青葉城西
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「―よし!じゃあ軽く掃除して終了!お疲れした!」
号令がかかり挨拶をすると用具室にモップを取りにいく。
「おい、翔陽!帰らせてもらえよ!」
「日向!もうモップいいから帰んな!なっ?」
モップを持ち立ったまま寝ている翔陽をサイドから縁下さんと支える。
嫌々と翔陽は首を振るがいや、ならばちゃんと起きろよと頭を叩いた。
「このまっ二つのモップ危ないから捨てちゃって良いですかーあ?」
「いいんだ!それは!」
山口の声が響き皆が視線を向ける。
菅原は大事そうにそのモップを山口から受け取った。
「…いいんだ、直せばまた使えるだろ…」
そう言った菅原さんを澤村さんが静かに見ていて、戻ってくる“守護神”になにか関係しているんだろうなとその光景を見ていた。
帰り道、皆で帰路につき日向と影山と田中だけが坂ノ下商店に寄りぐんぐんバーを手に帰って来たところでまた歩き出す。
「それにしてもよ~あの優男のサーブ凄かったなァ。最初からアレやられたらヤバかったぜ…さすが影山と同中の先輩―………アレ?ていうか、影山ってなんで烏野に居るんだっけ?」
そう話し出した田中先輩と飛雄ちゃんに視線が集まる。
実は俺も気になっていたし。
「県内一の強豪つったらやっぱ白鳥沢だろ」
「しらとり?」
「白鳥沢学園っていう県ではダントツ、全国でも必ず8強に食い込む学校だよ」
「ほーっ!」
翔陽に説明するとほうほうと頷く。
「…落ちました、白鳥沢」
「落ちた!?」
影山が言った言葉に驚きの声が上がった。
「白鳥沢から推薦来なかったし一般で受けて落ちたんです。試験が意味不明でした」
「あそこは普通に入ろうとしたら超難関だもんな…」
「へえーっ“王様”勉強は大した事無いんだネ~」
笑いながらお疲れ様ですと先に帰る月島と山口に影山は舌打ちした。
「くっ…飛雄ちゃん……落ちたって…ぷっ…」
「お前笑いすぎだ!!!」
飛雄ちゃんに怒られたけど面白いから許して。
「そういうお前は何で烏野にいるんだよ」
「俺?」
他の人も興味津々に見てくる。
「コート上の鷹なんて言われてたし、バレーも強いんだし推薦来てただろ」
頭にハテナを浮かべる田中先輩からスーッと視線を反らすと影山に頭をガッと掴まれた。
「どうなんだよ」
「………イロイロなトコロから頂いてました」
「白鳥沢は」
「アリマシタ」
チッと舌打ちをする飛雄ちゃんに肩が揺れた、だから言いたくなかったんだよおバカ。
「俺がコート上の鷹って呼ばれてたならご存知かも知れませんが俺隣の県の学校にいまして、まあ県外なのに結構な推薦は頂いてましたよ。怪我で大体消えましたけど」
ニコリと笑うと気まずそうに目を反らされた、いやもう別に気にしてないのでその反応やめて下さい。
「で?なんで烏野?」
小さな巨人に憧れて?と日向に問い掛けられ影山と眞島は首を振った。
無名だった烏野を春高の全国大会まで導いたがその後引退した“烏養監督”が戻ってくると聞いたからだと影山は答えた。
かなりスパルタで、練習を思い出した菅原さんが震えていた。
結局、復帰後少しして倒れてしまった為その話は無くなってしまったそうだが。
飛雄ちゃんの話にバレーはするつもりじゃなかったが俺もその話を聞いたからと同意し、あの人らしいなと笑みが溢れた。
「なら、晴樹が!!」
「へっ?」
なんだなんだと首を傾けるとメンバーの話に変わっていたみたいでエーススパイカーの話が出たみたいだ。
「ああ、自分は最強の囮だから変わりに俺って?」
「そうそう…ってうるさいなっ!」
「悪い悪い。確かにエースって呼ばれる選手になれたなら嬉しいけど、烏野にエースがいない訳じゃないだろ、守護神が戻ってくるって言ってたし」
そう自分で言って笑みが溢れる。
「烏野の守護神て…あの人だよな?」
「え?」
「いや、なんでもないです。あ、俺こっちなので」
すいませんと頭を下げて別れを告げる。
別れて歩き出してから手を見つめた。
「………」
何回か手の開閉を繰り返し、笑った。
毎日ボールを触ってたおかげでまだ感覚は衰えてない、まだ飛べる、また飛べる。
ああ、明日からの練習が楽しみだと軽い足取りで帰路を歩いた。
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