鬼殺隊〜
名前変更
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制服が届いた後日、刀が届くとの連絡があった。
ソワソワしながら門前で待っていると、ひょっとこの面を被った人が遠くに見えた。
(……あの人だ!!)
出来れば鋼鐵塚さん以外だとスムーズに行きそうで嬉しいなと、ドキドキしながらその人が近づいてくるのを待っていると、目の前まで来たその人がペコリと頭を下げたのでつられて頭を下げた。
「貴方が暗波暁美さんでしょうか?」
「はい、そうです」
優しい声色の相手に少しホッとしつつ、問いかけに頷く。
「はじめまして、鍔鎚と申します」
「はじめまして、鍔鎚様。遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。どうぞ中へ。炎柱である槇寿郎さんもお待ちしております」
「ありがとうございます」
家の中へと二人で入ると、槇寿郎がいる部屋へと向かう。
「槇寿郎さん、いらっしゃいました」
「入れ」
返事を聞いて襖を開ける。
中にいた槇寿郎に鍔鎚は頭を下げた後、中に入った。
「こんにちは、炎柱様」
「久しぶりですね、鍔鎚さん」
どうやら知り合いのようで、頬を緩める槇寿郎に微笑みつつ、座った鍔鎚の前にお茶を出した。
「ありがとうございます」
顔につけた面を取ると、声色の通り優しそうな笑みを浮かべる男の顔が現れた。
(絶対にこの人はTHE・いい人ってやつだ)
一人うんうんと納得していると、お茶を置いた鍔鎚は横に置いていた風呂敷を解き、中に入っていた箱を暁美の前に出した。
「早速本題となりますが、こちらが暗波さんの刀となります」
そう言いながら箱が開けられる。
(これが…私の……)
現れた刀をジッと見つめた後、ちらりと槇寿郎を見る。
目があった槇寿郎が頷いたのを見て、刀に手を伸ばした。
素人でも分かるほどの素晴らしい出来具合に感嘆のため息が溢れた。
「…!?」
刀を眺めていると、突然色が変わりはじめた。
自分の呼吸に合った色に変わろうとしていたのだ。
「これはこれは…」
「……なんだその色は」
それは私が聞きたいんですけど、との言葉を飲み込み刀を握る手に力を込めた。
根本は黒く、先端にいくにつれて赤くなっている。
いわゆるグラデーションの状態になっていた。
「し、槇寿郎さん…」
「………とりあえず、炎の呼吸の適性はあるようだな。だが、その出方は…流石に知らん」
ですよねーと思っていると、キラキラとした鍔鎚と目があった。
「珍しいモノを見せていただきました。これからあなたがどのように刀を振るっていくのか、楽しみですな」
「は、はい…」
あはは…と乾いた笑いを溢し、改めて自分の刀を見た。
(…黒が混ざっている)
黒刀の適性は、日の呼吸。
少しは適性があるって事か……?
(…多少のチート能力があるって事なのかな?)
それならば嬉しいのだけれどもなんとも言えない。
というかそもそもグラデーションの刀なんか無いはずだから色々聞かれてしまうかもしれない。
暁美は少し面倒になりそうだなと頭を押さえた。
「さて、それでは私はこれにて。ご活躍をお祈り申し上げますよ」
「あ、ありがとうございます!!」
そう言った鍔鎚に頭を下げると、彼を門前まで見送った。
「……さて」
暁美は頬をパンっと叩くと、上を向く。
「朱!」
名前を呼ぶと飛んできた朱を腕に抱き撫でると、目線を合わせる。
「お館様に伝言をお願い。雲取山に用があるので、そちら方面の任務があれば是非回してください、と」
「ワカッタワ!」
朱はそう言って飛び立った。
小さくなっていく朱を見送った後、屋敷の中へと戻る。
「暁美!」
「は、はい!」
突然声をかけれて肩を震わせながら振り返ると、杏寿郎と伊黒が立っていた。
「杏寿郎さん、小芭内さん、どうしたんですか?」
「刀が届いたのだろう?是非見せてほしくてな」
その言葉にああ…と頷くと刀を置いている部屋へと向かう。
二人を中へと招くと、刀が入った箱を二人の前に出した。
「これが私の日輪刀です」
そう言って刀を二人に見せると、目を瞬かせていた。
「…こういうものなのか?」
「いや、俺が知る日輪刀とは少し違うような……」
「……やっぱり、ちょっと特殊なんですね…」
槇寿郎さんも鍔鎚さんもはじめて見たようだったと二人に伝え、刀を直して笑った。
「どんな刀であれ、私は力の限り戦い続けますよ」
そう言って笑うと、杏寿郎は「うむ!」と頷き、伊黒も無言で頷いた。
「もう発つのか?」
「今日はまだです。明日は…任務があればですね。今は朱が聞きに行ってます」
「そうか…」
伊黒の問いにそう答えると、杏寿郎と伊黒が顔を見合わせた後に頷いた。
「では、任務に立つ前に話しておきたいことがある」
「は、はい」
背筋を伸ばした杏寿郎につられて自分も姿勢を正す。
「その…敬語をやめないか」
「…え?」
伊黒の言葉に首を傾げる。
「歳も近いし、俺は仲間として、家族として、もっと距離を縮めたいと思っている」
家族として、その言葉に温かいものが胸に溢れた。
それは伊黒も同じなのだろう。
どこかむず痒そうにしていた。
その様子に少し頬が緩む。
「その、それは…えっと…二人がよければ。私も敬語じゃない方が話しやすいですし…」
そう伝えると、杏寿郎は満面の笑みを浮かべて頷き、伊黒も静かに頷いた。
「杏寿郎さん、小芭内さん。これからも…よろしくね」
そう言って微笑むと、二人も笑みを溢した。
「俺もすぐに隊士になる!」
「俺は……少しかかるだろうが、必ず隊士になる」
それまで死ぬなよと続いた二人の言葉に、暁美は強く頷いた。
「伝令ヨ!」
後日、戻ってきた朱からは暁美のお願いした通り、雲取山方面の任務を告げられた。
制服に身を包み、刀を携えると深呼吸をする。
「それでは、行って参ります」
煉獄家の皆に頭を下げると、門を出る。
その背に、皆の声援を受けながら地を蹴った。
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