江戸に戻る~動き出した男達

名前変更

この小説の夢小説設定
苗字
名前



江戸に戻ってきた新選組は、品川にある旗本専用の宿【釜屋】に身を寄せることとなった。

肩に傷を負っている近藤は、松本先生のところで療養している。

鳥羽伏見での負け戦、大阪城撤退、そして幕軍の総大将たる慶喜公の恭順--。

どう見ても先行きが明るいとはいえぬ展開に、隊内にも不安げな雰囲気が立ち込めていた。






「近藤局長はいつ戻られるんだ?」

「もしや慶喜公のように、我々を見捨てて逃げてしまうのではあるまいな?」

「そんなこと、あるはずないです。余計な心配をしてる暇があるなら、言いつけられた仕事をしましょう」

隊士たちが不安で思わず話していた内容に、相馬が諌めるように声をかけた。

本来ならば幹部の役目で、この場にはがいたが、松本の手伝いに行って疲弊して縁側に座っているのに気を遣い、相馬が皆に声をかけたのだ。

「てめえら、お喋りが過ぎるぜ。暇でしょうがねえんなら、刀の手入れでもしてたらどうだ?」

「はっ……!申し訳ございません!」

それに感謝していると、やってきた永倉の一言によって皆が慌てて席を外す。

そんな後ろ姿を見送った後、原田が深いため息をつく。

「……ま、あいつらの気持ちもわからなくはねえかな。戦になった途端、総大将が真っ先に逃げ出してしまうなんて前代未聞だ」

そう話し出した原田や永倉の姿を見て、は小さく息を吐いた。

隊士の不安も、幹部たちの不満も、何もかも仕方ない。

装備云々の前にトップが逃げてしまったということが皆の頭にあり、それが現状に繋がっているのだから。

がもう一つ溜息を吐いた時、原作通り「吉原」の単語が聞こえてきた。

先程からの存在に気付いていない永倉が「吉原に行かないとやってられない」と話している事に、相馬と野村は気が気でない様子でをチラチラと見ていた。

それが面白くて思わず吹き出すと、永倉と原田がバッとこちらを見た。

「なっ、なっ、なっ……!」

じゃねえか。いつからいたんだ?」

「はじめから」

そう言うと益々焦ったような永倉が面白かった。

「あ、いやよ、ちゃん…吉原ってのはよ、その…」

「なんで僕に弁明しようとしてるんです?別に歳さんに告げ口はしませんよ。ハメを外さない程度ならば息抜きも必要ですから」

そう言って微笑むと、永倉の顔は青くなった。何故。

「新八、吉原は一人で行けよ。俺はと飲むから」

「はぁ!?何言ってんだ左之!俺もちゃんと飲む」

いや、そもそも飲むとか言ってないんだけど。

この後もまた松本先生のところに行くし。

「いや、僕はまだすることあるから飲まないよ?」

「場所はどうする?」

「とりあえず、お前の部屋でいいんじゃねえか?」

「いや、聞いてる?」

話を聞いていない様子の二人に溜息を吐くと、相馬と野村を見る。

「近藤さんのところ行くけど、二人も行く?」

「はい、ご一緒します」

「勿論っす!」

頷いた二人に微笑むと、まだ話している永倉と原田を放ってその場を離れた。






そんなある日、新選組にとっては意外な客が釜屋へとやってきた。

「こんにちは、ご無沙汰してます」

「八郎。久しぶり」

伊庭八郎だった。

さん、お元気でしたか?……少し、痩せましたか?」

「元気だよ。痩せたというより…更に引き締まった、かな?」

そう言って頬に触れてくる手が擽ったくて笑いながら答えた。

伊庭は微笑むと、頬から手を離した。

「ところで、どうしたの?」

「トシさんに用事があって来ました。取り次いでもらえますか?」

「うん、わかった」

土方の部屋へと伊庭を案内し、その場を離れる。

お茶の用意でもしようかと思ったが、土方はすぐにここを出て行く。

何故ならば、伊庭がここに来たのは土方が面会予定の幕臣が、約束を反故にしようとしていることを伝えに来たからだ。

(ほんと、なんだかなぁ…)

