ACT.4
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
合宿場に各校が集まり、開会の挨拶が行われる。
各校の先生達の話が続き、中には退屈をするもの達もいたがマネージャー紹介の言葉に皆は前を向く。
「マネージャーは7人、仕事が追いついていない者がいたら各自手伝うように」
皆の前にマネージャー7人が立つ。
青学から正規マネージャー1人、手伝いが2人、不動峰から1人、山吹から1人、そして晴樹と太田。
氷帝の面々は晴樹には気付いておらず、思わず笑いそうになる。
チラリと隣の太田を盗み見れば、思いがけない人物との出会いと他の学校の面々に向ける笑顔で歪んで見えた。
挨拶もそこそこに一旦解散となる。
午前中は自主練、午後から本格的な練習になる。
とりあえず、他のマネージャーの子達に挨拶しようと思い荷物を持つと、話をしていた山吹の男子、青学と不動峰の女子達に近付いた。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
おさげの女の子が笑う。
「俺は高城晴樹、2年。これから一週間よろしくな」
「私は不動峰の橘杏よ、同じく2年よ」
杏はにっこり笑った。
「僕は壇太一です!よろしくお願いしますです!」
ずれるヘアバンドをなおしながら太一は挨拶をした。
「私は青学の小坂田朋香です!1年です、よろしくお願いします!」
「私は竜崎桜乃です、1年です。よろしくお願いします」
元気のいい朋香と大人し目の桜乃に笑う。
最後に残った青学女子を見る。
「1年の前田唯です、よろしくお願いします」
晴樹は前田に笑いかけた。
「あれ?もう1人の方がいないですね?」
「氷帝の方でしたっけ?」
「ああ、早々に宿舎の中に向かってたぜ」
太田は氷帝の面々と宿舎の中に入っていた。
もちろん、入る時に氷帝で同じマネージャーだった前田唯を睨むのを忘れずに。
(ああ、愉快)
醜い顔が更に醜く歪んでいた。
吹き出しそうになるのを我慢していると、背後に人の気配を感じた。
振り返るとそこには真田が立っていた。
「真田先輩、どうされましたか?」
「うむ、我々立海は早速練習を始める事を伝えに来たのだ」
「わかりました。俺達の分担の話が終わったら直ぐに行きます」
「ああ、わかった」
去っていく真田を見送ると、5人に振り向く。
コートは5つあり、2つのコートは2人体制、残り3つを1人で見る事になっている。
A~Eコートでは各校の生徒達が混じり練習をし、マネージャーはそれを補佐する。
どこのコートを担当するかは既に決められており、相談する事はないが、マネージャーは朝食を作らなければいけない(昼食と夕食は親切な事に氷帝の監督が連れてきたシェフが担当してくれる)
「食事は量も多いし、2、3人で作ろう」
「そうね、1人じゃ大変だものね」
「僕、自信ないです…」
「じゃあ、壇君は俺と組もう」
晴樹は太一の頭を撫でる。
「え!高城先輩料理出来るですか?!」
「簡単なものはね」
「凄いです…!!」
キラキラとした目で見てくる太一に苦笑すると、他の子達を見る。
「別にいいか?」
「私達は全然いいですよ!」
「じゃあ、高城先輩と壇君のペアで決まり」
「後は適当に組みましょう」
「じゃあ俺は早速マネージャー業してくるから、昼に氷帝のマネージャーに会ったら伝えておいてくれないか?」
「わかりました」
晴樹は笑うと歩き出す。
その時、前田と目が合い、ニィッと笑った。
「もう!一体なんなのよ!!」
何であの女がここにいるのか分からないわ!!!
太田はトイレで荒れていた。
壁に凭れギリッと歯軋りをする。
でも、丁度いいかもしれない。
アイツを使えば氷帝だけでなく、他の学校の人達にも上手く取り入れるかもしれない。
鏡に映った自分を見て笑う。
そう、私はこんなに可愛いの。
可愛い私が苛められて、傷付きすがれば落ちない男なんていない。
同じマネージャーの高城君も、跡部君には劣るけどいい男だし、是非近付きたい。
フフッと笑い、頭の中で計画を練り始めた。
「よし、午前中はこれぐらいにしようか」
「ういッス!!!」
自主練が終わり、タオルを配っていると切原が近付いてくる。
「なあ晴樹」
「ん?」
「部屋割り見たか?」
「いや、まだ」
ここ数日で切原に懐かれ、今では名前で呼び合う程になった。
他の先輩達にも何故だか解らないが偉く気に入られており、今回の合宿での強い味方になるに違いないとは思っていた。
「あ~誰と相部屋かな…真田副部長は嫌だな…」
隣でブツブツと話す切原にククッと笑うと、ムッと睨まれる。
「笑うなよ」
「悪い悪い」
「思ってないだろ!!」
じゃれていると、チャイムが鳴り響く。
どうやら昼食のようだ。
「おっ!!飯だ飯だ!」
切原と話しながら宿舎内の食堂へ移動する。
「あ!高城君、一緒に食べない?」
食事の乗ったトレイを持った杏が笑う。
「橘さんが良ければ」
「やだ!杏でいいのよ?お兄ちゃんも橘だし」
ちなみにあれがお兄ちゃん、と指差して教えてくれる。
「じゃあ、杏ちゃんで。俺の事も名前でいいから」
「わかったわ」
「じゃ、飯貰ったら直ぐに行くから席とっといて」
「任せて!」
杏がテーブルに向かうと同時に、食事を貰いに歩き出す。
「……なんだよ」
「べっつにー」
ニヤニヤと隣で笑う切原にムカつき、頭を叩いてやった。
その後無事に食事を貰い、トレイを手に杏を探す。
少し離れたテーブルからこっちこっち、と手を振られ近付くと不動峰の面々が揃っていた。
「お邪魔します」
「ああ」
席に座ると、微笑む。
「立海の2年、高城晴樹です。一週間よろしくお願いします」
挨拶をすると、杏以外の3人も挨拶をしてくれる。
3年の橘桔平、2年の神尾アキラに伊武深司。
なんだか神尾に睨まれてる気もするがあまり気にせず食事を続けた。
はじめは上手く馴染めなかったが、音楽の話になった途端意見が合いだし、神尾と伊武と話が弾む、軽く料理の話になれば橘が食いついてきて、こちらも会話が弾んだ。
(うん…これなら平気だな)
あの女は自分以外の女には容赦ない、前田だけではなく、杏や他の子達も陥れようとするだろう。
そうなってしまった時、その子が所属する学校の人物達との仲が関係する。
氷帝の奴らみたいにバカでない限り、騙される事はないだろうから。
一先ず安心し、会話へ集中した。
(思ったより溶け込んでいるな)
青学の面子がいたのでチラリと盗み見ていると、前田が面々と仲良くしているのが窺えた。
(これならアイツも初日から動くかもな…)
今この場にいない太田を思い浮かべ、クスリと笑う。
その時、宿舎内に放送が響いた。
どうやら練習開始のようだ。
晴樹は自分が宛がわれたコートに向かう。
因みに振り分けは
Aコートに桜乃と朋香
Bコートに太一と前田
C・D・Eの順で杏、晴樹、太田となっている。
Dコートに着くと、バインダーを手に取る。
バインダーを片手に集まってきた面々を見る。
「皆さんこんにちは、今日一日サポートさせて頂く高城晴樹です。早速ですが1人1人出席とらせて頂きます」
そう言った晴樹に「はぁ?」と声が上がった。
→