おいでませ~刀の世界~
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ほうほう、此処はどこだ。
パチリと目を覚ますと、そこは気品漂う部屋だった。
体を起こし、自分が横たわっていたふかふかのソファの感触を楽しんでいると、扉が開く音がした。
「おっ、起きたか」
「………あんた」
ニッと笑ったのは、自称薄○鬼の付喪神と、私を様々な世界に転生やらトリップをさせたポッと出のオトモダチの胡散臭い神様だった。
「久しぶりだね」
「ここ、どこ?」
ニコニコ笑顔の二人に持っていた苦無を投げつければ、少し笑顔が引きつった。
「いきなりそんな物投げないでよ!」
「あーごめんね?ほら、隊士だけかと思いきやその後色んな世界、しかも死と隣り合わせの所を転々としてたからさー不審者には警戒しないとね?」
あははーと言いながら、次の苦無を手にする。
「と、とりあえず落ち着け!ここは2205年の日本だ」
「……2205年?」
これまたぶっ飛んだな。
私はつい昨日まで戦国時代にいたのだが。
「ほら、君が一番初めに産まれ落ちた世界に刀剣の擬人化ゲームあったでしょ?あそこ」
「………艦隊じゃねえのか」
どうせなら女の子に囲まれたかった。
そんな私の心情を察したのか、2人の神は苦笑した。
「てか、私まだ死んでないんだけど、強制トリップ?」
「まあ、そんな感じだね」
ニコニコ笑う神様にジト目を送っておこう。
「ゲームの事を知ってるようだから、どんどん話を進めていくね。この世界には拠点地として本丸と言われる場所があるんだけど、どうやらブラック本丸と呼ばれるものが増えているそうでね、ある程度は神様パワー(笑)で対処できるんだけどね、中には瘴気が凄すぎて近寄れない所もあるんだよねぇー」
チラチラと見てくる神様、うざい。
「なんで近づけないの」
「瘴気が凄すぎるところって、大体呪具ってやつ使ってるのね。そういうのって、ちんけな人間でも神様に影響与えることができるからさ」
「……その、近寄れない本丸を片っ端から潰せばいいの?」
「潰しちゃダメダメ。とりあえず原因を引っ捕らえる感じで」
ウインクする付喪神に苦無を投げた私は悪くない。
「パトロールすればいいの?」
「いや、君には審神者になって、審神者業務を行いながら政府からの要請や、なにか情報を手に入れたら手を貸して欲しい」
「……え、しばらくこの時代に滞在?」
「そうなるね」
にっこり笑う神様の胸倉、思わず掴む。
「やだやだ!無理無理無理‼私、愛姫様のお顔見ないとやっていけないー!」
party大好き主人とか、ヤクザ顔負け上司とか、べつにどうでもいい。
ただ、可愛い愛姫様のお顔は毎日見たい。許されるなら、女の子達の顔を見たい。
「………悪い」
「御都合主義でどうにかなりませんか」
「物は取り出せても、人となるとな…」
「テレビ電話とか…」
「時空を捻じ曲げすぎてしまうからな…」
使えない、とは口に出さないでおいてやろう。
「詫びにはならんが、写真なら用意できる」
「…………譲歩してやる」
桜がそういうと、2人は困ったように笑った。
「とりあえず、審神者業務しながら、あんたらが近寄れないブラック本丸と審神者やらを潰していきゃいいんでしょ」
「捕縛ね。よろしく」
あ、うざい。
カッと再び苦無を投げた私は悪くない、うん、悪くない。
「で、私の拠点はどこになるの?」
「ブラック本丸」
「………は?」
「とあるブラック本丸があって、そこにはなんと初期辺りに実装された刀が揃ってるのね?最近実装された刀以外ある程度揃ってるのね?とりあえずそこの審神者捕まえて、立て直して、拠点にしてくれ」
「お前らぁああ!そんな!ありきたりな設定で!しかも、面倒押し付けやがって!」
思わず叫んだ私は悪くない、悪くないからな!
「せ、政府には君のことをもう伝えてあるし、君には色んな世界を行ってもらった事でびっくりするくらいの神気も宿ってるし、大丈夫だから!ね!」
「そういう事言ってんじゃねえよ!神気宿ってるくらい嫌々ながら感じてたよ!じゃなくて、さっきも言ったけど立て直しとか面倒な事押し付けるなよ!」
「ほらほら、そんな顔したら今までの家族達が悲しい顔するよ」
「うっ…」
今はもう会えないとはいえ、今までの家族になった人達の顔が一気に頭の中を駆け巡った。
(皆に会いたいなぁ…)
心を落ち着けて、そう考えた後にため息を吐いた。
「とりあえず、いつも通り便利道具取り出せるもの、下さい」
「はい、どうぞ」
付喪神はドラ○もんもビックリな、いつもお世話になってる御都合主義勢大好きな巾着をくれた。
「とりあえず、行くね」
「いつもすまない」
そう言った神様にフッと笑うと部屋の扉を開けた。
その瞬間に襲ってきた眠気に、そっと身を委ねた。
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