両片思いを拗らせた結果
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どうせ、この関係も三年になる頃には完璧に終わる、最後のインハイがあるし。
そう考えながら足が向いたのはウサギ小屋、ここには最近新しい住人が増えた。
ウサ吉という子兎だ。
新開が連れてきたらしい、今では彼も随分可愛がっているが連れて来た当初は随分と辛い顔をしていたと思う。
彼が今立ち向かっている壁とこの子兎は関係ありそうだが、聞いていない。
彼が言ってこないのだから、無理に聞く必要は無い。
「ウサ吉、元気?」
小屋の扉を開けて手を伸ばし餌のキャベツをやる。
以前に比べれば懐いてくれたのか甘える仕草を見せるようになったウサ吉は尚更可愛くてついつい足を運んでしまう。
「お前の主人になった男は、今日も頑張ってるよ」
寿一やアラキタや東堂達に支えられ励まされ、必死に頑張ってるよ。
スランプとはまた違った様子の新開が本当はとても心配だけど、顔には出さないし寄り添わない。
彼女じゃないし、そこまでする必要はない。
頼られたら支えるけどねもちろん。
ウサ吉を撫でていた手を止めると、スッと立ち上がる。
「そろそろ帰るよ、またね」
手を振りかえすわけでもないのにウサ吉に手を振ると校門へ向かう。
キャーと再び黄色い声が聞こえチラリと視線を向けると自転車競技部の面々がそこにはいた。
自然と目が彼を追い掛けてしまい、恥ずかしいなと思うと同時にん?と思う。
(あれ、相当体調悪いな)
目に入った新開の顔は真っ青だった。
気丈に振る舞っているが、相当辛そうだ。
(…まあ、寿一達もいるし大丈夫よね?)
友達として駆け寄りたい気持ちもあるがあのファンを掻き分けてるうちに彼等は行ってしまうだろう。
気にしてないふりをしながら校門を出ると、走り出した。
「ごめんね、寿一」
「いや、構わない。だがあまり遅くなるなよ」
「うん」
またねと手を振ると寿一は自分の部屋に戻っていった。
ここは男子寮、本来なら私が入っていい場所ではない。
だけど、どうしても気になったから、アイツが辛そうだったから、来るつもりはなかったけど寿一に頼んでこっそり男子寮に侵入した。
(気持ちは素直ってね)
どんだけ拗れてもやっぱり好きな奴の事は気になるからね。
一息ついて目の前の扉を軽く叩いた。
「…………」
しかし、中から返事は無く相当辛いのかと思い会うのは止めることにした。
「…新開、急にごめん。随分辛そうだったから見舞い品。ドアノブにかけてるから、気が向いたら食べてね」
そう言って見舞い品のゼリーやらなんやらが入った袋をドアノブにかけようとしたら中で人が動く気配がした。
気にせずに袋をかけようとした時扉が開き、彼と目があった。
「舞子…なんでここに?」
「寿一に頼んだ。友達が辛そうなのにほっとけないよ」
そう言い笑うと、新開は泣きそうな表情で舞子の手を掴み部屋の中に引き入れた。
「新開?」
「…ごめん、少しだけ」
抱きしめられ胸がドキッとしたが落ち着け、私達はただの友達、セフレ、もっとやばい事もやってる。
自分を落ち着かせていると、新開の肩が少し震えてるのに気付いた。
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