リベロとエース
名前変更
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「おれ、エースになりたいから、本物のエース、ナマで見たいです!」
その言葉に言葉を無くした東峰は悪いと謝り、俺はエースじゃないと去っていった。
「あの…」
怪我とかですか?と尋ねた影山に菅原は首を振った。
きっと、バレーを嫌いになってしまったかもしれないのが問題だと。
「……“潰され”たんですね、試合で」
「………ある試合でね、徹底的にブロックに止められてさ」
「!?えっ…そっ…」
「“それだけ?”って思うだろ」
言葉に詰まった日向に菅原は苦笑した。
「エースは一挙一挙見られ狙われマークされるのは当たり前じゃないでしょうか?」
「眞島の言うとおり当たり前なんだけどさ、“あの試合”ではそれがとにかく徹底的で烏野は何もできなくて…旭は人一倍責任を感じちゃう性格だから…」
沈黙が訪れた後、時計を見た菅原に部活が始まると言われ慌てて走り出した。
「う~ん…」
「何だよ」
「…それで嫌いになっちゃうモンなのかなあ~」
「…その試合で…何か…もっと色々あったんだろ」
体育館へ向かい走ってる途中、翔陽が言った言葉にん~と考え口を開いた。
「てかさ」
「?」
「旭さんがまだバレーを嫌いになったとは決まってないと思うぜ」
ニッと2人に向かい笑うと飛雄ちゃんも笑い翔陽は気合いが入ったのか飛び上がった。
「サッこォーい!!」
「一本ー!!」
レシーブ練習が始まり皆が気合いを入れる。
「ん、ローリングッサンダァァァ!!!」
西谷の声にその場がしーんと静まり返った。
一番始めにハッとしたのは菅原だった。
「…あっ、うん。ナイスレシーブー!」
「普通の回転レシーブじゃねーか“サンダー”どこ行った!」
「コラー変な事叫びながら動くんじゃないよ危ないよー!」
「何で叫んだんですか?」
「何…今の…」
上から菅原、田中、澤村、影山、月島が言い、月島の隣では山口が笑いを堪えていた。
「影山・月島・山口纏めて説教してやる、屈め!いや座れ!俺の目線より下に来い!!」
「教えて!ローリングサンダー教えてえええ」
怒る西谷に日向は教えてくれとせがむ。
「くっ…西谷先輩可愛いっすね…くくっ…」
「晴樹!てめぇも座れ!」
目をつり上げる西谷先輩の前にちょこんと座って見上げる。
「おおっ…?」
まさか本当に座ると思ってなかった西谷は恥ずかしそうに目を反らした。
「おつかれさまーっ」
頭にハテナを浮かべていると、体育館の扉が開いて武田先生が入ってきた。
「集合ーッ」
「オース!!」
号令に先生の周りに集まる。
「皆、今年もやるんだよね!?GW合宿!!」
「ハイ。まだまだ練習が足りないですから」
先生の言葉に澤村は頷いた。
「それでね…GW最終日練習試合組めました!!」
先生の言葉に皆は驚いたり笑顔を見せたり各々の反応をした。
「あ、相手は…!?」
「東京の古豪「音駒高校」」
「音駒ってあの…ずーっと烏野と因縁のライバルだったっていう…?」
「うん!確か通称―“ネコ”」
武田先生の言葉に確か…と頭を捻る。
その時に田中先輩と菅原さんが翔陽に説明してるのを聞いてやっぱりと一人納得した。
前の監督がずーっと昔からのライバルで前はよく互いに遠征に行っていたと。
練習試合があると近所の人は皆見に行ったらしい、名勝負“猫対烏、ゴミ捨て場の決戦”と言われてたらしい。
ツッキーが冷静に「それ本当に名勝負だったんですか」って突っ込んでた、俺も思ったけどさ。
その後は澤村さんの号令があり練習を再開してその日は終えた。
「お疲れした!」
「シターッ」
ドリンクを飲んでいると、翔陽が口を開いた。
「…“アサヒさん”が戻ってくれば、菅原さんも西谷さんも何か色々うまくいくのかな」
「知らね」
「飛雄ちゃんツメテー」
睨まれたが謝らないぞ。
「アサヒさんは人一倍責任を感じる人だからって言ってたけど、菅原さんもそんな感じだ」
「どっちも自分に責任感じてんだろ。けど、一人で勝てるわけないのにな」
飛雄ちゃんの言葉に翔陽が驚いた顔で指を差すから頭にハテナを浮かべる。
「!?おっ…お前がソレ言う~!?おれはお前の“名言”鮮明に覚えてるぞ!」
「名言?」
頭にハテナを浮かべたまま翔陽を見ていると髪の毛をぺたりと抑えた。
「レシーブもトスもスパイクも、全部俺一人でやれればいいのにって思います」
「!!うるせえええ!!」
「ブフォ!!」
怒る飛雄ちゃんには悪いが吹き出してしまった。
「やばっ、翔陽、それ飛雄ちゃんの真似だよな?クッ…似てる似てる…ププッ…」
「やれればいいのにって思いますっ」
もう一度真似した翔陽を飛雄ちゃんは投げ飛ばしたが翔陽は綺麗に着地した、アイツほんと凄いな。
「…ネットの“こっちっ側”はもれなく味方のハズなのに」
「えっ?」
「“こっちっ側”がぎすぎすしてんの、やだな。どうすれば戻って来んのかな“アサヒさん”」
翔陽の言葉に、黙り込んでしまった。
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