は出そうになる溜息を、グッと飲み込んだ。

暫くして、土方が慌てて出て行くのが見えた。

伊庭から話を聞いたのだろう。

それを見送ると、人が近づいて来たことに気付く。

さん」

伊庭だった。

その表情は暗いものだった。

「八郎、どうしたの?」

「……実は」

伊庭から聞かされたのは、土方が慌てて出て行く事になった原因の幕臣の話。

知ってはいても、改めて聞かされると腹が立つものだ。

表情に出ていたのか、伊庭が困ったように笑うからも首を振った後に笑った。

「まあ、歳さんなら…どうにかするよ。きっと。知らせに来てくれてありがとうね」

「いえ。僕に出来るのはこれくらいですから」

「それでも、ありがとう」

そう言って微笑むと、伊庭も微笑んだ。

「それじゃ、僕はそろそろお暇します。皆さん方に、よろしく伝えてください」

「なんのお構いも出来なくてごめんね。皆にはちゃんと伝えておくよ」

伊庭は頷くと歩き出したが、少しして戻って来た。

どうしたのだろうかと見ていると、目の前までやってきた伊庭がジッとこちらを見下ろす。

「……八郎?」

「…僕は、貴女を守る程の力はありません。だけど…貴女を守りたいと、思っています」

「えっと…ありがとう?」

「……この戦いが終わったら、またゆっくりお茶でも行きましょう」

その言葉に「勿論」と頷くと、伊庭は嬉しそうに微笑んでの髪を一房手に取り、唇を落とした。

その行為に驚いていると、伊庭は頭を下げて足早に去っていった。

(……びっくりした)

