池田屋事件~禁門の変
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あの後、隊士たちの協力もあり、荷物を持ち帰って整頓した桜は一息ついていた。
(ん?)
休憩していた桜は、広間が騒がしいことに気づいた。
(まさか…?)
広間へと足を運ぶと、そこには試衛館時代から交流のある幹部連中と伊庭八郎がいた。
(八郎の訪問イベント、今日だったか)
桜は息を吐くと、広間へと入る。
「八郎じゃん!」
「桜さん!」
幹部に囲まれていた伊庭は、笑顔を浮かべた。
「この前ぶりだね」
「はい。あれから大丈夫でしたか?」
小声で聞いてくる伊庭に頷くと、彼はホッとした様子で微笑んだ。
「おい、八郎!近いぞ!」
「うわっ!」
藤堂に引き剥がされ、伊庭は困ったように笑った。
「…そんな近かった?」
「うん、近かったね。君はもう少し危機感を持たないと」
「総司にそんな事を言われるとは…」
「なにそれ?どういうことかな?」
ニコニコと黒い笑みを浮かべる沖田からそーっと視線を外すと、伊庭を見る。
「今日は仕事で?」
「それもありますが…前に桜さんからお誘いを頂いたので、トシさん達にも会いたかったので来てしまいました」
嬉しそうに笑った伊庭につられ、桜も笑みを浮かべる。
「兄様、嬉しそう…」
ポツリと呟いた千鶴の一言が桜以外の耳に入り、照れくさそうにする伊庭と、伊庭を桜から引き剥がす騒動があったが、当の本人はその光景を見て微笑んでいるだけだった。
それは伊庭が引き上げるまで続いた。
元治元年 七月
巡察に向かう隊士と千鶴を見送ると、自室に向かう。
京は戦火に見舞われるだろう。
この前の池田屋事件以来、長州の人間が続々と集まってきている。
住民もそわそわしており、引越しの準備を行なっている家も少なくない。
自分も隊務を与えられることが更に増えた、いつでも愛刀は手入れしておかないといけない。
鬼切安綱、近年(私が元いた世界)では髭切とも言われている刀……だった気がする、
鬼切安綱と髭切って別だったっけ?まあ……ここは薄桜鬼の世界だから、その辺ふわっとしてても、大丈夫だよね?
酒呑童子の部下であった茨木童子の腕を斬ったとされるこの刀が我が家の家宝であった。
手入れを行なっていなくてもその斬れ味は鋭くて鈍らない、不思議な刀だ。
そしてどうやら風間が持ってる刀は酒呑童子を斬ったとされる童子切安綱と言うのだが、その刀となんらかの関係があるそうだ。
風間と関係があるなんて…最悪だ、だが我が家に伝わる刀は何と素晴らしいんだと思ってしまうあたり、刀好きの一ちゃんと私はあまり変わらないなと感じてしまう。
さて、話を逸らしてしまったが、とにかくいつでも戦いに出る準備はしておかなくてはいけない。
確か、この年の今月には…禁門の変が起きる筈だから。
「桜、いるか?」
「ん?いるよ?」
聞こえてきた声に返事をすると、すっと襖を開けたのは斎藤だった。
「実は……その刀!」
「へ?」
キラキラとした目で刀ごと手を握られた、何事?
