音駒
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5月6日 AM8:50 烏野総合運動公園 競技場
無言で皆前方を見つめながら歩く。
「………晴樹」
「…なんですか」
繋心さんに名を呼ばれて視線を向ける。
「俺、タバコ臭くねえかな?湿るくらいにはファブリーズしてきたんだけど」
「………」
すんすんと服の匂いを確かめる繋心さんに思わず溜め息が出た。
「ラベンダーの香りがぷんぷんしますよ」
「………」
そう返事をすると無香料にすべきだったか…と落胆していた。
「集合!!!」
澤村さんの号令に皆集まる。
音駒が既に並んでいるみたいで烏野も整列すると翔陽が「あ゛っ!!?」と声を上げた。
音駒の列に先日会った孤爪研磨がいたからだ。
翔陽の口を抑えたところで互いの挨拶が行われた。
「ちょっと行ってくる!」
「失礼ないようにな~」
研磨に向かって走る翔陽を見送ると体育館に向かう。
視界の端でなんだコラやんのかコラと威嚇し合ったのち怒られてる人達は見なかった事にしよう。
「晴樹」
「??あ、研磨」
追い掛けてきた研磨と一緒に中に入る。
「また会ったね」
「…晴樹は解ってたんだ」
「ジャージのズボンに書いてたから」
「…よく見てるね」
だろ?っと笑うと研磨も笑った。
体育館の中に入ると澤村さんとクロさん(黒尾って言うらしい)が握手をしていたが何と言うか黒いオーラが出ていて研磨と二人肩を揺らした。
「……また後で」
「……うん」
そっと目を反らしてそれぞれ歩き出した。
音駒高校対烏野高校 因縁の再戦 開始
ユニフォームに着替えて試合のアップを始める。
体育館には以前対戦した烏野町内会の人やその他の町内の人達も来ていた。
「集合」
澤村さんの声に円になる。
「――正直言って俺達は、顔合わせたばっかの面子でデコボコでちぐはぐでしかも今日がこの面子での初試合。そんで相手は未知のチーム。どんな戦いになるかわからない、壁にブチ当たるかもしれない。でも、壁にブチ当たった時は、それを越えるチャンスだ」
ニッと澤村は笑った。
「いくぞ!」の掛け声に皆気合いを入れコートに向かう。
「音駒高校 対 烏野高校 練習試合始めます!!」
サーブは音駒からで打つのは研磨、コースは角ギリギリで威力はないものの良いコースだ。
東峰がレシーブを返すが少し短くて西谷にサボるからっと怒られていた。
直ぐ様影山がカバーに入ると同時に日向が走り出し本日一本目の変人速攻が決まった。
「ナイス!!」
皆が声を掛け合い次は烏野のサーブ。
しかし完璧に返された。
その後相手のスパイクが打たれたが西谷が拾い東峰が逆にスパイクを決めた。
再び皆が盛り上がる中、その試合の様子をジッと晴樹は見ていた。
「なんっか、気持ち悪いな…」
「どうかしました?」
「様子を窺われてるっつーか…観察されてるっつーか…」
そう言った繋心さんの言葉は強ち間違いじゃないなと思った。
その後も試合は接戦で進んでいたが音駒のタイムアウトが入った。
「お疲れさん」
戻ってきた選手に声をかけてドリンクを渡す。
タイムアウトが終わり選手がコートに戻り試合が再び開始される。
(……ん?)
音駒の7番が翔陽に徹底的についてる…?
それに徐々に翔陽が打つ速攻に触られ始めている。
(早い)
翔陽に追い付く奴は早々いない(多分)
翔陽が前衛に出たときなどにも見られたが翔陽への対策がとことんされ始めた。
(研磨だな)
試合が始まってから研磨は
音駒はレシーブが安定しているから研磨は殆ど動かずにすむ上に鋭い観察力でタイミング良くツーアタックを入れたり視線フェイントを使ったり。
「強いな…」
試合、したい。
うずうずする体を抑え試合展開を見ていると遂に翔陽が―捕まった。
完璧に捕らえられてしまった翔陽のスパイクは決まらなくなった。
だけど何度も何度も翔陽は挑戦する。
ツッキーがチラリと繋心さんを見て交代させないのか気にしていたが、今は練習試合。
今のうちに解決策を探すのが得策だろうと繋心さんも答えていた。
しかし、翔陽が挫けるなら交代をする必要はあると思うとも言っていたがアイツはそんな奴じゃない。
再び打ったスパイクが止められた翔陽だったが、静かに―笑った。
「アイツ…」
やっぱり面白い奴だ。
笛が鳴り試合が続き再び翔陽にトスが上げられる、その時一瞬翔陽がトスを見た。
「今…日向、トスを、見た…!」
スガさんの驚きの声に頷いていると繋心さんが慌ててタイムアウトをとった。
そして飛雄ちゃんにダイレクトデリバリーではなく少しだけフワッとしたインダイレクトデリバリーを出すよう指示した。
その後は日向は見よう見まねでブロックを避けようとしていたが上手くいかなくて少し焦ってるようにも見え、繋心さんが二回目のタイムアウトをとった。
「すっ…すみません。おれ…ミス沢山…」
「何を言うか!!俺はいっつもお前のお陰でフリーで打ててるからな!たまには俺の方がカッコイイ試合があっても良いんだ!」
謝る日向に田中は笑った。
「旭さんの方が決めてるけどな!」
「うるせえ!とにかくいいんだ!ねっ!?旭さん!!」
「あ!そうそう、うん、そうそう」
西谷にツッコミを入れられた田中は東峰に振った。
「点は俺達が取り返す」
旭さんの言葉に翔陽は笑い俺も思わず笑った。
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