まさか、あんな事されるなんて思ってなかったから油断していた。

は少し熱い頬に手を当てた後、隊務をしなければと歩き出した。

その夜、は吉原に出掛ける者、与えられた部屋で過ごす者などを見送った後、台所へと足を運んだ。

この後、疲れ切った男が一人、戻って来るからだ。

おにぎりをいくつか用意し、茶葉と湯呑み、水を入れた鉄瓶も用意して大きめの盆に乗せる。

そのまま目的の部屋へと向かうと、主がいない部屋へと勝手に入った。

「うー…寒い」

部屋の灯りをつけ、火鉢に火をつけ、鉄瓶を五徳の上に乗せて湯を沸かせてる間に、部屋を軽く片付ける。

忙しく動き回っているあの男を、少しは休ませないと、倒れてしまうだろう。

片付けも終えて火鉢の前で温まっていると、誰かが慌てて駆けてくる音がした。

「誰だ!」

バッと襖を開けたのは土方で、部屋の主が戻ってきた事に気付いて手を振る。

「おかえり、歳さん」

「お前…なんでここにいる」

「歳さんを休ませるためだよ。とりあえず、中に入って」

そう言って手招くと、土方は眉間に皺を寄せて「侵入者かと思ったじゃねえかよ」と言いながら深い溜息を吐いて部屋に入る。

は沸かせてあったお湯を使ってお茶を入れると、近くに座った土方に渡す。

「…ありがとよ」

礼を言って受け取った土方に微笑みながら、作っていたおにぎりも渡す。

「ちょっとはご飯も食べてくださいね。近藤さんが復帰した時に、入れ違いで倒れられたら困るんだから」

「んなに柔じゃねえよ」

「…診察しますか?その後はどうなるか、保証しませんが」

少しでいいから休まないと、無理矢理にでも寝かせるぞと意味を込めてにっこり笑う。

土方は何かを察したのかソッと目を逸らした。

「とりあえず、おにぎり食べてください。で、食べた後は寝る。今日はお仕事終わり。わかりましたか?」

そう言うと土方は不機嫌そうな表情を浮かべたが、が引かないとわかっているので、少しして「俺の負けだ」と言って笑った。

「少し休む」

「はい、休んでください」

土方の言葉に微笑むと、おにぎりを食べている間に布団を用意する。

総司や平助も子供っぽい所はあるが、歳さんもある意味子供だなと思ってしまう。

ちゃんと見ていないとダメなタイプの子供だ。

そんな事を考えていると、食べ終えた土方がお茶を啜っているのが目に入った。

「ちゃんと食べましたね。後は着替えて、ゆっくり寝てください」

そう言って、盆を手にして立ち上がろうとすると腕を掴まれる。

危ない、落ちたらどうするんだ!と思って土方を見ると、ジッとこちらを見つめていたので首を傾げる。

「どうしました?」

「もう戻るのか?」

「だって、歳さんに寝てもらわないといけないから」

「……もう少し、ここにいろ」

なんだなんだと思いながらも、心身ともに疲れている様子の土方に小さく息を吐いて腰を下ろす。

その様子を見て土方はの腕を離すと、正座したの膝へとうつ伏せに頭を乗せて寝転んだ。

「……歳さん?」

珍しい行動に、驚くと同時に嬉しくなる。

人に甘えるのが下手な鬼副長がこんな行動をしたのだ、一ちゃんだったら失神するかもしれない。

それにしても…総司の時も思ったが、野良猫を手懐けた気分だ。

そんな事を考えながら土方の髪紐を解いて、ゆっくりと髪に手を通して絡まった髪を解す。

相変わらずサラサラで羨ましい。

「いつもお疲れ様です」

声をかけながら暫くそうしていると、土方が頭を上げた。



名前を呼ばれて首を傾げると、土方が手を伸ばしてきた。

その手は首裏へと回り、グッと力が込められると前のめりになる。

いや、ちょ、危ない!と考えていると、唇に柔らかいものが当たった。

(………おっとー??)

これはどういう事だと、はプチパニックになる。

まあ、ご想像通りですよ。

歳さんに、キスされてます。あ、接吻か。

いや、そんな悠長に考えている場合じゃない。

が慌てて距離を取ると、土方の唇をすぐに離れた。

「……歳さん、何してるの」

少し低めの声でそう問いかけると、土方はバツが悪そうに視線を泳がせた。

その様子は、自分でも戸惑っているようだった。

は小さく溜息を吐くと、土方の額をペシっと叩いた。

「吉原でも行きますか?」

「…いや、そういうのじゃねえ」

「じゃあ、どうしたんですか?」

欲求不満なのかと思ったが、そうではないみたいだ。

土方は体を起こすと、額に手を当てて溜息を吐きながら俯いた。

「…悪い、お前に甲斐甲斐しく世話されて、なんていうか…」

「なんていうか?」

「……我慢が出来なくなっちまった」

ポツリと言われた言葉に、は首を傾げる。

「ですから、吉原に行きますか?」

「いや、そうじゃなくてよ。あー、そうだな。お前はそういうやつだな」

土方はぶつぶつと言った後、を見た。

「お前だから、我慢が出来なくなったんだよ」

あーくそっ、と言いながら頭を掻きむしりそっぽを向いた土方に、は目を丸くした。

好意を向けられているのは勿論知っていたが、まさかここまではっきり言われるとは思ってなかったので頬が熱くなる。

はバッと立ち上がると、部屋を出る為に襖へと手を掛けて止まる。

「歳さん。歳さんが言わんとしてることは…わかりました。けど、その……今は考えられない」

ゆっくり休んでくださいと言って出て行くに、嫌われてしまったかと思ったがそうでもなさそうな様子に土方は笑った。

耳が真っ赤だったからだ。

への気持ちは前からあり、蓋をしていてが開いてしまって止められなくなった。

突然の行為は許されたものではなく、も随分と驚いていたのはわかるが謝るつもりはない。

土方は置いて行かれた盆を見て笑うと、机の上へと置いた。






「………はぁああぁ」

土方の部屋から出た後、庭に出て蹲る。

凄く、顔が熱い。

(いやいやいやいや、勘弁してよ…)

わかってたよ?わかってたんだよ?自分に向けられている好意はわかってたよ?