「鬼切安綱、何度見てもいい刀だ…」
「どうも」
ニコリと微笑むと、ハッと此方を見た斎藤の顔がみるみる赤くなる。
「一ちゃん?熱でもあんの?」
「い、いや。熱はない、大丈夫だ」
慌てて離れる斎藤を不審に思いながらも桜は刀を鞘に収める。
「で?本当にどうしたの?」
「その、襟巻きが解れたので繕ってはもらえぬだろうか?」
そっと渡してきたのは、いつも首元に巻いている白い襟巻き。
よくよく見ると、端が解れていた。
「ん、こんぐらいだったらすぐ出来るよ。任せて」
「すまない」
申し訳なさそうにする斎藤の頭をポンポンと撫でると、道具をとって針仕事を行う。
ジーッとその様子を見ている斎藤が面白くて、思わず笑みがこぼれる。
「いつも思うけど、そんなに面白い?」
「い、いや。面白いというよりかは、桜の作業が鮮やかでな……」
(ほう、小僧。私の手際の良さを褒めるか)
内心嬉しく思いながらも、針仕事をちゃちゃっと終わらせる。
「ん、終わったよ」
「すまない」
斎藤は襟巻きを受け取ると首に巻きつけて微笑む。
「一ちゃん、なんかくすぐったい?」
「その様な事はないが…なぜだ?」
「なんか、笑ってるから」
「いや、その……桜は料理もでき、針仕事も鮮やかで、何と言うか……良い奥さんになりそうだな、と」
「……そりゃ、どうも?」
(その言葉、千鶴に言ってくれ。とても可愛い反応を返してくれるから)
そう思っていると、そっと手を握られた。
「桜は…」
「ん?」
「桜は……と、年下の男は嫌いだろうか‼‼」
一ちゃん、声デカイよ。
溜息が出そうになったが、あまりにも一ちゃんが真剣な顔だから何とか飲み込んだ。
「年下…ね…」
桜の言葉に斎藤は頷く。
「んー十歳も離れてればちょっと考えるけど、二~三歳くらいなら、まだ大丈夫…かな?」
(私の精神年齢に合わせるなら、三十代後半から四十代前半かな)
心の声を呑み込んでそう答えると、斎藤の顔はパッと明るくなった。
「な、ならば!」
「桜、いる?」
斎藤が何か言おうとした時、襖を開けながら声をかけて来たのは沖田だった。
「あれ?一君、なにしてるの?」
「い、いや。俺は、なにも…」
斎藤は赤い顔で握っていた桜の手を離す。
沖田はニヤニヤした様子で部屋に入ってきた。
「そうなの?年下の男がどうとか聞こえたけど?」
「き、気のせいではないのか?」
狼狽える斎藤を不憫に思い、桜は沖田を見る。
「で?総司も何か用事?」
「ああ、そうそう忘れてた。これ、繕ってもらえないかな?」
そう言って沖田が取り出したのは隊服だった。
「ん、わかった。ちょっと待って」
桜は針を持つと手早く繕っていく。
その様子を見ていた沖田は、ふと口を開いた。
「そういや桜さ」
「ん?なに?」
「この前、誰かと夫婦になるつもりは無いって言ってたけど、本気?」
その言葉に、桜は不思議そうに沖田を見る。
「うん。本気だけど、なんで?」
「いや、なんでなのかなって。桜が望むなら新選組を抜けて所帯を持つこと、許してくれると思うけど?」
流石の鬼副長も怒らないでしょ~と言った沖田に桜は頭を傾ける。
「なんていうか…そうかもしれないけどさ、僕自身がそんなこと考えて無いから。抜けるつもりも無いし。抜けろって言われたら死んでやる」
にっこりと笑う桜にあの沖田も苦笑した。
「それにさ、もう二十超えたんだから、唯の年増だし。嫁に欲しがる人なんてそうそう居ないよ」
そう言いながら、繕い終えた隊服を沖田に渡す。
「そ、そんなことは「そんな事ないぞー」
何か言いかけた斎藤の言葉を遮りながら入って来たのは原田だった。
「左之さん?」
「いい女ってのは、幾つになっても引く手数多なんだよ」
そう言いながら座る原田に、桜は首を捻る。
「まあ、左之さんが言うならその可能性はあるのかもしれないけど、僕には当てはまらない事だし」
「なんでそう思うんだ?」
原田の言葉に桜は苦笑する。
「僕、戦う以外に特に取り柄は無いから」
「そんな事、ないぞ!」
大きな声をあげたのは、いつの間に来て居たのか原田の横に座る藤堂だった。
「平助?」
「桜は針仕事とか細かい事も簡単かつ正確にやってこなす。そしてなにより飯が美味い!」
「えっと……ありがとう」
折角褒めてくれたんだから、礼は言わないと。
「そうだぞ、桜ちゃん。桜ちゃんはどこからどう見てもいい女だぞ」
「えっと…見た目が女に見えるなら、男装してる意味がないからあまり嬉しくないな」
「いや、変装も完璧だ!」
ニカッと笑ったのは、またまたいつの間にか来ていた永倉だった。
「ど、どうも……」
桜は苦笑しながらも礼を言った。
「おや?皆さんお揃いで」
聞こえて来た声に視線を動かすと、山南と山崎がいた。
「何か面白い話でもされてるのですか?」
「桜がいい女って話だ」
山南の言葉に原田はそう言った。
(何を言ってんだか…)
何だ?揃いも揃って私を結婚させて新選組から追い出したいのか?
