呪術廻戦
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伏黒と特級呪物を探しに仙台にやって来て、やっとこさお目当てのものを見つけた。呪霊に襲われて意識を失った女子生徒と男子生徒を安全な場所に避難させ、伏黒が吹き飛ばされた穴から外へ出る。あれ、五条先生もいるじゃないか。
「歌音か...?」
彼らの元へ駆け寄った時、手をがしりと掴まれていた。それは虎杖くんで、でも初対面の時とはだいぶ印象が違う。謎に上裸だし声が低いし、何だか顔や体に黒い線がある様な。
切羽詰まった顔をしたと思えば、引き寄せられた勢いで抱きしめられた。
「え?え?」
虎杖くんの匂いが鼻から入ってくる。
少しだけ早い気がする心音が、虎杖くんとくっついた顔から感じられて訳が分からなくなった。
「ちょ、め、めぐちゃんたすけて」
半裸の男の人に抱き寄せられるなんて初めてで恥ずかしい。プチパニック。
伏黒は嫌そうな顔をしていた。そうだ、恵ちゃん呼びしたら怒るんだった。
自分でどうにかしなければ。とりあえず、この混乱状態と異様な空気をぶち壊そうと、虎杖くんと私の間に腕を突っ張らせた。案外簡単にできた隙間には生暖かい空気が漂っている。
「ど、どうしたの?虎杖くん」
彼の顔にはっきりと紋様が浮かんでいる上に、目の下の切れ込みに目玉がある。よっつの眼球でまじまじと見つめられて腰が引けた。
「まあまあ宿儺、悠仁は?」
飄々とした物言いで、緊張感が微塵もない五条先生が私たちの傍に立っている。
...今宿儺と言ったか、言ったよな?
「...おわ!ごめん小津さん!」
ふわっと紋様が消えて、頬が赤い焦りまくった虎杖くんはぱっと手を離す。これは初対面の彼と同じ感じだった。
私の中にひとつの仮説が過る。二重人格かのように様子が全然違う振る舞い。ちなみにさっきはめっちゃ力強かった。五条先生が虎杖くんのこと『宿儺』って呼ぶ。すすっと消えた模様。...はにゃ??
「お、俺の中の宿儺が勝手に出てきちゃって」
「何で?」
「あー、食った!」
「...これどうするんですか五条先生!!?」
ぶわわと頭に情報がなだれ込んでくる。
思わぬ受肉の成功、それに周りの破壊具合からしてべらぼうに強い。野放しにしたら日本が終わる。
それに私たちは特級呪物を回収出来なかった上にこの世に召喚してしまった。初任務にしてこれ以上ない大失敗。
上に処刑される?それとも退学?どちらにしろ人生終わったのでは?
「ヒっ、ケヒッ!」
やけに回る頭が、誰かの笑い声で停止した。
虎杖くんの手のひらから唇がぬっと浮いて笑っている。リアルな歯や舌まで見えてなんだか気持ち悪い。
「千年ぶりに約束を果たすとは、執念深い女だ」
何が楽しいのか、口が孤を描きながら大笑いしている。ゲラゲラ笑う手のひらに虎杖くんは怪訝な顔をしているが、自分の体なのにコントロールは出来ないのだろうか。
あと私は別に執念深くないし。割とさっぱりな方だと思ってるし。今まで生きてきて特に思い当たるエピソードはない。
ていうか本当に虎杖くんの中に両面宿儺がいる。
ぴとっ。宿儺の唇に人差し指が添えられた。それは五条先生のもので、ついでに私の肩にぽんっと手を置かれる。
「歌音、宿儺とは初めて?」
「一応そうですけど。何なんですか?」
「そっかそっか。まあ重要な事だしここでひとつ昔話をするね」
「え、今?」
「そ。むかーしむかし、両面宿儺っつー特級レベルの呪霊がいましたァ」
あ、本当に始まるんだ。
目の前の虎杖くんは「それ長い?」って聞いてるし、伏黒はそんな私たちにため息をついている。
「短くするから聞いてよ。それは4本の腕と2つの顔を持つ人間で、呪いの王とも呼ばれてました。ここまでは知ってるね」
「あ、ハイ」
「俺もです」
「こっから大事。そんな宿儺の前にひとりの美しい女性が現れました。ふたりはあっという間に恋に落ち、めでたく結ばれましたが、恨みを持っていた他の呪術師たちが女性を殺してしまいます。怒った宿儺は呪術師を皆殺しにしました」
「お前けっこーエグいことすんのな」
「フン...当然の報いだ」
「はい、おしまいおしまい」
「みじかっ」
「だいぶ削ったんだよ。宿儺あってる?」
「大方はな」
「それでね」
くるっと向きを変えた先生が私を見る。目隠ししてるのに、目が合っている気がした。ホント不思議な人。
「キミはその女性だよ。名前も一緒だし」
「えっ?あぁ...え?」
「つまり、宿儺のお嫁さんの生まれ変わり」
「...は?」
お嫁さん?私が????
