青葉城西
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「たとえ合図がバレたって日向の一番の武器は“囮”なんだし。お前のセットアップなら青城のブロックだってチョイチョ~イ☆だぜ!!なぁ、日向よ!」
「あっス!」
「あ、あざすっ」
礼を言った飛雄ちゃんに近付くと、頬をむにーっと引っ張った。
「焦んな、落ち着け。及川さんの思う壷だぞ」
「!?…おう」
よしっと笑うと手を離し背を押して送り出した。
(大丈夫かな…)
笑っていたけど少し不安だった。
その後の試合は青城にペースが傾いていた。
及川の策略で後衛にセッターがいるときはサーブでそこを狙ったり、焦った影山を簡単に止めたり。
(なんとか食らい付いてるけど、少し危ないな)
焦んなって言ったのに飛雄ちゃんは焦りだしてるし、やっぱり変人速攻の合図も気付かれてるみたいだし。
(飛雄ちゃんは完全に及川さんに呑まれはじめ合図も気付かれてる)
そうこうしてるうちに再び及川にサーブは回ってきた。
(次は、誰を?)
ピッと上げて打たれたボールが向かったのは田中だった。
(及川さんのモットーは…叩くなら折れるまで)
ムードメーカーの田中先輩を狙いはじめたか。
チラリと繋心さんを見るとTOを要求していた。
戻ってきた選手にタオル等を急いで渡した。
「上でいい!セッターに返らなくても上に上げさえすればどうとでもカバーできる!」
「うす!!」
田中先輩にそう言った後、繋心さんは影山を見た。
「―ところで影山君よ。さっきの“ツー”は、アレは何だね。」
「すんませんした!焦りました!!」
勢いよく頭を下げた飛雄ちゃんに思わず溜め息が出た。
「…自覚があんならいいや。ツーが駄目なんじゃない。攻撃のバリエーションが多いって事を相手に認識させておくのも有効だ。ただ、ツーは読まれたらほぼ止められるからリスクが高い。使いどころは慎重に選べよ」
「うす」
「あと、何と戦ってんのか忘れんなよ。“及川”じゃなく“青葉城西”だ。そんで戦ってんのはお前だけじゃなく“烏野”だ」
その言葉に影山は頷いた。
TOはあっという間に終わり引き続き及川のサーブ。
一度目は上がったがダイレクトで相手に打たれ、二度目も上がり田中にボールが出たがドシャットされた。
(田中先輩…)
TOが再び取られ、誰もが狙い打ちされてる田中を心配そうに見ていたが、それを断ち切るように、振り切るように、気持ちを入れ替えるように頬を自分でビターン!!と叩いた。
「スンマセンしたっっ!!」
「龍!!しょうがない事もあんだろ!今のトスはムズかったし3枚ブロックだったし。俺もフォロー…「俺、今、トス呼ばなかった!!!一瞬ビビったんだちくしょう!!!」
頭を下げた田中を皆驚いたように見ていた。
「後悔は試合終わってからクソ程する!!大して取り得も無え俺が、てめーのミスに勝手に凹んで足引っぱってちゃどうしようもねぇ!!!次は決めますっ」
その言葉に繋心さんは笑い、自分もホッとした。
TOが終わり、集中の切れた様子の無い及川がボールを打つ。
それを田中は胸で受け止めた。
なんとかそれを皆でフォローし、青城コートへ返した。
スパイクが打たれブロックは抜けられたが西谷が拾った。
「レェェフトォォオ!!!」
「田中さん!!!」
ボールを寄越せと叫んだ田中はスパイクを打ち込んだ。
見事に点が決まり、及川に持ってかれた流れを自分で切ったのだ。
「田中先輩ー!!!!ナイスです!!!!」
「任せなっ」
ピッと親指を立てた田中先輩に親指を立て返したカッケー!!!
すっかり田中先輩も調子を取り戻してホッとしたがん?と疑問を感じた。
(飛雄ちゃんの奴…)
「焦りすぎだろ…」
ギリッと歯を噛み締めコートを見つめた。
嫌な感じに加速している、それはブロックから逃れたい一心で無意識に“打ち易さ”より“速さ”を優先した結果ほんの少しずつ、次第に大きなズレを起こす。
何回かボールが行き来した後押し合いになり、それに負けてしまった影山は更に焦り遂にコンビミスを起こしてしまった。
なんとかフォローに皆が回ったが結局、青城に点を取られてしまった。
その直後、笛が鳴り交代が告げられた、セッターの交代、菅原が入り影山が出た。
ベンチに戻ってきた影山に日向がお前を倒すのは俺だと、それまで誰にも負けんじゃねえとの言葉にまだ負けてないと影山は返していて、まだ心は折れてないと菅原は安心した。
皆が沈黙してるなか、菅原さんはコートの皆に次々とチョップをし、にっと笑った。
「大丈夫!一本切ってくべー!!」
おっしゃーと気合いの入る皆をおぉ~…と日向は見た後チラと影山を見た。
「?何だよ」
「ホラもーお前、顔怖いんだよ」
「元々こういう顔だ!!」
「ピリピリしてよーあんましゃべんなくなってくしよ~」
隣でそんな会話をする2人にフッと笑った。
「飛雄ちゃん、翔陽に言われる位には声出てなかったし、余裕も無くなってたぞ」
ガーンとショックを受ける飛雄ちゃんにククッと笑うと、コートに目を移した。
落ち着いた雰囲気の戻った烏野にホッとした。
コートを観察していると、及川さんが岩泉さんに声をかけていた。
その視線の先はスガさんで、狙うつもり何だろうけどスガさんもそれは解ってる筈。
試合が続行され青城がスパイクを菅原のいる場所へストレートで打ったが切替えで場所を入れ替わった月島が見事に止めた。
その後は日向が相手のスパイクをブロックしたり、こちらのスパイクが決まったり、一気にテンションが上がった。
(スガさん…)
スガさんもずっと、シミュレートを繰り返し、色々考えてきた烏野のセッターなんだ。
一筋縄では行かないッスよ、及川さん。
試合が続き及川のサーブが再び回ってきた。
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