両片思いを拗らせた結果
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「もう、いいでしょ?」
「ん、悪いね」
スッと離れた体と共に解放される下腹部の圧迫感。
「制服ぐちゃぐちゃ…」
「それも、悪いね」
全く悪いと思った様子のないこの男、新開隼人に溜息を吐いた。
「もういいから、そろそろ行ったら?」
「…うん、そうする」
またねと手を振って教室を出て行く新開に片手を上げて返事をすると、乱れた服を正した。
脱がされた下着を身に付けながら教室の窓を開けて換気をする。
今日は部活の始まりが遅いからと声を掛けられ空き教室に連れられ行われたのは不純異性交遊というものだ。
何も初めてではない、私と新開はセフレというものだ。
今はニ年の夏、もう一年はこの関係は続いてると思う。
一年からこんな事してるなんて随分爛れてるけれど、別に気になった事はなかった。
(だって、幸せだもの)
抱かれてる時は新開を独り占め出来る。
二年に上がり自転車競技部の面々は一気に人気が出た、一、二を争ってるのが東堂と新開だと耳にした。
それぞれ個人にファンクラブも出来ている。
その中の一人の新開を独り占め出来るのだ、なんて幸せ。
窓から外を眺めていると、新開が部室に向かう途中だった。
さっきまで行っていた行為を匂わせない爽やかな笑顔に集まった女子生徒達は騙され、キャーキャー騒いでいる。
(…アホらし)
騒ぐのは勝手だけど、あんまり変に刺激をしないで欲しい、彼は今大きな壁に立ち向かってる途中なのだから、まあ人のこと言えないけど。
フッと笑うと視線を外し、鞄を持って教室を出た。
「むっ?舞子ではないか」
「寿一、どうしたの?」
廊下を歩いていると福富寿一と会った、彼も自転車競技部だ。
実は中学からの付き合いが彼とはある(あの新開も)
スッと視線を手に移すと、自転車に関する事を書いてるノートを持っていた。
「アラキタ?のメニュー考えてたの?」
「ああ」
寿一の影響で入部した元ヤンがいて、彼のメニューは寿一が考えてるらしい。
「そっか」
「舞子は何をしていたのだ?」
「ん?ちょっとね」
私と新開の爛れた関係を、寿一は知らない知られたくない。
適当に誤魔化し下駄箱まで共に向かうと別れを告げた。
二人の関係を寿一は知らないけど、私の気持ちは知っていた。
高村舞子が新開隼人を好きという気持ちを。
中学1年の途中から彼に魅せられたのだ、普段の彼にも自転車に乗る彼にも。
あの頃はまさかこんな関係になるなんて思ってなかったけど、別にいい。
彼を独り占め出来る瞬間があるのだ。
お互い恋人が出来てもこの関係は途切れなかった、途切れたのは恋人との関係だ。
新開は人気がどっと出る前からモテる奴だったので女には困るような男ではない、女の噂も多々あったがどれも長くは続かない。
私はモテるわけではないものの何人かとお付き合いはしたが続かなかった。
新開はともかく私は彼じゃなきゃやっぱり嫌だから。
そういえば寿一に気持ちを伝えないのかと聞かれたことがあるが気持ちは伝えない、伝えたら友達関係も含め全てが終わるような気がしたから。
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