予選前
名前変更
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「大地さんナイスレシーブ!」
「ナイス!」
「ブロックフォローちゃんと入れ!見てんじゃねーぞ!」
音駒戦後日、熱が入る練習を皆こなしていく。
「“これが最後の一球!”常にそう思って喰らいつけ!!そうじゃなきゃ、今疎かにした一球が試合で泣く一球になるぞ!!」
繋心さんの言葉に先日の話を思い出す。
『皆さん、今日の音駒戦お疲れ様でした!』
「――で、早速ですがIH予選は来月6月2日からスタートです」
「宮城は地区予選ねえからすぐ県予選だ。全国大会へ進めるのは県内約60チーム中1チームのみ、1回負けた時点で道は途切れる。音駒にリベンジしたきゃまずこの宮城で1番になる他無い、2位じゃ駄目だ。まあ、音駒にも東京代表に入ってもらわねえとなんないけどな」
東京は確か学校多いから代表は2チーム選出だったかな?
「大丈夫っスよ、アイツらなら!」
「おお、強かったっスもん」
繋心さんに力強くそう言ったのは田中先輩と西谷先輩だった。
確かに音駒は強い、だから俺達も、勝ち抜いてもう一度音駒と…!!
気合いを入れ直し、飛んでくるボールをジッと見つめた。
「お疲れした!」
「「「シターッ!」」」
練習が終わり片付けも終えた頃に何か楽しそうな声が聞こえた。
「うぉ」
「ホントだスゲー!写真でけー!」
「なんスか!?どしたんスか!?」
翔陽と飛雄ちゃんと一緒に田中先輩達に近付くと「ホレ」と雑誌を渡された、月刊バリボーだ。
「“高校注目選手ピックアップ”…?」
「今年の注目選手の中でも“とくに注目!”ってなってる全国の3人の中に白鳥沢の“ウシワカ”が入ってんだよ」
「白鳥沢って影山が落ちた高校!!」
「うるせえ!!!」
「ククッ…」
田中先輩の言葉に対して翔陽が返した言葉に笑ってしまった、だって面白いんだから仕方ないじゃんだから睨まないでよ飛雄ちゃん。
「……で…“ウシワカ”…って?」
「なんだ、知らねーのか」
「日向は“小さな巨人”ばっかだもんな」
スガさんはニシシッと笑った。
「ウシワカってのは通称で、ちゃんとした名前は牛島若利、3年。県内では間違いなく今No.1エースだ」
「へ~」
「うーん、これぞまさに“エース!”って感じだよなァ」
「オイなんでこっち見てる!」
翔陽に説明していると、後ろから澤村さんがひょこっと顔を出してそう言った後旭さんを見た。
そして落ち込んだ旭さんに思わず苦笑した。
「影山、こんな奴居るトコ行こうとしてたんだなァ」
「そんでアレだろ、超高校級エースに向かって“もっと速く動けへたくそ!!”とか言っちゃうんだろ??」
「言いませんよ!」
「そんなこと言ったら即戦力外通達だな、そういう人だし」
「随分と詳しいみたいだね、ウシワカのコト」
ボソッと呟いたのを目敏く聞いていたのはツッキーだった。
「…これを倒さないと、音駒とは戦えない…」
ツッキーが追及してくる前に翔陽が口を開いたので意識が逸れた。
「コラコラ、白鳥沢だけが強敵じゃねーぞ」
繋心さんはそう言いながら紙を取り出した。
まずは―守りと連係に優れた「和久谷南」高さはそれ程でも無いがレベルの高いレシーブ力を誇り去年から主力だった中島猛が3年になってチームの完成度が一段と増している。
次に「和久南」とは別のタイプで守りの堅いチーム―“鉄壁”の一言に尽きる「伊達工業」どこよりも高いブロックを誇るチームで今年の県民大で2-0で負けてしまっている。
伊達工業の話になった時3年と西谷先輩の表情が少し堅くなった。
(多分、旭さんが潰されたのは伊達工業との試合だろう)
チラリと旭さんを見た後繋心さんに視線を戻した。
次は一度試合したことがある、セッターながら攻撃力もチーム1でセッターとしても優秀、恐らく総合力では県内トップ選手の及川徹率いる青葉城西。
及川という単語が出ただけで皆の表情は厳しくなった、だいぶ嫌われてるな流石だ。
―あとは言わずもがな―超高校級エース牛島若利擁する王者白鳥沢。
次々と調べた情報を話す繋心さんを澤村さんとスガさんは何とも言えない表情で見ていた。
「な、何だお前らその表情は」
「一見ズボラそうなのにちゃんと調べたりするんだなって表情かと」
「なっ!?」
「よくわかったべ眞島!」
晴樹の言葉に澤村と菅原は随分と驚いた。
「昔からそうでしたからね~」
「うるせえ!!」
顔を真っ赤にする繋心さんに笑った。
「そう言えば、俺と西谷が戻る前に青葉城西には勝ってるんだよな?」
旭さんの言葉に澤村さんは冷や汗を流した。
「あの時は肝心の“及川徹”がほぼ居ない状態だったんだよ」
「そんで及川が入った途端に一気に追い詰められた」
その言葉に皆静かになった。
「―と、まあこの辺が“俺的今年の4強”だ―と言ってみたものの“上”ばっか見てると足掬われることになる」
繋心さんは悪い顔で笑った。
「大会に出てくる以上負けに来るチームなんか居ねえ、全員勝ちに来るんだ。俺達が必死こいて練習してる間は当然、他の連中も必死こいて練習してる。弱小だろうが強豪だろうが勝つつもりの奴等はな。それ忘れんなよ」
「オス」
「―そんで、そいつらの誰にも、もう“飛べない烏”なんて呼ばせんな」
「「「あス!!」」」
繋心さんの言葉に皆元気良く変事をした。
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