合宿
名前変更
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「研磨!」
「あっ、クロ」
自分を呼んだクロという人物を研磨は見たが、手は離されなかった。
ますます困惑していると、クロさんもコート上の鷹だと呟いた。
「あの…俺を知ってるんですか?」
「ああ…知らねえの?昔雑誌に載ってたぞ。ほら、月刊のやつ」
マジか…と溢れた言葉に研磨は笑った。
「凄く…かっこよかった」
「かっこ…!!?」
ヤバイ、今絶対顔赤い、ふわっと笑った研磨を不覚にも可愛いと思ってしまった…
「てか、普通に全国も行ってるしテレビでも結構流れてたしバレーに熱心な奴は大体知ってると思うぞ」
「テレビ!?」
「晴樹凄いな!!」
ぴょんぴょん跳ね出した日向とは反対に晴樹はしゃがんだ。
「恥ずかしい…」
「おっと、照れてるところ悪いがもう行かないと…研磨」
名を呼ばれた研磨は名残惜しそうに手を離した。
「“またね”翔陽、晴樹」
「!!“またね”研磨」
またねの言葉に日向はハテナを浮かべていたがあることに気付いた晴樹は笑って手を振っていた。
2人を見送り見えなくなると眞島は日向の首根っこを掴んだ。
「さあ、戻るか…主将がお怒りだ」
悲鳴をあげた翔陽だったが、お構い無しに歩き出した。
5月3日 11:05 烏野高校第二体育館
「ラスト一本に何本かかってんだ!集中しろ!」
「も、もう一本!」
午前練習でレシーブ練習、それが終わりラストにサーブ練習。
くるっとボールを回すと上に投げる。
もっと高く、もっと鋭く、もっと力強く、もっと確実に。
一本一本を大切に、目に見えない敵を思い浮かべながら打ち込んでいく。
「昼ーっ!!!」
澤村さんの号令に皆飯だと笑顔を溢す。
「晴樹!!飯だ飯!」
「そうだな、飯だ」
ぴょんぴょん跳ねる翔陽にニッと笑うとさらにテンションが上がったのか跳ねる回数が増えた。
「暑苦しいぞボゲェ!!」
「そういう王様もね~」
「そうそう!」
飛雄ちゃんをからかう様に見るツッキーと忠だが疲れてるのか若干覇気がない。
「おら!キリキリ歩け!」
「早く飯行くぞ!」
田中先輩と西谷先輩にも言われてぞろぞろと歩き出す。
皆と話ながらチラリと後方を見ると武田先生と繋心さんが話をしていて、その姿を菅原さんが見つめていた。
「菅原さん」
午後の練習に向かう前、菅原さんを呼び止めた。
「ん?どうした?」
ジッと見つめてきたまま黙る晴樹に菅原は冷や汗を流す。
「眞島?」
「…いえ、俺のお節介でしたね」
「え?」
ニコリと笑う晴樹に菅原は驚いたように目を見開いた後、困ったように笑った。
「お見通しか…眞島は何だか怖いな~色々と」
「そうでもないですよ」
笑いながら返事をすると菅原さんもニカッと笑った。
繋心さんは菅原さんと飛雄ちゃんどちらをセッターとして起用するか悩んでる筈だ。
戦力で言えば飛雄ちゃん、信頼で言えば菅原さん。
その悩んでる繋心さんを菅原さんは見ていて、菅原さんは菅原さんで正セッターを外され悩んでいたから思わず声をかけてしまったのだ。
だけど菅原さんは自分で答えを出していた、だから自分はなにかしたかったがお節介にしかならなさそうだ。
「飛雄ちゃんには飛雄ちゃんの、菅原さんには菅原さんの戦い方があります。ので、菅原さんが試合に出たときは俺の事も遠慮なく使ってくださいね」
へらりと笑えば菅原さんは満面の笑みで笑った。
「ありがとな…後、俺の事はスガでいいかんな!」
「はい!スガさん」
返事をすると2人で午後の練習へ向かった。
午後の練習も中々ハードで皆へばっていたが食事の時間になると元気を取り戻していた(若干2名を除いて)
スガさんは自分の考えを繋心さんに伝えたらしく、なんだかすっきりした顔でご飯をもりもり食べていた。
それを見る澤村さんも旭さんもなんだかすっきりした様子で見ていてホッとした。
「おい!お前もしっかり食え!」
食事の手を止めて様子を見ていたのを食欲ないと勘違いしたのか西谷先輩に背を叩かれた痛い。
「しっかり食べないともたないぞ!」
「ですね!じゃあ、おかわりする勢いで食べますよ!」
実際お腹は物凄く空いていたのでもりもり食べ始める。
翔陽と飛雄ちゃんがなんか張り合ってきたけどなんなんだコイツら勝負しないと生きてけないのか。
「……よく食べれるね」
その様子を見ていた忠がはぁ…と溜め息を溢した。
「食欲ないのか?」
「ちょっと…」
「でも、食わないとマジでへばるぞ」
ほれっとおかずを箸で掴むと忠の方に差し出す。
「え!?あ、なに…?」
「え?食べさせてやろうと思って」
あーん、と悪ノリ倍増で忠を見つめると顔を真っ赤にしておかずを食べた。
「その調子でもうちょい食べないとな!」
「わ、わかったから!自分で食べるから!」
わたわたと慌てる忠にそうか?と返事をして自分の食事に戻る。
「本当…自覚ないし、なんだか山口には甘いよね…」
それを隣で見ていたツッキーが溜め息を吐いた。
「忠はほら、なんか構いたくなるよな」
「へっ!?」
すっとんきょうな声を出したかと思うと忠の頭から煙が出てボンっと音がした忠スゲー。
「でも、ツッキーも構いたくなるな。食事に関しては、なんかひょろいし」
ほら、あーんとおかずを差し出すと苛立った様子でツッキーはおかずを食べた。
「眞島もひょろいクセに、人の事言えるの?あ、そうだ、食べさせてあげようか?」
ニヤニヤと笑うツッキーがおかずをこちらに向けてくる、というか今ひょろいって言ったかこの眼鏡。
「俺はひょろいんじゃなくて引き締まってるだけだ!」
「僕だってひょろい訳じゃないけど?」
睨み合っていると後ろから頭を叩かれた。
「いいか、喧嘩してないでへばらないようにしっかり食え」
西谷先輩が怒った様子でそう言ったので大人しく返事をして食事を続けた。
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