皆のその後…
名前変更
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桜が里へと戻ってきてから一ヶ月。
戦いが続く日々から戦いの無い日々へと馴染むのにそこそこ掛かったが、今では穏やかに過ごしている。
目下に迫る母親の圧力を除いては…
「それで?桜のお婿さんは誰になるのかしら?」
穏やかな声色の中にも「さっさと嫁に行け」という意味が含まれていて、苦笑する。
まあ自分もいい歳…というかこの時代ではかなり行き遅れの部類だ。
母親としては戦いの終わった今、女として幸せな家庭を築いて欲しいと思っているのだろう。
幸い、幸いか?いやまあそれは置いておいて、ここには好いてくれている物好きな奴らがいる。
母親としてはその中の誰かならば良さそうだった。
(悪い意味ではなく、皆いい男だと褒めていたから誰が婿になっても良いという意味だ)
桜もはじめは誤魔化していたが、男たちのアピール合戦にそろそろ疲れてきていたし、自分でも気付かぬ内に心を寄せてしまった者がいた。
母親は、その気持ちに気付いたのだろう。
それからは圧力が凄くて凄くて…
「桜?」
そっと視線を逸らしていたのに気付かれ、再度名前を呼ばれた。
桜は小さく息を吐くと、手にしていた湯呑みを置いた。
「……わかりましたよ、私も覚悟を決めます。誰かと一緒にならないと皆、諦めてくれなさそうだし…」
「まあ、それは嬉しいことだわ」
微笑んだ母親に再度苦笑し、頬を掻いた。
「……近い内に何かしらの報告が出来るようにはします。それまで待っててください」
そう言って立ち上がると部屋を出た。
(さてと…)
もたもたしていたら母親の圧力が増すだけだ。
覚悟を決めたのだから、今から……彼に会いに行こう。
桜は深い溜息を吐くと、羽織を手にして家を出て彼のいる家に向かう。
ここに来た皆は里の者が用意した家にそれぞれ住んでいる。
風間一行は西の鬼なので家は向こうにあるが、頻繁にこちらに来るため一つ家を用意させたらしい。
(全く、あの鬼はいつまで経っても…)
桜は息を吐いた後、目の前に見えてきた家に視線を向けた。
私が来たのは---
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