桜がそんな事を考えていると、山南が笑った。
「確かに、雪風君は細かい所にもよく気が向いてますしね」
「なにより、医学だけに留まらず色々な物事に博識だ」
山南と山崎が参加して来た事に驚いたが、益々居た堪れなくなってきた。
(あー夢だと言ってくれ)
目の前で如何に桜がいい女か話す面々に気が滅入って来た。
はじめは素直に受け取ろうとしたが、お世辞にも程がある…
女としてはどれもこれも嬉しい言葉であり、あれ?もしかして私ってモテてる?なんて思うのが普通だろうけど、私には全てお世辞にしか思えない。
これは精神年齢の問題?私の卑屈さの問題?
桜が疲れ始めた時、襖から誰かがこちらを覗いた。
「てめえら。隊務をサボって、揃いも揃って何してやがる」
「げっ!土方さん…」
誰かの気まずそうな声が響いた。
「歳さん‼」
そんな中、桜は助かったとばかりに立ち上がると土方に抱きついた。
「なっ…⁉急にどうした」
土方は桜の肩に手を添えると、そっと体を離す。
「皆がやたら褒めて来て怖いです。まるで……」
「まるで?」
桜の言葉に、皆が注目する。
「まるで、僕をサッサと結婚させて新選組から追い出そうとしているみたいで…うっ、吐き気が…」
顔色を青くする桜の言葉に、皆目を見開く。
「なっ!そんなつもりは!」
「そうだぞ!俺たちは桜を追い出そうとなんかしてないぞ…!」
「うげーもうやだやだー僕を褒めちぎる皆さん怖いー。歳さん、僕に休みください。半日だけでいいから!近藤さんの許可ちゃんともらうから!」
桜の切実な頼みに土方も苦笑する。
「くだらねえ理由だと言いたいところだが…そんなに顔色を悪くさせられたらこっちも断れねえな」
「じゃあ…‼」
「近藤さんの許可をもらったら、休んでいいぞ」
「わー!歳さん大好き!」
桜は土方の手をギュッと握った後、近藤の部屋を目指して走り出した。
残された面々は只々ぽかーんとしていた。
そんな中、一つの溜息が聞こえて来た。
「あの…皆様」
「雪村…どうした」
医務室にいた千鶴は、騒がしいのを聞きつけて桜の部屋に来た様だった。
「兄様…いえ、姉様を大切に思ってくださる気持ちはとてもヒシヒシと、この私にでさえ伝わりますが、姉様はあのように…その…とても色事には疎いのです。自分に好意が向けられるはずがない。そう思っている方です。ですので…あまり結婚だとか、そう言った話をされますと、自分が追い出されると…勘違いをなさいますので」
困った様に笑う千鶴に、面々はため息を吐くしかなかった。
「姉様は、新選組に命をかけてます。ですので、あまり結婚がどうだとか、唐突に話されると不安になるのだと思います」
「まさか…色事に疎そうな千鶴ちゃんに諭されるとはね…」
沖田は千鶴の言葉に苦笑した。
「う、疎いですけど…姉様の事なら、わかりますから」
そう微笑んだ千鶴に、皆は苦笑するしかなかった。
数日後、色々と落ち着いた桜は広間で壁に背を預けて目を瞑っていた。
会津藩から出陣の命が出るかもしれないからだ。
(禁門の変は今日かな…)
「失礼します」
ふーっと息を吐き出した時、千鶴の声が広間に響いた。
大きめのお盆に幹部人数分のお茶を乗せた千鶴は、皆にお茶を配る。
「すまねえなあ、千鶴ちゃん。そうやってると、まるで小姓みたいだな」
