「ビ、ビルス様〜！これじゃあ仙豆を吐き出しちまうよ！」

「おいウイス、治してやれ」

「はい」

ウイスの杖の先端が淡く光り歌音がその光に包まれていく。浅く荒かった呼吸がだんだんと落ち着き、痛さで強ばっていた表情も解けていった。

「さて、傷は治りましたが肝心な血液が戻りません。空いているお部屋はありますか？」

「えっと...そうよ！メディカルマシーンがあるわ、こっちよ！」

いつもよりも顔色が真っ青になっている歌音をウイスが横抱きにしてブルマの後に続いて行く。なおも、赤が染み込んだスカートからは血が垂れていた。

「うっ...あれ？穴が、塞がってる...うぉぉ、頭が痛い」

「まったく、キミもベジータも自業自得だよ」

「おそらく半分近く血液を失ったのですから、くれぐれも安静に」

「うぅ、すみません、迷惑かけちゃって...」

横抱きにされているなど歌音の記憶上では始めてだったので普段なら何か反応するはずであるが、今回はそんな事を考えている余裕はなかったらしい。
ただ、自分は何故こんなになっても生きているのか、何の為の丈夫さなのか分からない恐怖がじわじわと頭を支配していた。
ウイスが直々に修行した2人や燃料兼戦闘員がこんな状態で帰ってくるとは、ビルスも少し想定外である。
広場では復活したサイヤ人達が歌音の様子を尋ねてきたが、ウイスが無理をしなければ大丈夫という旨の説明をするとひとまず安心したようだった。

話を聞く限り、ザマスやブラックの謎が深まるばかりである。
今は夜になっているので次の日にもう一度第10宇宙に行く事になり、ビルスとウイスは「じゃ、明日」と帰っていった。