でもまさか、手を出されるなんて思ってないじゃん!

流石に驚くよ!

火照る頬を自分の手で包み込み、溜息を吐く。

「どうされましたか?」

声が聞こえ、バッと立ち上がって振り返るとそこには微笑む山南がいた。

「さ、山南さん…」

「…気分が優れないのですか?」

「だ、大丈夫です!ちょっと熱くて」

「……今はまだ寒いと思いますが?」

そう言われて乾いた笑いを溢しながら頬を掻く。

「ああ、それとも…」

近付いてきた山南はニッコリと音がしそうなくらい、いい笑顔を浮かべるとグッと顔を近付けてきた。

「土方君に、何かされましたか?」

耳元で言われた言葉に、後ろへと飛び退ける。

その様子を見て「ああ、やはり」と笑った山南には頭を抱えた。

「……一応聞きますが、なぜそう思われるのですか?」

「顔を真っ赤にした雪風君が、土方君の部屋から出て来るのがたまたま見えまして」

そう言った山南をはジトっとした目で見た。

要するにこの人は、土方と何かあったのがわかっててワザと聞いてきたのだ。

その視線に気付いた山南は、クスクスと笑った。

「申し訳ございません。どうかそんな目で見ないでください」

「山南さんが意地悪な聞き方をするからです」

「すみませんね」と言った山南は笑うのをやめると、一歩へと近付き、頬にそっと触れた。

「一体、何をされたのですか?」

真剣な面持ちで尋ねる山南に、は口を閉ざす。

(言えるわけない、接吻されたなんて…)

消化しきれてないし、普通に恥ずかしい。

口にギュッと力を入れ、頬を少し赤らめて視線を逸らしたに、山南は「ふむ」と言うと親指で唇をなぞった。

「ここに、何かされたのですか?」

「えっ!?いや…」

挙動不審になるに、山南は困った表情を浮かべた。

「そんなに狼狽えては、答えを教えているのと同じですよ」

「うっ…」

山南はチラリと土方の部屋の方を見ると、ぽそりと呟いた。

「全く…土方君は我慢強い方だと思っていたのですが…」

「えっ?」

よく聞こえなくてが聞き返すと、山南は視線を向けて微笑んだ。

君」

いつもと違う呼び方に驚いていると、目の前が山南でいっぱいになった。

そして、先程も感じた感触。

が驚いていると、山南の顔が離れた。

「土方君が我慢をやめたのならば、私もいいですよね?」

「え、いや…」

君、今後は…覚悟しておいた方が良いかもしれませんね」

山南は微笑みと意味深な言葉を残し、その場を去って行った。

残されたは「頭が痛い…」と呟くと、また火照ることになった頬を押さえながらふらふらと歩き出した。






「………」

後日、朝餉を作りながらは考え事をしていた。

(………やはり、おかしい)