いやー僕も驚いたよ、なんて先生は言っているが、そのお口は愉快そうに歪んでいる。思ってないでしょ、絶対。
クエスチョンマークが浮かぶ頭で必死に考える。そうだ、言いたいことは沢山ある。
「そもそも歌音って名前珍しくないし、他人の空似ってこともあるかもしれませんって」
「僕もそう言ってあげたいんだけどね」
「顔も声も変わんねーの?」
「ああ...お前について当ててやろうか。額左側の生え際、右の耳たぶ、内腿、背中にふたつ」
合ってる。全部黒子の位置だ。背中は自分で見たことはないけど、小さい頃親に言われたことがある。
絶句する私で察したのか先生は「当たってるみたいだね」と虎杖くんを見た。
「彼女は覚えてなさそうだけど」
「構わん、思い出させるまでだ」
ギロリ。虎杖くんの片方の目の下の傷が開いて、瞳が動いた。赤い眼球と目が合って、「ヒェッ」と情けない声が漏れる。
私は本当に前世はお嫁さんだったのだろうか。でも黒子当てられるって...。はぁ。
「もう時間ないし、次行くよ」
そう言って、先生は虎杖くんを気絶させた。
さっさとホテルに行って、この訳の分からない気持ちを落ち着かせたい。
「歌音か...?」
彼らの元へ駆け寄った時、手をがしりと掴まれていた。それは虎杖くんで、でも初対面の時とはだいぶ印象が違う。謎に上裸だし声が低いし、何だか顔や体に黒い線がある様な。
切羽詰まった顔をしたと思えば、引き寄せられた勢いで抱きしめられた。
「え?え?」
虎杖くんの匂いが鼻から入ってくる。
少しだけ早い気がする心音が、虎杖くんとくっついた顔から感じられて訳が分からなくなった。
「ちょ、め、めぐちゃんたすけて」
半裸の男の人に抱き寄せられるなんて初めてで恥ずかしい。プチパニック。
伏黒は嫌そうな顔をしていた。そうだ、恵ちゃん呼びしたら怒るんだった。
自分でどうにかしなければ。とりあえず、この混乱状態と異様な空気をぶち壊そうと、虎杖くんと私の間に腕を突っ張らせた。案外簡単にできた隙間には生暖かい空気が漂っている。
「ど、どうしたの?虎杖くん」
彼の顔にはっきりと紋様が浮かんでいる上に、目の下の切れ込みに目玉がある。よっつの眼球でまじまじと見つめられて腰が引けた。
「まあまあ宿儺、悠仁は?」
飄々とした物言いで、緊張感が微塵もない五条先生が私たちの傍に立っている。
...今宿儺と言ったか、言ったよな?
「...おわ!ごめん小津さん!」
ふわっと紋様が消えて、頬が赤い焦りまくった虎杖くんはぱっと手を離す。これは初対面の彼と同じ感じだった。
私の中にひとつの仮説が過る。二重人格かのように様子が全然違う振る舞い。ちなみにさっきはめっちゃ力強かった。五条先生が虎杖くんのこと『宿儺』って呼ぶ。すすっと消えた模様。...はにゃ??
