短編
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逆上した徹が私の胸ぐらを掴んだ。
ガンっと床に頭を打ち付けられて、一瞬だけ意識が遠のいた。しかし強く髪を引っ張られて戻ってくる。これ以上の痛いのはとても嫌で、必死に抵抗すると顔を殴られた。
こうなったきっかけは本当に些細なこと。先生の諸事情で部活が休みになったので自主練したいと言う徹に付き合って、休日の体育館にやって来ていた。徹のぶんの飲み物も買おうと自販機にやって来ると、部活中に抜けてきたのかサッカー部のクラスメイトがいてスポーツドリンクをがぶ飲みしていた。
「何してんの?」
「サボってる。お前は?」
「彼氏のバレーに付き合ってるんだ」
「あー及川さんか」
「そーそー」
他愛もない話をするこいつは隣の席のアイダくん。トイレに行くフリをしてここに来たらしい。
「今何ヶ月なんだっけ」
「えへへー7ヶ月」
「すげえな」
「まだまだだよ〜」
私の惚気もそこそこに、遠くで「アイダー!」と誰かの怒声。やべっと小さく漏らしたアイダくんは「じゃあな」と言い残し疾風の如く走り去った。
このやり取りを徹に見られただけ。
スマホに元彼の写真が残っていた時も烈火のごとく怒って暴力を振るわれたことがあった。きっと、彼は過度な心配性なのだろう。
ばちんと頬を叩かれて、じわりと涙が溢れてくる。強くぶつけた側頭部と殴られた頬がじんじん痛んできた。また大きく手を振り上げられて反射的に両手を顔の前にやると、片手を強い力で掴まれて簡単に引き剥がされてしまう。また殴られた。
「お前が、浮気なんてしようとするから」
「ちがうっ、そんなことしてない...!」
「あんなに他の男に笑顔見せといて?説得力ないよ」
浮気してるつもりは一切ない。本当にどうって事ないクラスメイトなのに、どう言えば徹に伝わるのだろうか。
胸ぐらを掴まれた。鉄の味がする。怖くて仕方がない、涙が止まらなくて口から嗚咽が勝手に出た。
「あ、ご、ごめん、ごめん歌音、大丈夫?本当にごめん、ごめんね」
はっと目を覚ましたように、突然優しい手つきで触れてくる徹。さっきとは別人のようにおろおろしていた。
「だい、じょぶ...げほっ、」
私がだらしないから徹が心配して怒ってしまった。私がしっかりしないと徹が不安になってしまう、もっとちゃんとしないと。
「ごめん、ごめん...」
私の肩に顔を埋めて徹は泣き出した。背中に回された両腕があったかい。
あぁ、私のせいだ。カンペキな彼氏を泣かせる私最低。つんつんと上をむく髪の毛をわしゃわしゃ撫でる。
「私こそごめんね、とおる」
もっと彼に尽くさないと、徹がダメになってしまう。
(共依存とか救いようがねえ)
岩泉は思った。
ガンっと床に頭を打ち付けられて、一瞬だけ意識が遠のいた。しかし強く髪を引っ張られて戻ってくる。これ以上の痛いのはとても嫌で、必死に抵抗すると顔を殴られた。
こうなったきっかけは本当に些細なこと。先生の諸事情で部活が休みになったので自主練したいと言う徹に付き合って、休日の体育館にやって来ていた。徹のぶんの飲み物も買おうと自販機にやって来ると、部活中に抜けてきたのかサッカー部のクラスメイトがいてスポーツドリンクをがぶ飲みしていた。
「何してんの?」
「サボってる。お前は?」
「彼氏のバレーに付き合ってるんだ」
「あー及川さんか」
「そーそー」
他愛もない話をするこいつは隣の席のアイダくん。トイレに行くフリをしてここに来たらしい。
「今何ヶ月なんだっけ」
「えへへー7ヶ月」
「すげえな」
「まだまだだよ〜」
私の惚気もそこそこに、遠くで「アイダー!」と誰かの怒声。やべっと小さく漏らしたアイダくんは「じゃあな」と言い残し疾風の如く走り去った。
このやり取りを徹に見られただけ。
スマホに元彼の写真が残っていた時も烈火のごとく怒って暴力を振るわれたことがあった。きっと、彼は過度な心配性なのだろう。
ばちんと頬を叩かれて、じわりと涙が溢れてくる。強くぶつけた側頭部と殴られた頬がじんじん痛んできた。また大きく手を振り上げられて反射的に両手を顔の前にやると、片手を強い力で掴まれて簡単に引き剥がされてしまう。また殴られた。
「お前が、浮気なんてしようとするから」
「ちがうっ、そんなことしてない...!」
「あんなに他の男に笑顔見せといて?説得力ないよ」
浮気してるつもりは一切ない。本当にどうって事ないクラスメイトなのに、どう言えば徹に伝わるのだろうか。
胸ぐらを掴まれた。鉄の味がする。怖くて仕方がない、涙が止まらなくて口から嗚咽が勝手に出た。
「あ、ご、ごめん、ごめん歌音、大丈夫?本当にごめん、ごめんね」
はっと目を覚ましたように、突然優しい手つきで触れてくる徹。さっきとは別人のようにおろおろしていた。
「だい、じょぶ...げほっ、」
私がだらしないから徹が心配して怒ってしまった。私がしっかりしないと徹が不安になってしまう、もっとちゃんとしないと。
「ごめん、ごめん...」
私の肩に顔を埋めて徹は泣き出した。背中に回された両腕があったかい。
あぁ、私のせいだ。カンペキな彼氏を泣かせる私最低。つんつんと上をむく髪の毛をわしゃわしゃ撫でる。
「私こそごめんね、とおる」
もっと彼に尽くさないと、徹がダメになってしまう。
(共依存とか救いようがねえ)
岩泉は思った。