新しい仲間たち
名前変更
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「主、起きているかい?」
「ん……?」
外から聞こえてきた声にフッと覚醒する。
時刻は7時を過ぎており、いつもより寝坊をしてしまった。
「主?」
「ごめ、蜂須賀…寝坊した。今起きたよ」
再度声をかけてきた声の主、蜂須賀にそう答えると自分の周りを見た。
昨日、とあるものを人数分作成しており、完成したものが転がっていた。
それらは完成していたようだ。
「全く…中々起きてこないから、皆心配してたよ」
呆れた様子の蜂須賀の声に苦笑すると周りに転がる物の中から目当ての物を拾い上げて立ち上がる。
襖へと手をかけて開けると、少し驚いた蜂須賀と目があった。
「おはよう、蜂須賀」
「…おはよう、主」
朝の挨拶をすると、蜂須賀も苦笑しながら挨拶を返してくれた。
「全く…身形が整ってないよ」
「寝起きだからね。それより、はい」
「…これは?」
差し出したのは蜂須賀の紋が描かれた小袋だった。
「中には僕の気を込めた珠が入ってる。君達を悪しきモノから守れるようにね。気休めだけど、配ろうと思って。まあ……御守りみたいなものかな」
朝一で蜂須賀に会ったから、まずは蜂須賀に渡すよ。
桜の言葉を聞きながら、蜂須賀は小袋を受け取った。
「さて、ささっと用意してすぐに向かうよ。皆にも言っておいてくれ」
「わかった」
桜は蜂須賀の返事を聞くと、襖を閉めた。
蜂須賀は小袋を見て微笑むと、そっと懐へと忍ばせた。
受け取った瞬間から己を包む暖かく柔らかな気を心地よく思いながら、皆の元へと歩き出した。
「あれ?蜂須賀兄ちゃん1人だけ?」
「主ももうすぐ来るよ」
皆が起きてこない主を待つ広間に戻ってくると、浦島が頭にハテナを浮かべながら尋ねてきた。
そんな可愛い弟の頭を撫でると、隣へと腰を下ろした。
「ねえ、蜂須賀虎徹」
座ると同時にかけられた声に振り返ると、ニコニコと笑う髭切が目の前にいた。
「な、なにかな…」
「一期一振だけでなく、君からも主の気配を凄く感じるんだけど、何故かな?」
笑顔だが、圧を感じさせる髭切に蜂須賀は頬を引攣らせる。
髭切の後方では、髭切に詰め寄られていたのか目を回している一期がいた。
「ねえ?教えてくれる?」
蜂須賀が困っていると、誰かが髭切の頭を叩いた。
「髭切、やめろ」
「おや、主。おはよう」
「…おはよう」
桜は蜂須賀から髭切を引き離し、溜息を吐いた。
「鬼を斬るお前が鬼になってどうする」
「んー?まだ大丈夫だよ」
桜は呆れた表情を浮かべると、用意された席へと向かった。
「皆、起きるのが遅くなって申し訳ない。実は、昨晩これを作成しててね…」
桜は座ると同時に皆を見渡し、そう言った。
そして持ち上げた袋から、1つ小袋を取り出した。
「この中には、僕が気を込めた珠が入ってる。皆を悪しき気から守る為の御守りみたいなもんさ。蜂須賀には一足先にそれを渡していたんだ」
そう言うと、パンッと手を叩いた。
「皆の分、用意してるから食事の後に配るよ。今は…お腹空かせてる子もいるから、先に食事にしよう」
その言葉に、お腹を空かせていた面々は目を輝かした。
あの後、皆に小袋を配り終えた。
反応は無反応、疑心、喜びと様々だったがまあいい。
桜は朝から髭切に詰め寄られて草臥れている本日の近侍である蜂須賀に苦笑しながら、とある部屋を目指していた。
「よし、やりますかー」
その部屋は、鍛刀部屋。
こんのすけからの提案もあり、鍛刀をしてみることになったのだ。
幸いなことに資材は神山のおかげで大量にある。
「とりあえず5回程試そうか」
「わかった」
(そういえば、レシピとかあったような…)
桜は持っていたパッドを使用してレシピを検索し、参考にしながら資材の配分を決めて式神にお願いする。
「さてと…」
「新たな刀が打ち上がったようだ」
手伝い札とやらを使用して打ち上がったのは大小の刀に槍、桜はソッと触れると呼びかけた。
「起きてくれ…皆。力を貸してくれ」
その言葉に反応するように、小さな光が発せられ次の瞬間には桜の花弁が舞うと共に人が立っていた。
「どうも、すいまっせん。明石国行言います」
「俺の名前は博多藤四郎!」
「日の本一の槍こと、日本号。只今推参」
「物吉貞宗と言います!」
「後藤藤四郎だ。今にでっかくなってやるぜ!」
桜は面々を見た後、刀帳を確認する。
(えっと…来派の保護者、一期の兄弟、黒田関係に徳川関係か)
さっと確認を終えると、ニコリと微笑む。
「ようこそ、本丸へ」
「ん?あんたが主ってやつか?」
「まあ、そうなるね。よろしく」
日本号の言葉に頷くと、蜂須賀を見る。
「彼等を皆に紹介してきてくれないか?後、本丸の案内も頼みたい」
「ああ、わかった」
蜂須賀は頷くと、面々を引き連れて鍛刀部屋を後にした。
「お疲れ様」
残った桜は式神に礼を言って労わると、式神はまだまだいけるぞと言わんばかりに自分の腕を叩いていた。
「…後一回、お願いしようかな」
そんな式神に微笑むと、鍛刀をもう一度お願いした。
手伝い札を使用してもう一振り完成させてもらうと、桜は受け取った。
「ん、彼は……」
桜は笑い、その刀の名を呼んだ。
「ああ!博多に後藤ではないですか!」
「い、いち兄…」
「ちょっと痛いばい!」
「国行、来るの遅い」
「全く、のんびりしすぎだぜ!」
「すんません…」
「おお!物吉貞宗ではないか!」
「蜻蛉切様!お久しぶりです!」
「よお。長谷部も久しぶりだな」
「……ああ」
広間では面々が再会を喜んでいた。
本丸の案内は落ち着いてからでいいかと蜂須賀が考えていると、桜が歩いてくるのが見えた。
「主」
「盛り上がってるね」
そう言った桜の横には初顔の刀がいた。
「彼は?」
「ああ、彼は…あの子の兄弟さ」
そう言って広間をキョロキョロと見渡した後、目的の人物を見つけた桜は声をかけた。
「髭切」
「ん?主!!っと…おや?」
声をかけると近付いてきた髭切は、桜の隣にいる人物を見て目を丸くした。
「お前は、弟の………」
「…………」
「弟の……えーっと……」
「兄者!俺の名は膝丸だ!!」
「そうそう、膝丸だ」
中々名前を言わない髭切にツッコミを入れたのは兄弟刀の膝丸だった。
「式神がやたらやる気だったから、もう一度お願いしたら弟が来たんだ」
「……兄弟が揃うのは良いことだよ」
蜂須賀の言葉に頷くと、広間を見渡した。
「さて、新入りに構うのはいいけど日々の鍛錬も怠らないようにしないとね」
僕達は歩き出したばかりだし。
桜の言葉に皆は頷き、各々がすべき任務をこなす為に動き出した。
「さて、蜂須賀はお願いしてたように新入りの皆をよろしく」
「任せて」
兄者ー!と叫んでいる者に苦笑しながら、桜も自室へと足を向けた。
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