皆のその後…
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「おっ、桜じゃねえか」
「左之さん」
向かったのは原田の家で、家の前で体を伸ばしていた原田は桜に気付くと微笑んだ。
「何か用事してた?」
「いんや。ちょっと体が鈍ってるからな、軽く動かしてただけだ」
「そっか。じゃあ今時間ある?」
「ああ、あるぜ。家に寄ってくか?」
その誘いに頷くと、原田に招かれて家の中へと入った。
「悪いな。茶は切らしててな。何も用意できねえが…」
そう言って笑う原田に釣られて桜も笑うと、首を振った。
「大丈夫、気にしないで左之さん」
原田は頭をがしがしっと掻いた後に座布団へ座ると、桜にも座布団を差し出して座るように促した。
「で?なんか用でもあったのか?」
微笑みながら甘い視線を向けてくる原田に、少し頬が熱くなるのを感じながら桜は息を吐いた。
「あのね、左之さん」
「うん?」
「待たせて、ごめんなさい。私、貴方を選びたい、です」
かなり前になるが、戦いから離れる日が来たら選んで欲しいと彼に言われた。
本人が覚えているのか定かではないけれども、あの日の返事を、私の気持ちをこうして伝えに来たのだ。
「も、もちろん左之さんがまだ私を選んでくれてるならだけど…」
桜はチラリと原田を見た後に視線を落として手をギュッと握りしめた。
選んでくれるならってまあ、今でもアプローチを受けているのだから少なからず好いてくれてるとは思うのだけれど、それでも人の気持ちというのは変わりやすいものだ。
ドキドキしながら待っていると、そっと手を握られたので視線を上げると、原田と目が合った。
「その、俺の嫁さんになってくれるって事でいいんだよな…?」
「…うん」
桜が微笑むと、原田は空いてる方の手で自分の口元を覆い顔を背けた。
「左之さん?」
「ちょっと、噛み締めてるから…待ってくれ」
よくよく顔を見ると、口元は少しにやけていて頬も赤い。
自分の気持ちを受け入れて、喜んでくれていることに桜自身も嬉しくなる。
「よしっ…」
落ち着いたのか、原田は姿勢を整えると桜の両手を取った。
「桜。俺の嫁さんになってくれ」
「はい。お願いします」
桜は微笑むと、キュッと原田の手を握り返した。
「よっし!ならお袋さんに挨拶に行くか」
「え、今から?」
「おう。早い方がいいだろ?」
じゃねえと他の奴らがまだ絡んでくるだろうしな…と呟いた原田に苦笑すると、桜は頷いた。
「わかった。行こっか…左之助さん」
「っ…!お前ってやつは…」
目元を手で覆い天を仰いだ原田に桜は首を傾げた。
折角なので呼び方を変えてみたのだが、嫌だったのだろうか。
「えっと…呼び方、嫌だった?」
「…逆だ。その、嬉しくてよ」
「嫌じゃないならよかった」
ホッと息を吐くと、原田は微笑みながら桜の頬に手を添えた。
「もう一回、呼んでくれねえか」
「…左之助さん」
「桜…お前を幸せにするって約束する」
「じゃあ、私は左之助さんを幸せにするって約束するね」
「…お前がいるだけでもう幸せだ」
そう言いながら顔が近づいて来たので、そっと目を閉じた。
「へーすけ!あそぼー!」
「あそぼー!」
「こら、呼び捨てじゃなくて平助兄ちゃんって呼べって言ってるだろ!」
そう言いながらも笑って目の前の二人の子供を追いかける藤堂の様子を、少し離れたところから桜は微笑みながら見ていた。
「あの二人はすっかり平助がお気に入りだな」
「総司の事も気に入ってるみたいだよ?総司は総司で子供好きだから相手するの上手なんだよね」
後ろからやってきた原田の言葉に答えると、そっと肩に手が回された。
優しく抱き寄せる手に逆らう事はせずに身を任せて原田に寄り添う。
原田と夫婦になって早数年。
沢山の人に(特に風間に)色々と言われたが(本当に夫婦になるのかが大半だった)、無事に夫婦になり子も授かった。
男の子と女の子の双子で、初めての子供が双子で大変だが、母親以外にも里の皆や他の面々も助けてくれているので他の双子を持つ親御さんよりは楽に子育ては出来ていると思う。
二人が出来る事も増え、ああして藤堂や沖田を筆頭に遊んでくれるので、最近は前以上に自分の手を離れていることが多く、更に楽をしている。
「なあ、桜」
遊んでいる光景を微笑ましいなと眺めていると、原田に声をかけられたので顔を見上げる。
「どうしたの?左之助さん」
「あいつらもそろそろ、泊まりに行かせたりしても大丈夫だと思うんだが…どうだ?」
「お泊まりか…」
そういえば、以前から二人は「へーすけとねる!」「そうじのところにいきたい!」などと駄々をこねる事もあった。
以前は粗相などをしたらな…と思っていたが、その辺りはもう大丈夫そうだし、泊まりに行かせてもきっと大丈夫だ。
「うん、そうだね。平助と総司あたりに聞いてみよっか」
「よっし」
どこか嬉しそうな原田に首を傾げる。
「なんか…嬉しそうだね」
「ん?まあな」
「理由は教えてくれないの?」
そう問いかけると、原田は頬を少し赤くしながら「理由…はな」と言い、桜の耳元に唇を寄せた。
「久しぶりに、二人だけで過ごせるだろ?」
そう言いながら腰を引かれれば、どういう意味かを桜はすぐに理解した。
「さ、左之助さん!」
「顔、赤いぞ」
そういう自分だって…と言いたかったが、あまりにも嬉しそうなので黙っておいた。
「じゃあ、早速聞いてくるわ」
手を離して藤堂の元へと向かう原田を見送ると、自分の頬に手を当てた。
熱を持つ頬を押さえながら、自分も二人で過ごせる事が楽しみだと笑みを浮かべた。
(平助の家で預かってくれるってよ。総司も来るって)
(じゃあ、お泊まりの服とか用意しないとね)
(その後は、二人でゆっくりしような)
(……左之助さんの助平)