青葉城西
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「飛雄ちゃん、トス上げて」
「は?」
「早く」
「お、おう」
そう頼むと凄い形相をしていたのか引きながらもトスを上げてくれた。
「え、ちょっと待って!!」
走り出したら急には止まれない。
軽く助走を取って飛び上がると中々の至近距離で及川の頭にボールを打った。
「~~~!!!!!!?」
声にならない声で悶える及川に近付く晴樹の顔は鬼のようだった(日向談)
「最近はマシになりましたがそれでも毎日毎日メールや連絡の嵐ちょっとウザいのですが俺何回もやめて欲しいって言いましたよね?なんでわからないんですかねぇ?それにバレーから離れた時もしつこくやらそうとして…怪我してたの知ってますよね?バカなんですか?バカでしたねすいません。それに今回も烏野の皆さんが切っ掛けをくれたからバレーに復帰しましたが入部もしてなかったのに烏野に変な条件を出して本当にバカなんですね?」
「ご、ごめんね晴樹ちゃん…」
頬を引き攣らせる及川にニッと笑う。
「いえ、分かって下さればいいんです。こちらこそボールすいませんね」
「晴樹ちゃん…!!」
頭を撫でるとキラキラっとした目で抱き付いて来ようとした。
「ぐえっ」
「いい加減にしろ」
その及川を止めたのは岩泉だった。
「監督が呼んでる」
「ちょ、待って…!」
「悪いな晴樹」
「いえ、岩泉さんは気にしないで下さい」
ニコリと笑うと岩泉さんもニッと笑った、いい人だ。
「お、おい」
見送っていると田中先輩が恐る恐る近付いてきた。
「知り合いか?」
「まあ、知り合いですかね?」
「てか、お前怒るとコエーな」
「あの人にだけですよ」
ニコッと笑うと翔陽が悲鳴を上げた、失礼な奴だ。
第3セットが始まる為ポジションに戻る。
「飛雄ちゃん」
「なんだよ」
静かな声に影山は頭にハテナを浮かべて振り返る。
「飛ぶよ」
「!?……任せろ」
ニイッと笑う飛雄ちゃんは随分と悪い顔をしていた。
ピーっと笛が鳴りサーブが打たれる。
何度かコートを行き来し烏野のチャンス。
「上げて!高く!」
「高くって…どれくらいだよっ!!」
文句を言いながらもトスは出されたがそれは随分と高いものだった。
誰もが落ちてくるのを見ている中1人だけ飛び上がっていた。
「なっ!?」
「高い…」
ネットよりも高く飛び上がる晴樹。
鋭い目付きで隙を見付けるとそこに叩き込んだ。
シーンと静まり返りボールが転がる音だけが響く。
「……あの、ちゃんと入りましたか?」
「い、イン!!」
烏野に点が入ると背中に衝撃が走った。
振り返るとキラキラとした瞳の翔陽と目が合った。
「すっげー!!!!!」
「おまっ、どんだけ跳んでんの!?」
「サーブ打つときそんなに跳んでなかったじゃねえか!」
「まあ、両足跳びだったので。片足ならこれくらいは飛べますよ」
そう飛べる、ネットよりももっと高く。
「これが限界だと思わないで下さいね、先輩。さあ、反撃ですよ反撃」
ニカッと笑うと面々もニッと笑い気合いを入れた。
そこからの攻防はお互いに譲らず、なんとか点をもぎ取って烏野のマッチポイントになったが…
「このっ…!調子に乗るな!!」
そう言って打たれた金田一のスパイクをレシーブしきれずに青城に点が入った。
「晴樹ちゃーん!!」
ギョッとして青城のベンチを見ると及川さんが手を振っていた、キモイ。
ピーッと笛が吹かれて選手交替の合図。
及川と国見が交替し、その様子を見ていた烏野に緊張が走る(約一名田中が中指を立てて澤村に怒られていたが)
(ピンチサーバーか)
セッターとして入った訳ではないみたいだがかなり厄介なのは変わらない。
ジッと見ていると及川さんはツッキーを指差してボールを上げた。
(まさか)
「ツッキー構えろ!!」
「はっ!?」
「いいから!」
ドッと音がしたので青城側を見るとボールが打たれていた。
月島を狙ったボールは見事に月島へ向かいその強い威力にレシーブが出来ずボールはコート外に飛んだ。
「…うん、やっぱり。途中見てたけど…6番の君と5番の君、レシーブ苦手でしょ?1年生かな?」
「うっ!!」
月島と日向に向かい及川は笑う。
(相変わらず…)
威力もコントロールも凄い。
「…じゃあ…もう一本ね」
再びサーブが打たれるが月島は取れない。
「ツッキイイイ!!!」
「くそっ…」
山口の悲痛の叫びと月島の悔しそうな声が耳に入る。
「おい!コラ!大王様!!おれも狙えっ、取ってやるっ!!狙えよっ!!」
「みっともないから喚くなよ!」
「なんだとっ!?」
じたばたと暴れる翔陽にプッと笑ってしまった。
大王様って…
笑いながら日向を見ているとくるりと月島に振り返っていた。
「バレーボールはなあ!ネットの“こっち側”に居る全員!!もれなく「味方」なんだぞ!!」
日向の言葉に月島が何とも言えない表情を浮かべる。
「…よし、全体的に後ろに下がれ」
澤村の声に振り返る。
「月島は少しサイドラインに寄れ、眞島は月島の前ギリギリまで下がってカバー頼む」
「ハイ/はい」
「…よし、来い!」
レシーブが得意な澤村さんが守備範囲を広げるため指示を出す。
それを見ていた及川は笑ってサーブを打った。
コントロール重視のため威力は大分弱まりレシーブでボールを上げることは出来たが青城のチャンスボールになってしまった。
「金田一!」
「オオッ」
ブロックを振り切った場所でスパイクが打たれてしまう。
瞬時に反応した眞島と共に現れたのは日向だった。
バチッとスパイクは日向の手に当たり浮き上がる。
「よしっ」
「ナイスワンタッチ日向!!」
「チャンスボール!!」
ギリッと金田一は悔しそうに日向を見る。
「くそが!!今度は俺が叩き落としてやるよ!!」
「なら……早く動かないとな」
呟く眞島の後ろを旋回し日向は逆サイドに向かって走り飛び上がった。
影山の出したトスは日向によって青城コートを撃ち抜いた。
その時に日向から放たれた威圧感がチリッと肌を撫でた。
(相変わらず、怖いな)
ピーっと笛が鳴り試合が終わる、変人速攻が決まり烏野が勝利を収めた。
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