「お、俺の中の宿儺が勝手に出てきちゃって」
「何で?」
「あー、食った!」
「...これどうするんですか五条先生!!?」
ぶわわと頭に情報がなだれ込んでくる。
思わぬ受肉の成功、それに周りの破壊具合からしてべらぼうに強い。野放しにしたら日本が終わる。
それに私たちは特級呪物を回収出来なかった上にこの世に召喚してしまった。初任務にしてこれ以上ない大失敗。
上に処刑される?それとも退学?どちらにしろ人生終わったのでは?
「ヒっ、ケヒッ!」
やけに回る頭が、誰かの笑い声で停止した。
虎杖くんの手のひらから唇がぬっと浮いて笑っている。リアルな歯や舌まで見えてなんだか気持ち悪い。
「千年ぶりに約束を果たすとは、執念深い女だ」
何が楽しいのか、口が孤を描きながら大笑いしている。ゲラゲラ笑う手のひらに虎杖くんは怪訝な顔をしているが、自分の体なのにコントロールは出来ないのだろうか。
あと私は別に執念深くないし。割とさっぱりな方だと思ってるし。今まで生きてきて特に思い当たるエピソードはない。
ていうか本当に虎杖くんの中に両面宿儺がいる。
ぴとっ。宿儺の唇に人差し指が添えられた。それは五条先生のもので、ついでに私の肩にぽんっと手を置かれる。
「歌音、宿儺とは初めて?」
「一応そうですけど。何なんですか?」
「そっかそっか。まあ重要な事だしここでひとつ昔話をするね」
「え、今?」
「そ。むかーしむかし、両面宿儺っつー特級レベルの呪霊がいましたァ」
あ、本当に始まるんだ。
目の前の虎杖くんは「それ長い?」って聞いてるし、伏黒はそんな私たちにため息をついている。
「短くするから聞いてよ。それは4本の腕と2つの顔を持つ人間で、呪いの王とも呼ばれてました。ここまでは知ってるね」
「あ、ハイ」
「俺もです」
「こっから大事。そんな宿儺の前にひとりの美しい女性が現れました。ふたりはあっという間に恋に落ち、めでたく結ばれましたが、恨みを持っていた他の呪術師たちが女性を殺してしまいます。怒った宿儺は呪術師を皆殺しにしました」
「お前けっこーエグいことすんのな」
「フン...当然の報いだ」
「はい、おしまいおしまい」
「みじかっ」
「だいぶ削ったんだよ。宿儺あってる?」
「大方はな」
「それでね」
くるっと向きを変えた先生が私を見る。目隠ししてるのに、目が合っている気がした。ホント不思議な人。
「キミはその女性だよ。名前も一緒だし」
「えっ?あぁ...え?」
「つまり、宿儺のお嫁さんの生まれ変わり」
「...は?」
お嫁さん?私が????
いやー僕も驚いたよ、なんて先生は言っているが、そのお口は愉快そうに歪んでいる。思ってないでしょ、絶対。
クエスチョンマークが浮かぶ頭で必死に考える。そうだ、言いたいことは沢山ある。
「そもそも歌音って名前珍しくないし、他人の空似ってこともあるかもしれませんって」
「僕もそう言ってあげたいんだけどね」
「顔も声も変わんねーの?」
「ああ...お前について当ててやろうか。額左側の生え際、右の耳たぶ、内腿、背中にふたつ」
合ってる。全部黒子の位置だ。背中は自分で見たことはないけど、小さい頃親に言われたことがある。
絶句する私で察したのか先生は「当たってるみたいだね」と虎杖くんを見た。
「彼女は覚えてなさそうだけど」
「構わん、思い出させるまでだ」
ギロリ。虎杖くんの片方の目の下の傷が開いて、瞳が動いた。赤い眼球と目が合って、「ヒェッ」と情けない声が漏れる。
私は本当に前世はお嫁さんだったのだろうか。でも黒子当てられるって...。はぁ。
「もう時間ないし、次行くよ」
そう言って、先生は虎杖くんを気絶させた。
さっさとホテルに行って、この訳の分からない気持ちを落ち着かせたい。
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