リベロとエース
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青城との試合の翌日放課後、第二体育館へ向かうと飛雄ちゃんがサーブ練習をしていた。
ドギュッっとボールが打たれると思わず体が動いた。
「ほっ!」
「あっ!?」
「お前もか!!くそっ!完璧なレシーブしやがって」
いやいや、こんなの完璧に入らないだろ、まあセッターのいる位置には返せたと思うけど、てかお前もかって?
そういえばもう一つ声があったなと周りを見渡すと上に翔陽がいた、なにしてんだ。
「ったく…そこ退け」
「悪い悪い」
そんなに睨まなくてもと思いながらコートから離れる。
飛雄ちゃんは集中するともう一本サーブを打った。
置かれたペットボトルへボールは向かい当たるかと思った時、素早い何かが現れた。
「!!!」
現れたのは一人の青年で、ボールの勢いも回転も全部殺して返球はセッターの居る位置に返す完璧なサーブレシーブをしてみせた。
「おおーっ、すっげえサーブじゃねーか。すげえ奴入って来たな」
そう話す青年をぽかーんと日向と影山は見つめ、晴樹はキラキラと目を輝かせていた。
「おお~っ、ノヤっさあ~ん!!」
「おーっ、龍ーっ!」
体育館に入ってきた田中が嬉しそうに手を上げながら近付いてくる。
「「西谷!!」」
「チワース!!」
一緒に来ていた澤村と菅原も嬉しそうに声を上げた。
澤村は先に来ていた3人を見ると笑みを浮かべた。
「あ!日向、影山、眞島。2年の西谷だよ」
「「あっ、チワース!!」」
「チワース!!」
「おース」
挨拶をするとニカッと西谷は笑った。
「お…お…」
「どうした日向」
吃りだした日向を不思議に思う。
「おれより小さい…!?」
「あ゛あ゛!?てめえ今なんつったァコラァ!!」
そんなことを言い出した日向に溜め息が出た。
「あのっ、身長…何センチ…ですか…」
「159cmだ!!!」
そう答えた西谷に対し日向は自分より小さいと感涙を流した。
いや、対して変わらねえだろ。
「お前ら1年か!!」
「「「オス!」」」
「さっきのサーブの奴!そのデカくて目つきの悪い方!お前ドコ中だ!!」
「…北川第一です」
指を差された影山は頭にハテナを浮かべる。
「まじか!強豪じゃねーか!どうりであのサーブか!!俺、中学ん時当たって2-1で負けたぞ!」
声のでかさと勢いに影山と日向は押され気味で話を聞く。
「あ…あ~…西、に「“西谷”さんだ」ニシノヤさんは…どこの…中学…」
「千鳥山!!」
西谷に質問し返ってきた言葉に影山は驚いた。
「!強豪じゃないですか!なんで烏野に!?やっぱり烏養監督の復帰を聞いて!?」
「…いや、俺が烏野に来たのは―…」
神経な表情になった西谷にゴクリと唾を飲む。
「女子の制服が好みだったからだ。凄く!!」
その言葉に何とも言えない表情になった。
学ランにも憧れていて、茶とかグレーじゃなく黒!!と熱弁する西谷に影山と日向はぽかーんとした。
「あ!!!」
突然大きな声を上げた西谷は体育館に来た清水に向かい走っていった。
「相変わらず嵐の様だな…」
「ゲリラ豪雨」
「………」
「ハハハ!喧しいだろ!…でも、プレーはびっくりするくらい――静か。」
澤村さんの言葉に先程のレシーブを思い出して確かにと頷いた。
「――で」
戻ってきた西谷さんを見ると頬に真っ赤な手形がついていた、清水先輩に叩かれたのか、どんまいっす。
心の中で手を合わせていると西谷さんは笑った。
「旭さんは??戻ってますか?」
その言葉に日向と影山は頭にハテナを浮かべ、菅原は俯いた。
「…………いや。」
「!!――あの、根性なし…!!」
澤村の返事にざわっと西谷を纏う空気がピリッとしたものに変わった。
「!!こらノヤ!!エースをそんな風に言うんじゃねえ!」
「うるせえ!根性無しは根性無しだ!」
怒る西谷は歩き出す。
「待てってばノヤっさぁん」
「前にも言った通り、旭さんが戻んないなら俺も戻んねえ!!」
そう言って西谷は体育館を出ていってしまった。
「??なんですか?」
「悪い…西谷とウチのエースの間にはちょっと問題が生じていてだな…」
影山の問いに田中は溜め息を吐いた。
「???あれ?眞島がいないな…」
ポツリと呟かれた縁下の呟きは誰にも聞こえていなかった。
「西谷さん!」
「ん?」
振り返った西谷に頭を下げる。
「俺、眞島晴樹って言います。ポジションはウィングスパイカーなんですが、西谷さんに憧れていまして…!!!」
ああ、言葉が詰まって上手く話せない恥ずかしい。
深呼吸する眞島を西谷はジッと見ていた。
「俺、隣の県からこっちに引っ越ししてきたんですが、隣の県にいるときから西谷さんの話は聞いてまして、実際プレー見たらもう全身鳥肌立って、この人にレシーブを教わりたいって思って…俺にレシーブを教えて下さい西谷先輩!!!!」
頭を再び下げると頭をわしゃわしゃっと撫でられた。
「え、あの」
「眞島…いや、晴樹。練習の後でガリガリ君奢ってやるよ…」
「え?」
「俺は“先輩”だからな!!!」
胸を叩いた西谷に目を輝かす。
「西谷先輩…!!」
「部活に戻るわけじゃないけどな、お前には特別に教えてやるよ!」
「ニシヤさん!!!」
西谷先輩に感動していると後ろから翔陽の声が聞こえた。
「アホ翔陽!!ニシヤじゃなくてニシノヤさんだ!!」
「あ、すいません!!」
頭を下げる翔陽に溜め息を吐くと西谷先輩に頭を下げた。
「話の邪魔をしたら悪いので、体育館に戻ります」
「おう、また後でな」
西谷先輩に返事をすると体育館に向かって歩く。
此方を覗く先輩達と目が合ったがしーっと口に指を当てていたので頷いた。
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