予選開始
名前変更
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「おはようございまーす!!」
「お~おはよ」
先輩達に挨拶をして談笑しているとバスと共に武田先生がやって来た。
「よーし!忘れ物無い?出発するよー!」
「お願いします!」
「「「しァース!」」」
バスに乗り込むと、仙台市体育館に向かって走り出した。
体育館に着いて皆降りると入口へと向かう。
「…トリ…烏野?」
「…カラスノじゃね?」
「烏野?知ってる??」
入口横にある掲示板の前で話す2組の会話が耳に入りチラリと視線を向ける。
「前まで強かった学校じゃん?」
「“前まで”ね。今はなんかね~ダサい異名ついてんだよ」
「えっ、どんな?」
会話は他の人達にも聞こえていたみたいで、威嚇だったり無表情だったりと各々の反応を見せていた。
「確か―“堕ちた強豪”“飛べない烏”」
ニコニコと笑って話していた人物の後ろに一度立ち止まるとそれに気付いたもう一人の人物がヤバイと肩を叩いた。
「飛べない?何ですって??ん?」
「コラ行くぞ!…スミマセン」
「あっ、イエ」
絡み出した田中先輩は澤村さんに直ぐに回収され、また歩き出す。
「あ…!あれは…!まさか…!?」
ぞろぞろと歩いていると、ヒソヒソ話が耳に入ってきた。
「烏野の…“アズマネ”…!!」
どうやら話題に出たのは旭さんのようだった。
「え、何、誰?」
北高の奴を手下使ってボコらしてたとか…
路上でなんかヤバいモン売りつけてたとか…
5年留年してるんだって…
ええ!?成人じゃん!
ヒソヒソと聞こえてくる会話の内容に旭さんは涙目になっていた。
「まあまあ、いつもの事じゃん」
「見た目がそんなんだからだろォ」
菅原と澤村の言葉に東峰は肩を揺らした。
「俺はっ、なんかこう…外見からでもワイルドな感じになりたいと思ってっ」
「「ホラもーそういう事言うところがワイルドじゃないもん」」
「~~っ」
2人に言われて落ち込む東峰の肩を叩いたのは西谷だった。
「いいじゃないスかどう見られるかなんて!自分でカッコイイと思ってれば!!」
「「こういうのをワイルドという」」
わはは!!と笑いながら言った西谷先輩の肩をスガさんと澤村さんは叩きながら旭さんを見た。
「西谷先輩…相変わらずカッコイイっす…!!」
「眞島まで…!!」
そんなにダメかなと落ち込む旭さんに苦笑すると、近付いて頭を撫でた。
「元気出して下さい、旭さんには旭さんで良いところがたくさんあります。その事を知らずに好き勝手言う奴なんか放っておいたらいいんですよ!俺はそのままの旭さんが好きですよ?」
「眞島…!!」
「「因みにこういうのを無自覚タラシと言う」」
「えっ!?」
スガさんと澤村さんの言葉に驚いていると、他校生の声が耳に入った。
「おい、アレ見ろ見ろ、かわいっ」
生徒が注目してたのは清水先輩だった。
清水先輩が可愛いし綺麗なのは当たり前だろじろじろ見るな。
不躾な視線にムッとして旭さんから離れ清水先輩を隠すように近くに立った時田中先輩と西谷先輩が番犬と化した。
「やめなさい」
それに気付いた清水先輩は2人の頭を叩くと先生と歩いて行った。
「なあ、あの小さい奴って…千鳥山の西谷だよな…?中総体でベストリベロ賞獲ってた…」
「え!!そうなの!?」
(そうだよ!!もっと勉強しやがれ!!)
無知だなーって睨んでると、場が一気にざわついた。
「それだけじゃない…オイ、アレッてアレだろ…天才セッターって噂の――北川第一の“コート上の王様”…!?」
「プッ」
「プース」
その言葉が耳に入った飛雄ちゃんは王様と言った人物を睨み付け、近くにいたツッキーと共に俺は思わず笑ってしまった。
「じゃあさ!あいつは!?あっちの小さい奴も何か凄い奴!?」
会話の内容からして翔陽の事だろと思い笑った。
(今は無名でも直ぐに有名になんぞ)
少し得意気になっていると、さっきより周りがざわつき始めた。
「おい、アレッて…!!」
「まさか、だよな…?」
「いや、雑誌にも載ってたし、間違いない!“コート上の鷹”だ!!」
耳に入った言葉に相手を睨み付ける。
「プース、王様以上に人気だね」
「晴樹はやっぱり凄いね!」
笑うツッキーと忠が両サイドにやってきて俺を挟むように立つ、後ろには飛雄ちゃんが立って俺以上に色んな奴を睨み付けていた、いやなにこの包囲網。
(まあ…周りからは見え辛くなるからいいか)
「サンキュー」
「え?」
「いや、なんでも」
「うおおお…!」
ニッと笑うと、変な声を上げた翔陽を見た。
「人がいっぱいだ…!!体育館でけぇっ…!そしてっ、エアーサロンパスのにおいっ…!」
「何言ってんだオマエ」
「このニオイって“大会”って感じすんだよ!」
「わかる!」
翔陽の言葉に飛雄ちゃんが怪訝そうに視線を向け、西谷先輩が翔陽に同意していた。
「うわっ、こっちからも来たっ」
「ゲッ、でかっ」
「伊達工業だ…!」
周りの声に後ろを振り返ると伊達工業の選手が立っていた。
その先頭に立っていた眉無しの選手は急に東峰をビッと指差した。
「なんだ、てめー」
その行動にムカついて前に出ようとした西谷を東峰が止めしっかり相手を見返した。
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