自分以外にもこの場にいる二人が、全く言葉を発さないのだ。

斎藤に、原田。

二人は黙々と食事の用意をしている。

それはいい事なのだが、いつもならばもう少し談笑している。

それなのに、こうも話さないのはおかしい。

おまけに、チラチラとこちらを盗み見しているようだ。

なんとも居心地の悪い空間の中、食事を作り終えると膳へと乗せる。

「あ、えっと…運ぼうか」

「そうだな」

「ああ」

広間へと膳を運んでいる間も、二人は無言だった。

何かしてしまったのだろうかと不安に思う中、広間へと辿り着く。

「お待たせしましたー」

そう言って声を掛けながら入ると、いつもなら聞こえてくる筈の永倉の「待ってましたー!」との声が聞こえない。

珍しくいないのかと思って辺りを見回したが、ちゃんと永倉はいた。

体調でも悪いのかと思ったが、何やら考え込んでいる様子だったので声はかけずに自分がいつも座る場所へと座る。

食事が始まった後も、いつもならば皆で取り合いをするのに、今日はそんなこともせず、目の前の食事に皆が集中している。

「……ねえ」

そんな中、声をあげたのは沖田だった。

「皆がそんなんだったら、気持ち悪いんだけど」

「ききき、気持ち悪いとはどういう事だ!」

「そうだぞ!総司」

沖田の言葉に、永倉と藤堂が声を上げる。

「気になってるならさ、聞けばいいじゃん」

そう言って沖田はを見た。

、土方さんと山南さんに接吻されたって、本当?」

突然の問いかけにはゲホッゲホッと咽せた。

慌てて背を撫でてくれる斎藤に礼を言うと、沖田をジロっと睨んだ。

「どういうこと」

「どういうことも何も…本人達が認めてるから聞いたんだけど」

なんだどういう事だ理解ができない。

そう思いながらバッと二人のいる方を見ると、土方は気まずそうに視線を逸らし、山南は読めない笑みを浮かべていた。

というか…

「まさか、この変な空気は…そのせいだったのか…?」

その言葉に、何人かが目を逸らした。

当たりという事だ。

「……歳さん、山南さん?」

なぜ自分が忘れようと思っていた事が広がっているのか、その原因であろう二人を睨みつける。

「……俺が言ったんじゃねえ」

「私ですよ」

微笑んだまま自分が犯人だと言う山南に、頭が痛くなる。

「なんでワザワザ広めてるんですか…僕は事故だと終わらせるつもりだったのに」

「それは危なかったですね。何せ我々は事故で終わらせるつもりはありませんでしたから」

山南の言葉に、は「えっ?」と首を傾げる。

「明確な好意を持って行った行動です。無かったことにされては困りますから。それと…皆さんに伝えたのは、皆がいる場所で“たまたま”口が滑って土方君に聞いてしまったからですよ。あの夜、抜け駆けをしましたね?と」

「それに、皆が知っていれば変に抜け駆けする機会も減るでしょう?」と言ってチラリと視線を向けられた土方は、更に視線を逸らす。

というか、たまたまというのを強調している辺りワザととしか思えない。

は頭を抱えて「あー、うー」と唸った後、山南を見た。

「つまり…皆は?僕に?その…好意があって……?えーっと…?」

だめだ、頭が理解したくないと言っている。

いや、わかっているけれど、わかりたくない。

好意が向けられているのはもちろん気付いていたし、はっきりと言ってきた人もいるし、いやでもだからってこんな…「私を取り合わないで!」みたいな展開は勿論望んでなんかなかった。

「と、とりあえず…これから戦いは激化していくと思われますし、僕の事は一旦忘れて…ね?」

「それは無理な相談だな」

お茶を飲んでいた原田は湯呑みを置くと、ぽんっとの頭を撫でた。

「俺たちはどんな戦いも手は抜かねえ。それだけは覚えておけ」

ご馳走さんと言って膳を持って出て行った原田に、はぽかんとする。

「まあ、これから覚悟しておきなよ。戦も…君の事もね」

そう言って笑った沖田に、は本格的に頭が痛くなった。

その後、食事どころではなくなったのでは早々に広間を出た。

膳だけ片付けると、自室へと行き文机に突っ伏す。

(あーもー、何故こうなった)

こんな展開は求めてない!誰も!求めてない!!

と叫びたいのをグッと抑える。

ちょっとした恋愛沙汰で皆の結束が壊れるほど柔ではないのはわかっているが、ドキッとするからやめてほしい。

そしてその中心にいるのが自分だという事もとても頭が痛い。

(……千鶴、助けてー!)

正ヒロインである千鶴に思いを馳せ、は大きく溜息を吐いた。






1/3ページ
スキ