永倉の反応に微妙な表情を浮かべる千鶴に苦笑する。
「ありがとう、雪村君。……すまんねえ、こんな仕事まで」
「あ、私なら大丈夫です。皆さんには、お世話になってますし」
井上の言葉に千鶴は笑顔で返す。
「ん…おいしい」
千鶴の用意してくれるお茶はホッとする。
千鶴をからかっている沖田を見て桜が苦笑した時、広間の引き戸が開き、近藤が朗々とした声を張り上げた。
「会津藩から正式な要請が下った。只今より、我ら新選組は総員出陣の準備を開始する!」
その言葉に、広間に歓喜の声が響く。
「ついに会津藩も、我らの動きをお認めくださったのだなあ」
近藤自身もどこか嬉しそうで、思わず笑みがこぼれる。
(んー気合い入れなきゃ)
伸びをしていると、苦い顔をした土方が口を開く。
「はしゃいでる暇はねえんだ。てめえらも、とっとと準備しやがれ」
「はい、歳さん」
土方に隊服を渡して、隣にいる近藤にも隊服を渡す。
「ったく……。てめえの尻に火がついてから、俺らを召喚しても後手だろうがよ」
「まあまあ、そう言わずに」
桜が苦笑していると、山南が後ろからやってきた。
「雪風君、あなたは昨日遅くまで仕事をなさってましたし、屯所で待機を「しませんよ?」
山南の言葉を遮り、桜はにっこり笑う。
「ですが…」
「僕の分は、総司と平助も頑張ってくれますし。お願いします」
頭を下げると、山南は困ったように笑った。
「……しょうがないですね」
「ありがとう!山南さん!」
にこりと微笑むと、彼も微笑んだ。
原作と違い、総司、平助、更には山南さんまで一緒に参加する禁門の変。
本来ならありえない状況だか、私は頑張ったつもりだ。
それに、今のところ皺寄せは来ていないがどこでくるかはわからない、来ないのが一番だけれども。
そんなことを考えていると、不意に永倉が口を開いた。
「そういえば、千鶴ちゃん。もし新選組が出陣することになったら、一緒に参加したいとか言ってたよな?」
「……え?」
永倉の言葉に、近藤の嬉しそうな声が響いた。
「おお、そうだな。こんな機会は二度とないかもしれん」
「ーーえっ⁉」
あっさりと賛成した近藤に、千鶴は驚きの声を上げた。
「やったな千鶴!一緒に活躍しようぜ‼」
「ーーか、活躍っ⁉」
動揺する千鶴に、土方は呆れた声で話しかける。
「今度も無事で済む保証はねえんだ。おまえは屯所で大人しくしてろ」
「君は新選組の足を引っ張るつもりですか?遊びで同行していいものではありませんよ」
山南の冷笑に千鶴は「うっ」と顔をひきつらせる。
「山南総長。それはーー、彼女が迷惑をかけなければ、同行を許可すると言う意味の発言ですか?」
「え?」
斎藤の思わぬ助け舟に、千鶴と山南は目を見開く。
「……まさか斎藤君まで、彼女を参加させたいと仰るんですか?」
尋ねる言葉に、斎藤は緩く首を左右に振った。
「彼女は池田屋事件において、我々新選組の助けとなりました。働きのみを評価するのであれば、一概に【足手まとい】とも言えないかと」
斎藤の言葉に、桜は微笑んだ。
「山南さん、僕からもお願いします。千鶴のことに関しては、僕が全責任を持ちます」
「……君が?」
「はい」
桜がジッと山南を見つめると、山南は困ったように眉尻を下げた。
