ブルマの家に居候して、初めて夜が明けた。
1週間の長旅で壊れた生活リズムを治すのが大変そうだなあ。ベッドに腰掛けてのんびり欠伸をしていると、ドアをノックすると共にブルマの「入るわよー」と言う声が聞こえた。は〜い、と覇気のない返事をするとプシュゥーとドアが開く。
ハイテク〜。自動ドアが元の星にもあったのを思い出して懐かしく思っていると、「よく眠れた？」と聞かれる。うん、かなり。その旨を伝えるとよかったぁ、と安心された。


「歌音！今日ショッピング行きましょうよ！」

キャピキャピしだすブルマに「行きたい！」と返事をする。そう、私には物資が足りない。昨夜お風呂を借りたのは良かったのだが、寝巻きが無かったので体操服で寝たのだ。大分寝つきは良くない。
朝ごはん食べたら行きましょ！と言い残してブルマは部屋を出ていく。ショッピングかぁ、と再び背中からベッドに沈み込んだ。このベッドも客人用の掛け布団とマットレスなので流石にずっと使う訳には行かない。甘えて新しいの買って貰おう。
もそもそと服を着替えて身支度を済ます。顔を洗ってやっと寝ぼけ頭が覚めた。

若干迷いそうになったが、それほど遠くもないリビングへ行く。私の部屋とそんなに離れてなくて良かった。ブルマがキッチンで作業をしており、トランクスとベジータがソファでテレビを見ている。

「おっおはようございますぅ」

最後は尻すぼみしてしまったがどうやら聞こえくれたようで、ブルマやトランクスは元気よく挨拶をし、ベジータは眉間に皺は寄ったままだが「あぁ」と返してくれた。ベジータさん最初怖かったけど結構優しい人っす。まじリスペクトっす。
手伝おうか？とキッチンで声をかけると、卵焼きを作って欲しい、とブルマは冷蔵庫から卵を取り出して言った。しかし彼女は再び作業に戻ってしまってピンチ。うっ、でもどうしよう。まあどうにかなるか。調理器具の場所を教えて貰い、卵を割って塩と砂糖と牛乳を少し入れる。ここまでは完璧だ。


☆☆☆


「あっﾔﾍﾞｯ」

何だか焦げ臭いし歌音の様子がおかしい。ふと手を止めて見ると、歌音の持つフライパンから黒い煙が上がっている。なんと謎の物質ダークマターが出来上がっていたのだ。

「ごめん、どうにかなると思ったんだけど無理だった...」

「ぐ、ふっ...」

申し訳なさそうに困った顔が可笑しすぎて大笑いした。言ってくれれば何とでも出来たのに。


☆☆☆


「あっはははは！」

ブルマに大爆笑されていて、どんどん恥ずかしくなってくる。何事かとやって来た男性陣は、私が持つフライパンの中を見て察したようだった。
うーん、イけると思ったのだが...。
何を隠そう、私は料理が下手くそなのだ。調理実習でやらかした事はあるし、妹の為に料理を作ろうと何度か挑戦していたのだが、ほとんど失敗に終わっている。
早速醜態を晒してしまうなんて...。


なんとか朝食を終えて、CＣ宅所有の高そうなオープンカーに乗り込んだ。実はコッペリオンは高校1年の必修科目の中に、ある程度ドライブ技術を会得する科目がある。ちなみに私はバイクや戦車も乗れるぞ。校外で運転する機会はなかったが。
それをブルマに伝えると、「地球だったらタイホされちゃうわよ」と言われる。ここは車だと18歳以上かつ免許を持ってないと車に乗れないという事を教えて貰った。免許さえあれば乗れるということか。