぉっフルチンじゃん」
「いっいいい生ききき返っ!」
「伊地知うるさい」
「なっなんで、ひえぇ!」
「ちょっと残念」
思わず五条先生の腕にしがみついた。生き返っ、どうして、いやそんな事よりもフルチン!知る由も無い未知の領域をばっちり見てしまって慌てて顔の前に手をやる。
「あのー恥ずかしいんスけど...って歌音!?!?」
「見てない見てない見てないっ」
「本当?顔真っ赤だよ」
「〜〜!!」