「あなたにジッと見つめられると、どうにも弱りますね。……しっかりと、足を引っ張らないようにしてくださいよ」
「勿論です!」
山南の言葉に桜は微笑むと、千鶴を見る。
「後は千鶴の気持ち次第。今から行くのは戦場で、命が散って行く場でもある。覚悟は、ある?」
桜の言葉に、千鶴はぎゅっと手を握りしめた。
そして、新選組は大急ぎで支度を済ませ、伏見奉行所まで辿り着いた。
奉行所には、長州との戦いに備えて京都所司代の人々が集っていた。
先頭に立っていた近藤は、門のそばにいる役人に近づいた。
「会津中将松平容保様お預かり、新選組。京都守護職の要請により馳せ参じ申した!」
会津藩主と京都守護職の長である人物の名と新選組の名前を聞いても、役人は訝しがるように眉を寄せるだけだった。
「要請だと……?そのような通達は届いておらん」
「ーーえ?」
千鶴の驚く声が聞こえた。
「内輪の情報伝達もままならんとは」
「戦況が余程混迷しているんだろうね」
隣にいた一ちゃんに苦笑する。
不安そうな顔をする千鶴の頭をポンと撫でる。
「おされているのか、翻弄されているのか詳しいことは知らないけど…あまり良くない状況だね」
桜は溜息を吐いた。
「しかし、我らには正式な書状もある!上に取り次いで頂ければーー」
「取り次ごうとも回答は同じだ。さあ、帰れ!壬生浪如きに用は無いわ!」
役人の言葉に、千鶴が悔しそうにくちびるを噛んだ。
そんな千鶴を慰めている原田をちらりと見た後、近藤に近づく。
「近藤さん、ここにいても話になりません。会津藩と合流するべきです」
桜の言葉に、近藤は渋々頷いた。
武田は何か言いたげだったが、桜に強く言えないためグッと言葉を飲み込んでいた。
「うむ……。それしかないな。守護職が設営している陣を探そう」
「そうしましょう」
近藤の言葉に大人しくしていた沖田が頷いた。
その後、会津藩邸で指示を仰いで辿り着いたのは九条河原で、時間はもう夕刻だった。
更に待っていたのは。
「新選組?我々会津藩と共に待機?」
首を掲げる会津藩士の疑問だった。
「そんな連絡は受けておらんな。すまんが藩邸へ問い合わせてくれるか」
そんな扱いに、大人しくしていた永倉が暴れそうになる。
「平助、ちゃんと新八さん抑えておいてね」
「お、おう」
桜は藤堂にそう言うと、近藤の隣に立つ。
「こちら、会津藩邸から頂きました指示書です。会津藩士の方でしたら、上司の方の指示書だと、勿論わかりますよね?」
桜はにっこり笑いながら手にした指示書を見せる。
「僕達新選組は正式に藩邸の方から九条河原へ行くようにと指示を頂きました。そんな新選組を適当に扱うという事は……上司を蔑ろにしているのと同じですよ?」
黒い笑顔を浮かべる桜に藩士は言葉に詰まる。
近藤はその様子を見た後に大らかな笑顔と共に口を開いた。
「陣営の責任者と話がしたい。……上に取り次いで頂けますかな?」
近藤の言葉に、藩士は慌てて頷いた。
(ふう…指示書、無理やり書いてもらってよかったー)
原作の流れでも問題ないが、いけ好かない藩士どもを青ざめさせるには正式な指示書などがあれば更に効果覿面だ。
桜は責任者の元へ向かう近藤を、笑顔で見送った。
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