伊達工業
名前変更
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そのすぐに7番も前衛に上がってきたので皆に緊張が走る。
(ああ、いい感じ)
ペロリと唇を舐めると試合に集中する。
再び変人速攻が決まった時、伊達工業のタイムアウトが取られた。
「旭さん」
タイムアウト中に声をかけると静かに頷いた。
皆が10番の日向に注目してる。
日向が光れば光る程、相手のブロックは目がくらむ。
気合いを入れ直すと、コートに入る。
「飛雄ちゃん、俺にもボールもっと頂戴」
「ん?ああ」
目眩ましか二人もいれば、更に目がくらむでしょ?
笑う晴樹に影山も笑った。
そこからも一進一退の試合が続いたが、晴樹の高い打点からのスパイクやテクニックにより晴樹にも注目が集まってきた。
(うん、いい感じ)
そう思うが伊達工業も強い。
7番の、伊達工のブロックはそうそう破れない。
「日向頼んだ!」
「ハイ!!」
日向はスパイクを打つが止められてしまう。
それを拾ったのは西谷だった。
「西谷ァァァ!!」
「西谷先輩ィ!!」
上がったボールを見て走り出す。
日向も既に戻っていて澤村さんも走っていた。
「持って来ォォい!!」
「こっちだァァ!!」
飛び上がると、日向にも晴樹にもブロックが付く。
グワッとブロックは跳ぶが、2人ともスパイクを打とうとはせず、スッと頭を下げた。
「!!!」
エースの前の道を、開く。
ボールは後ろで飛び上がっていた東峰へと出され、誰もが日向か晴樹にボールが上がると思っていたので驚いた。
ズドッと東峰のスパイクは決まり、誰もが歓喜の声を上げた。
チラリとベンチを見ると、静かにスガさんがガッツポーズをしていて笑みが浮かんだ。
(ああ…良かった)
スガさんや旭さん達の胸の中でつっかえていたものが無くなったような気がした。
(さあ、こっからが正念場)
その後、1セット目をなんとか取った。
「旭さん」
「ん?」
コート交換の時に近付くと、声をかける。
「ネットの“向こう側”見えましたか?」
その質問に東峰は目を見開いた後、笑って頷いた。
「バッチリ、見えたよ」
なら良かったと笑うと、繋心さんの集合がかかったので集まる。
2セット目はローテーションを2つ回して翔陽と7番がマッチアップするのを減らすつもりで行くみたいだ。
いくらか分散させる分他にマークが回る。
(あれ?)
俺マッチアップしないんじゃ…?と疑問を持ち頭を捻りながらコートに入った。
翔陽の囮も機能して大分注意が集まっているが、それでも7番の反応は早い。
2セット目も一進一退の攻防。
旭さんが前衛にいる間はもちろん旭さんに注目が集まるが。
「俺だってエース狙ってんだ!!」
速攻を決めて息を吐く。
(まだ、獲る!!)
そう気合いを入れて丁寧に確実にボールを繋げて点を獲る。
確実に点を重ね、烏野のマッチポイント。
日向が後衛に下がり伊達工は一番ブロックの強いターン。
誰もが息を呑むが、晴樹は大丈夫だと確信していた。
だって前衛には旭さんがいるのだから。
試合は続き烏野の攻撃、万が一スパイクが返された時の為に後ろにも気を張っていると、旭さんが打ったスパイクがブロックに止められてしまった。
「!」
フワッと後ろに流れたボールに誰もがヒヤリとしたが晴樹が走っていた。
「上がったァアア!」
「飛雄ちゃんカバー頼む!」
飛び込みながら何とかボールを上げる。
「レフト!もう一本!!」
「っ!東峰さん!」
東峰の声に影山は反応すると、ボールを繋げた。
しかしほぼ真後ろからのトス、かなり難しい。
なんとか旭さんは喰らいついたが押し合いになり、グッと弾かれてしまった。
「!?」
誰もがボールが地に着く、間に合わないと思ったが、反射的に西谷の足が出てなんとかボールは上がった。
「影山カバー!」
その言葉に影山は周りをチラリと見た。
「もう一回!!!」
「!」
「もう一回!!!」
「“決まるまで”だ!!」
スガさんと旭さんのその言葉に飛雄ちゃんはフワリとボールを上げた。
(うん、これでいいんだ)
今のベスト。
「行け!旭!!行け!!!」
「ブチ抜け旭!!」
3年に背を押され東峰は渾身の力でボールを打ち込んだ。
ブロックの手に当たり横に流れたボールはネットに当たり、静かに相手のネットへ―落ちた。
「オオオっしゃあああ!!!」
ホイッスルが鳴り、皆が喜びの雄叫びを上げた。
―試合終了 セットカウント2-0 勝者:烏野高校
整列をして挨拶をし、前の選手と握手をしてコートから出ようとしたらぬっと手が伸びてきた。
驚いてそっちを見ると、伊達工の7番の選手だった。
翔陽とも握手を交わしていたのを見てたので、好敵手として自分も見てもらえたようで嬉しくて笑顔で握手を交わした。
「やったっスね旭さん!!」
西谷先輩の声に振り返ると旭さんに翔陽と二人で駆け寄っていた(ちなみに翔陽は何を言ってるのか解らなくてツッキーに日本語しゃべりなよと突っ込まれていた)
「…俺は、エースだけど。お前らはヒーローだな」
旭さんのその言葉にニカッと笑った。
その後ボールの入った籠を押しながら今日の事を考えていた。
(翔陽と飛雄ちゃんの速攻、誰も合図気付いてなかったな。だけど…)
何時もヘラヘラ笑う男が頭に浮かぶ。
(あの人はきっと直ぐに気付く)
グッと籠を押す手に力が入ったとき、隣のコートから歓声と黄色い声が聞こえてきた。
振り返るとそこでは青葉城西の初戦が行われていた。
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