打たれたサーブは田中と西谷の間という絶妙なトコに打たれ、青城の点になってしまった。

次はドコだと皆が見るなか、打たれたのは前へゆるく落とす軟打だった。

それもとれず、青城のセットポイントへとなってしまった。

これで決めると、及川は再びサーブを打つ、向かった先は澤村と東峰の間。

「俺が取ォォォる!!!」

「ハイッ!!」

澤村が叫びながらレシーブをし、上がったボールはバックアタックで東峰に出された。

何とか青城はレシーブし、シュルルとボールは飛んだ。

「日向、ダイレクトだァァア!!」

叫んだ影山の指示でなんとか日向は打ったが、凄く弱々しかった。

それを青城はレシーブすると金田一が速攻のため動いた。

それを日向は少し溜めてから飛び、速攻を止めた。

後ろにボールは流れ、青城は走ったが取れず、こちらの点になったかと期待したがアウトと判断され青城がセットを取った。

ワーッと会場は盛り上り、各選手はコートチェンジの為動いた。

「よし!中盤までは相手が一枚上手な感じだったけど、終盤はいい流れで2セット目に繋げてる!相手の攻撃のタイミングも掴みつつある!菅原よく見てたな!」

「あっ、あざす!」

「2セット目は…晴樹を入れていく」

「!!…オス!」

「――で、一番厄介なのは及川のサーブなわけだが―守備を少数精鋭に切り替える!」

烏養の言葉に頷いた。






田中先輩と入れ替わりコートに入り深呼吸をすると、此方を見た及川さんと目が合った。

来たね、と口パクして笑った及川にニッと笑い返した。

ピーッと笛が鳴り2セット目が始まる。

立ち上がりは上々だが直ぐに及川のサーブが回ってきた。

(少数精鋭に)

及川のサーブにだけレシーブに秀でた西谷と澤村の少数二人での対応、他の連中はカバー。

前への緩いサーブは全て晴樹がとる。

その為にローテを少し回したのもある。

一種の賭けかもしれないが、此方の方が断然とりやすく、切りやすくなる。

「「来い!!」」

2人が気合いを入れると同時に、サーブが打たれた。

ギュルッと飛んできたボールは澤村のもとに向かい、見事にレシーブが上がった。

「大地ナイスレシーブ!!」

(及川さんのサーブを一本目で切ることには重大な意味がある。この貴重なレシーブ、決められれば重い一点)

重要かつプレッシャーのかかる一本。

(…田中先輩)

及川さんに飲まれた流れを自ら切ったその力をわけてください!!


「スガさーん!!!!!」


ボールを呼び走り出すとフワッとボールが上がる。

目の前にブロックが来ていたが関係ない。

(切る!!!)

スパイクを打つとブロックの手に当たったが、相手のコートへと打ち込まれた。

「うおっしゃああぁ!!」

烏野からは歓声が上がり皆が歓喜に沸き立つ。

「食らいついて放すな!!!」

聞こえてきた烏養の言葉に皆頷いた。






なんとか一進一退の攻防、なんとか食らい付いていても均衡が崩れる瞬間がくる。

再び及川にサーブが回ってきたとき、ブレイクが起こった。

「チッ…」

ブレイクは流れが動き出す始まり、ここで青城を乗せるわけにはいかない。

「ナイスレシーブ!」

「カバーカバー!」

ボールを繋げ、攻撃を繋げたが―読まれており、ブロックされてしまった。

「?」

その瞬間、ベンチで動きがあった、影山が呼ばれたのだ。

(スガさん…)

ぐっと手を握りしめた菅原は息を吐いた。

「スガ」

「!」

「次の一本俺に寄越せ。絶対決める」

「…!おう!!」

菅原に東峰はそう告げるとポジションに戻った。

「ナイッサー!」

青城のサーブが打たれ、それを澤村がレシーブ、菅原がトスを上げ東峰がスパイクを決めた。

その3人の姿に目頭が熱くなった、そして選手交替の笛が鳴った。

菅原と替わり、影山が入ってくる。

ザッと立ち止まった影山は禍々しい雰囲気を放った後、にっ…と悪い笑みを浮かべた。

「!?」
「!!?」

その瞬間、辺りがざわついた。

「お前っ、何企んでるっ!?そうはいかないぞっ!!」
「翔陽、逃げすぎだろ!」
「翔陽、これは企んでる顔じゃなくて笑顔だぞ!多分!!」
「多分とか言うんじゃないよ西谷!!」
「日向ブットバス!!!」
「おお…!」

いやまあ確かに今の飛雄ちゃんの笑顔不気味だったけど！

「コラー茶化すんじゃないよー」

澤村はそう言った後、表情を引き締めた。

「よし、追い付くぞ!!」

「「「オオ!!」」」

気合いの入った返事をするとポジションについた。

サーブは影山から。

さっきは大分テンパってたけど…

(大丈夫か?)

ジーっと見ていると、影山はニヤニヤ笑った後、深呼吸をして前を見据えた。

(うん、大丈夫だ)

ピリッと味方も感じる空気の違いに笑った。

前を向くとピッと影山はボールを上げサーブを打った。

「っ!!」

「渡!」

サーブは相手のリベロのもとへ向かい、そしてサービスエースを取った。

「飛雄ちゃん!!ナイッサー!!!」

両手を上げて近寄るとん?と頭を捻られた。

「バカ!ハイタッチだよ!飛雄ちゃんのバカ!」

「バカバカうるせぇ!!」

そう言いながらも照れ臭そうにハイタッチをしてくれた。

ニッコリ笑いポジションに戻ると再び影山のサーブ。

相手はなんとかレシーブしたが体勢が崩れた。











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