本丸へ
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「よし、手入れ部屋に連れていくか…あ、その前に…」
この本丸を浄化しなければ。
刀達がカタカタ動いている、ちょっとうるさい。
「あの、神様なんですから霊体位にはなれますよね?そのお札は刀の姿に戻す以外の効力はないので、どうぞお好きに動いてください」
桜がそう言うと、次々と霊体が現れた。
何か怒鳴っている者、斬りつけてくる者と反応は様々だが、霊体であるが故に刀は桜に当たらない、声は意図的に聞かないようにしていた。
さてと気を取り直して、自身に宿った神気や霊力を幾つもの札に込める。
それが完了すると、本丸中に貼っていく。
間取りを覚えるのにも丁度いいだろう。
途中見つけた手入れ部屋や鍛刀部屋には小さな式神がいた、可愛い。
瘴気にやられてぐったりした様子の彼らにもう少しの我慢をお願いして立ち上がると、見ないようにしていた塊に目を向ける。
あの女が八つ当たりした刀剣だったもの。
折れてしまっていては、流石に直せない。
(なんて酷い事を…)
桜は顔を顰め、破片を集める。
「これ、今いる刀剣達に合わせる事、出来る?」
確か、錬結というシステムがあったはずだ。
式神達は気怠そうにしながら、小さく首を振った。
(折れたらダメなのか…)
桜は哀しげに目を伏せた後、集めた破片を持って庭に出た。
「救えなくて、ごめんなさい」
そういうと、庭に埋めて手を合わせた。
何の意味も無いかもしれないが、私の自己満だ。
それが済むと、再び札を本丸中に貼っていき、完了したところで広間に戻ってきた。
霊体達は無視して、スッと手を合わせて意識を集中させる。
「…………活!」
桜が目を開くと本丸中のお札が燃え、そこから溢れた神気によって本丸が浄化された。
その様子を驚いて見ている面々を気にする事無く庭を見ると、綺麗な光景が広がっていた。
「………元はこんなに綺麗だったのか」
桜は息を吐くと、桜の似合う隊士達と過ごした庭を思い出して思わず微笑んだ。
「あの、主さま」
遠慮がちに話しかけて来たのは、こんのすけだった。
「ああ、ごめん。皆を手入れ部屋に連れて行こうか」
桜は笑うと、近くの刀に触れた。
「痛っ…」
「主さま!」
バチっと電気が走ったかと思うと、血が流れていた。
「大丈夫、人間に対する拒絶反応だろ。仕方ない」
相手に対する拒絶心から相手を傷付けるなんて、よくある事だ。
別世界でも似たようなことはよくあった。
桜は苦笑する。
(………ここって影分身とか使えないのかな)
何となーくそんな事を考えて試してみると、同じ顔が幾つも出てきた、どうやら使えるようだ。
「………影分身便利!」
桜は笑顔を見せると、影分身達と頷き合い、それぞれが刀を持った。
あっちこっちで電気の走る音がしたが、構ってられない。
「手入れ部屋に突撃ー!!!」
大量の足音と共に手入れ部屋に駆け込んだ。
手入れ部屋に全ての刀剣を入れると、スペースはなくなった。
(まあ、これだけの量あればなぁ…)
息を吐いて、影分身達に礼をいうと、皆は消えた。
その瞬間、大量の痛みが手に走る。
影分身が受けた傷は、本体も受けるのだ。
「あっちゃー。止血しなきゃ」
桜は面倒くさそうにため息を吐くと、手入れに奮闘する式神達を見た。
「ほんと、ごめん!手伝えそうに無いから、休憩を交えつつ、そいつらの怪我治してあげてくれない?」
そう伝えると、式神達は親指をグッと出した、可愛い。
感謝を述べて止血をすると、こんのすけに審神者の業務を改めて聞く。
…………なかなか面倒だな。
「とりあえず、出陣して、歴史修正主義者をぶっ倒したらいいんだな」
「は、はい!」
頷いたこんのすけに桜も頷き、本丸の門へと近づく。
そこにはパネルやら機械が置いてあり、これで向かう場所を決めるらしい。
適当に弄っていると、機械が光り出した。
「おおっ?」
「あ、主さま!」
こんのすけの声が聞こえた瞬間、桜は光に包まれた。
「……どこ?」
辺りを見渡す。どこかの城内のようだ。
『主さま!主さま!』
自分の体から声が聞こえ、手探りで声の元を探すと小さなモニターの付いたレシーバーの様なものがあった。
「こんのすけ?僕今どんな状態?」
『主さまは、出陣されてしまいました!』
しかもそこは、現在の最高難度のステージですというこんのすけに、ふむふむと頷く。
「場所は?」
『江戸城となります。前の主さまは刀剣集めには熱心な方でしたので、ステージだけは出現しておりました故…」
なるほど、ここにも目当ての刀剣がいたのか。
最高難度ということは、かなり刀剣達に無理をさせていただろうし、彼らの練度もかなり高いのかもしれない。
くだらないことせずにちゃんと審神者をしていれば、優秀な本丸だっただろうに…
桜はため息を吐くと、こんのすけに安心するように告げて城内を歩き出した。
暫く探索して、出口と思わしき場所が見えた。
道中、歴史修正主義者が遣わす時間遡行軍というのとは遭遇した。
それなりの強さだったが、もっと強敵と出会って来たから他愛なかった。
それと、なぜか影分身が使えなかった。
もしかしたら、本丸で使えたのは偶々かもしれないと、少し肩を落とした。
だがそれ以外は概ね問題なかった。
忍術や、鬼○やら、婆娑○技やら、その辺りは使えるみたいだった。
トリッキーな動きについてこれなかった敵は、桜の相手にはならなかった。
(それにしても、よく考えたら歴史修正主義者って……)
桜が物思いに耽りそうになったとき、自分とは別の足音が聞こえた。
「さて、最後の敵も倒しますか」
桜はそういうと、目の前に現れた敵に向かい地を蹴った。
「何なんだあいつは!」
「まあまあ、落ち着いて」
霊体となった刀剣達は、荒れる者、それを落ち着かせる者、静かにしている者など様々だった。
「た、大変です!」
そんな中、どこかに行っていたのか1人の少年が戻って来た。
「五虎退…一体どうしたんだ?」
小さな虎を抱えた少年に、黒髪の少年が問いかける。
「さ、さっきの人が…誤って出陣をしたそうで…」
「はっ!誤ってだって?自業自得じゃねーか」
どこかから、聞こえた言葉に、五虎退と呼ばれた少年は肩を震わせた後、今度は鮮やかな青い髪の青年を見た。
「そ、その、誤って出陣した事は自業自得かもしれませんが、場所が江戸城だそうで…」
「江戸城だって?」
驚いた様子の青年に、頷いた。
驚いたのは青年だけではなく、江戸城の敵の強さを知っている面々は皆驚いていた。
「流石に…無事では戻ってこれませんね」
そう言った青年の言葉に、五虎退は首を横に振った。
「さ、先程、無傷で戻られました…」
その言葉に、今度は全員が絶句した。
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