皆のその後…
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「総司…っと、邪魔したかな?」
「やあ、桜」
「もう帰るところだったから、大丈夫ですよ当主様!」
桜がやって来たのは沖田の家。
里の子供達と遊んでいたようだが、子供達はもう帰るところだったようで、邪魔をした訳では無いことにホッとした。
「またな!総司!」
「当主様も、さようなら!」
元気に走っていく子供達に手を振っていると、後ろから手が伸びて来て腕を掴まれる。
「で?僕に何か用?」
「うん、そんなところ」
「ふーん…」
ジッと見つめてくる沖田に少し居心地が悪くなるが、微笑んで家を指さす。
「その…中で話してもいいかな?」
「いいよ」
沖田はにこりと笑うと、家の中へと桜を招いた。
(……さて)
どう切り出そうかと悩みながら、出された座布団へと座る。
「用事って、何かな」
「あー、その、さ」
もごもごと、どう話せばいいのか口籠る桜を、沖田は優しい目で見つめる。
(ああ、もう!)
恥ずかしいからそんな目で見ないで欲しい。
この男は、普段は周りに当たりが強いのに、懐に入れた人間には揶揄いを含みながらもとても甘い。
自分に対しても普段から甘い性格になったのに、更にそんな目で見られてしまうと、かなり恥ずかしくなる。
「何をそんなに恥ずかしがってるの?」
そして、ニヤニヤしながら覗き込んでくるこの男は本当によろしく無い。
一泡吹かせたくなった桜は、手を伸ばして目の前で笑う沖田の両頬を包み込むと、ジッとその目を見つめる。
「ちょっと、急になに?」
「総司。私の旦那様にしてあげる」
「………え?」
言われた言葉に目を丸くする沖田。
その様子を見て桜は笑った。
「私の事、好きって言ってくれてありがとう。行動で示してくれてありがとう。私も、総司の事が好きだよ。だから、旦那様にしてあげる」
里に戻って来てから、いや…その前からも、ふとした時に好意を伝えてくれて、自分に対する行動は大切だ、愛おしいと伝えてくれることばかりだった。
そんな沖田に自分も惹かれていた。
彼と一緒にいたい、彼と生きたいと、私はそう思った。
でも、素直に伝えるのは癪だから少し上からの態度で話してみる。
「………」
驚いて無言で桜を見ていた沖田だが、我に返ると自分の頬を包む桜の手を握りしめた。
「桜」
「ん?」
沖田は微笑むと、掴んだ両手を引き寄せた。
体が前のめりになり桜は焦ったが、優しく受け止められ、ぎゅっと抱きしめられて息を吐いた。
「…好きだよ、桜。君のことが好きだ。心から、愛してる。君が僕を好きだなんて…君を奥さんに出来るなんて、僕は果報者だ」
囁くように話す沖田の言葉に、桜は目尻が熱くなる。
(こんなにも…)
言葉で、体で、自分を好きだと言ってくれる彼に、胸がいっぱいになる。
「総司、好き。私も…愛してるよ」
そう言葉にすると、涙が溢れた。
肌に触れた涙に気付いたのか、沖田は少し体を離して桜の顔を見ると、微笑んだ。
「泣くほど僕の事が好きなんだね」
「……総司も、普段の調子が狂うくらい私のことが好きなんだね」
お互いの言葉に、顔を見合わせると笑った。
「桜…触れて、いい?」
そう言いながら、頬に手を当てて親指で唇をなぞる沖田に、桜は目を閉じる。
「…うん」
「ずっと、君に触れたかった」
沖田はそう言って目を閉じると、唇を重ねた。
そこからも伝わってくる、愛おしいという感情に胸がいっぱいになって、沖田の服をギュッと握りしめた。
そっと唇が離され、桜はゆっくりと目を開けた。
穏やかに微笑む沖田に桜も微笑むと、ぎゅっと抱きしめられた後に体が離れる。
「それじゃあ…行こっか」
「え?どこに?」
「どこにって、近藤さんのところと、君のお母さんのところだよ?近藤さんは僕の親みたいなものだし、報告に行かなきゃ。君のお母さんにも話に行かないとね」
桜の問いかけに、こいつ何言ってんだと言いた気な表情を浮かべた沖田を桜は殴ってやろうかと思ったが、どうにか気持ちを落ち着けて頷いた。
「そうだね、行こっか」
桜はニコリと微笑むと、沖田の手を握った。
沖田は幸せそうな微笑みを浮かべ手を握り返すと、桜と一緒に家を出た。
(近藤さん、僕たち一緒になります)
(……総司も、立派に成長したんだな)
(やだなあ近藤さん、泣かないでくださいよ…って、君も泣いてるの?)
(…ちょっとね)