両片思いを拗らせた結果
名前変更
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「新開、部屋上がるよ。座ろう?」
何も反応しない新開を連れなんとか部屋に上がるとそのまま座り込む。
「随分、しんどそうだね。気持ちが」
「…なんで、そう思う?」
問い掛けてきた声は少し震えていた。
「なんでって…長年あんたの事見てるから、わかるよ。寿一だってそうだろうし」
「そこは愛の力って言ってよ」
「……バカでしょ、私達はそんな間がらじゃないのに愛もへったくれもないわよ」
再びドキッとする胸を落ち着かせ、新開の背を撫でる。
「舞子…聞いて欲しい、事がある」
「ん、言ってみなよ」
新開が口にしたのはウサ吉の事だった。
ウサ吉の母親をレース中に轢き殺してしまった、そのトラウマで自転車がこげない、インハイは辞退した、そう弱々しく話す新開の頭をそっと撫でた。
「話してくれてありがとう。私は自転車乗らないからなんとも言えないけどさ、相当しんどかったよね。寿一達が協力してくれてるから少し焦る気持ちもあるよね、でもまあ…無理せずやりなよ?寿一は隼人を置いてかないよ?」
ああ、久々に下の名前で呼んだなと1人恥ずかしがっていると抱きしめられる力が強くなった。
「誰も隼人を置いてかないよ。現に傍で支えてくれてるんでしょ?今年はもう…インハイも出てないんでしょ?ならゆっくり回復していけばいいよ。なんか軽率なこと言ってて悪いけど」
「いや…ありがとう」
ぽんぽんと規則よく背中を叩いていると、少し体が重くなった。
顔を覗き込むと眠ってしまったようだ。
重たい体をなんとかベッドに横たわらせると気にはなってたものの話題に触れなかった目の下の濃いクマを撫でた。
「いい夢見て、ゆっくり寝なよ」
頬にキスを落とすと、携帯を取り出し寿一に連絡した。
寮を出るからまた協力してもらうのだ。
悪いと思いつつ、着いたの連絡に部屋を出た。
「…新開はどうだ?」
「今は寝たよ。アイツの中で大変な事があったんだね。支えてあげてね」
「舞子もな」
「友達として出来る最低限の事はやるよ」
ニコッと笑うと寿一も笑った。
協力してくれた事に礼を言うと、女寮を目指し歩き出した。
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