「うぎゃ！！」

「ハァ、ハァ、さっさと降参しろよ、オレ様とて女をイジめるのは心が痛むんでなァ」

「うぐっ、絶対思ってない...あっ」


そういえば私の遺伝子って... ...！！！


何かを思いついた歌音は無差別に放電した。
常に身体から出ている電気は、ソナーの役割を果たしている。それと同時にラベンダの居場所などは分かったようで、気弾で攻撃されてもそれをうまく避けた。

「やるじゃねーか歌音！」

「で、電気を相手に反射させる事で動きを捉えているんですね！」

「その通りです、獲物を狩るデンキウナギと同じ仕組みですねぇ。しかし電気を使用することによってそれが諸刃の剣となるかもしれません」

上空では辺りに広がった毒に電気が走っている。さながら入道雲に雷が走っている様だ。
ラベンダが感電した隙に歌音は彼を地上へ落とす。トドメの一撃を出そうとしたその時、歌音の身体が止まった。体が傾きどさりと倒れる。

「ヒヒっ！テメェの身体は着実に蝕まれているんだぜ」

「はぁ、はぁ、きっつ...」


「電撃を使う際歌音さんの頬が少し赤くなるのですが、あれは血管が膨張して血流が良くなった証拠です。一気に毒が全身に回ったのでしょう」


痛みに蹲る歌音をラベンダは容赦なく攻撃していく。逃げるように身を捩るが、仁王立ちの彼に芋虫のようにごろんごろんと蹴り飛ばされた。
するとラベンダに再度蹴られる前に歌音はソナー状態の電気を放つ。観覧席から止めるように声が上がるのだが、それは彼女の耳に入っていない。
湧き上がってきた鉄臭い液体を吐き出し、ギリギリと歯を食いしばっている。
再び繰り広げられた拳のぶつかり合いの後、お互いに最大威力の攻撃が出された。歌音は電撃を放っているが、腕や顔にも毒が広がってきており力がふわふわと抜けているようだ。限界を感じ、紫煙を突き抜けてラベンダの腰に抱きつく。

「フル電流じゃあ！」

「ぐわあぁぁぁあぁ！」ﾊﾞﾘﾊﾞﾘﾊﾞﾘﾊﾞﾘ


目が眩むほど眩しい放電が止むと、2人とも地上に落ちた。毛が少し焦げたラベンダが立ち上がろうとしたが膝から崩れ落ちる。
もうどちらも動きはしなかった。


「ふむ...第2試合、両者ダウンとし引き分けとします」


全王の歓喜の声が響いたが、第7と第9の観覧席は静まりかえっている。
電撃でよく見えず身を乗り出していたロウはため息をついた。
武舞台へ上がった悟空が歌音に仙豆を食べさせると、ゆっくりと瞼が動く。


「また勝てなかった...ごめんなさい」

「おめえすごかったぞ」