皆のその後…
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「おうおう、悪ガキども!気をつけて帰れよ!」
そんな声が聞こえ、彼の周りには今日も子供達がいたのだなとクスリと笑った。
私がやってきたのは、新八さんの家。
総司には負けるが、彼も子供たちにはそこそこ人気があるようでほぼ毎日遊び相手になっているのを見かける。
子供達を見送る永倉を少し離れた場所から見ていると、桜に気付いたのか永倉が大きく手を振った。
「桜ちゃんじゃねえか!」
そう言って笑う永倉に手を振りかえすと、彼の元へと向かう。
「お邪魔じゃなかった?」
「勿論だ」
ニカっと笑う永倉によかったと微笑むと、そっと左手を取る。
「桜ちゃん…?」
戸惑う永倉をよそに、ムニムニと手を触りながら昔を思い出す。
池田屋事件の時、彼は肉がこそげ落ちたような怪我をしながらも最後まで戦い抜いた。
そして心配する私を安心させるように、頭を撫でてくれた。
ある夜にはそっと、手を繋がれたこともあったっけな。
スッと手を上に動かし、腕に触れる。
「ちょ、擽ってえよ」
少し笑う永倉にふふっと笑みを返しながら、今度は腕をムニムニと触る。
江戸に戻る船の上では、寒がる私を気遣ってそっと包み込んでくれた。
桜はムニムニと動かしていた手を止めると、永倉の手を取り自分の頬へと添えた。
「お、おい…どうしたんだ?桜ちゃん」
少し頬を赤くしながらドギマギしている永倉をチラリと見る。
「私、新八さんの手が好きです」
いつも、私を安心させるように触れてくれる優しい手。
女好きだけど恋愛には鈍感で、でも私にはいつも真っ直ぐに向かってきてくれた温かい人。
「…桜が好きなのは、俺の手だけか?」
そう言って頬を撫でる指に目を閉じて深呼吸した後、永倉を見る。
「新八さんのことが、好きよ」
そう告げると、永倉は優しい笑顔を浮かべて桜を引き寄せた。
「俺も…桜が好きだぜ」
ぎゅっと抱きしめられ、少し苦しいと思いながらもその温もりに身を任せる。
「ほんと、新八さんを好きになるなんて…思わなかった」
「俺だって、まさか選んでもらえるとは思ってなかったよ」
そう言いながら体を離して顔を見合わせると、お互いに笑い合う。
「そこは自信満々に“選ばれると思ってた”って言わないの?」
「おいおい桜ちゃん…俺が誰にも相手されてなかったの、知ってるだろ?」
その言葉に笑うと、繋がれていた手を自分の前にまで持ってきてぎゅっと握りしめる。
「新八さん…私の旦那様になってもらえますか?」
「…ったく、俺から言わなきゃいけねえのになぁ…勿論、お前の旦那にさせてくれ。そして桜、俺の嫁になってくれるか?」
「はい、もちろん!」
ひょいっと抱きつくと、軽々と受け止めてくれる永倉に頬を緩める。
「よし、このまま桜ちゃんの親御さんに挨拶と行くか」
「ちょ、流石に降ろしてよ新八さん!」
「しっかり捕まっとけよー!」
桜を抱えながら走り出し永倉に、思わず笑いが溢れた。
その様子を見て永倉も笑い、二人で桜の家へと駆けて行った。
(母様!)
(お、お母様!)
(私達)
(俺達)
(結婚します!)