海賊
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「あーあ、これは酷い…」
眼下に広がるは人、ヒト、ひと。
人の山だ。
(オジサン、この中に突っ込んでいくの、果てしなく怖いんだけど)
いや、まあ、そうも言ってられないか。
(何の為に、ヒヨコちゃんを泣かしてまで、1人海に出たのか)
エースを助けるためだ。
事の発端は黒ひげことマーシャル・D・ティーチが、悪魔の実欲しさにサッチを刺して逃げた。
重傷を負い生死の境目を彷徨ったサッチだが、なんとか命はとりとめた。
しかし、自分の隊に所属していたティーチを許せなかったエースが彼を追いかけ、バナロ島で敗北し、海軍へと引き渡された。
そして、今…処刑が実行されようとしている。
(大切な家族は、見捨てれないよ)
それが、ゴール・D・ロジャーの息子、鬼の息子と呼ばれる人物でも。
(正直、俺にはそんなこと関係ないしな)
海賊王とか、鬼とか言われても知らねぇ。
俺が知ってるのは、目の前の等身大のエースだけだ。
「さーてと」
ヒヨコちゃんを泣かしてまで、周りの制止を振り払ってまで1人船を降りて探し求めたチカラ。
「お試し…あれってな‼」
オジサン、すっげえ怒ってるんだから、まじ許さねえから‼
エースをここまでボロボロにしやがって。
マルコの、オヤジさんの、白ひげ海賊団の、大切な家族を守るんだ。
深呼吸をすると、地を蹴り、立っていた壁の上から下を目指して急降下。
「う…おおおおぉお⁉」
怖い怖いちょー怖い、オジサン今スッゲー怖い。
悲鳴をあげながら落ちていく鴾にいち早く気付いたのは、青雉ことクザンだった。
「鴾⁉」
大将として構えていたクザンだったが、突然の鴾の登場に慌てて駆け寄る。
ヒエヒエの実のチカラを使い、上手くキャッチされた鴾を、クザンは馬鹿を見る目で見つめた。
「ちょっと、あんな上から落ちてきて、何してんのさ」
今、ここがどうゆう状況かわかってる?
そういったクザンに、鴾は力なく笑った。
「もちろん、そこまで馬鹿じゃない」
「なら、一体なにしに…」
「そんなの、決まっちょるだろ」
聞こえてきた第三者の声に、クザンは振り返る。
「あの小僧を、助けに来たのか」
「お久しぶりです、サカズキさん」
にへらっと笑った鴾に、サカズキは眉を顰めた。
「おんどりゃ…なに笑っとる」
「サカズキさんに、お久しぶりにお会いしたので」
そう伝えると、遥か向こうにいるエースに視線を向ける。
「エース!」
「鴾‼なにしに来たんだよ…」
きっと睨むエースに微笑む。
「家族を迎えに来たんだよ」
そのうち皆来るさ。
そう微笑む鴾にエースは涙を流した。
「ほ~?そのうち、皆来るのかい~?」
いつの間にか近づいてきていたボルサリーノは片眉を上げながら彼を見た。
「きっと、来る。俺は信じてる…ちょっと怖いけどな」
「怖い?」
「ああ…エースを助けるために飛び出そうとした俺を、オヤジさんも、他の皆も、マルコも…スッゲー止めたんだ。それを振り切って飛び出してきたんだ…」
後が怖いと震える鴾に、クザンはやれやれと溜息を吐いた。
「お前たち…いつまで呑気に話をしてるんだ」
呆れた様子のセンゴクの声に、皆ハッとした。
「そうだね…もう、鴾は白ひげ海賊団の1人だったな…」
戦闘モードに入るクザンに、背筋が震える。
(オジサン、生き延びれるかな…)
目の前の三大将、多くの海兵、七武海。
息を吐いた時、頭上から別の叫び声が聞こえた。
「グットタイミング…」
空から落ちてきたのは、インペルダウンから脱獄した囚人たちを引き連れた、麦わらのルフィ。
彼がこのタイミングで来てくれてよかった。
皆が気を取られているうちに、三大将から距離をとる。
着地した一行に声をかけると、見慣れた魚人に声をかけた。
「ジンベエ!」
「鴾さん‼」
「ちょっと、一掃するから、彼らをまだ船から降ろすな!」
鴾の言葉に戸惑いながらも頷いたのを確認し、再び深呼吸をした。
「この実の情報、追いかけていてよかったよ…」
ヒヨコちゃん…オジサン、頑張るからね!
グッと、手に力を入れると、まっすぐ上に持ち上げる。
それと同時に大きな地響きが鳴り響き、皆が何事だと周りを見渡した後、悲鳴をあげた。
「つ、津波だー‼‼」
「な、なんで急に⁉」
「俺の手に入れた能力、ミズミズの実の力」
「み、ミズミズの実だって⁉」
「鴾さん、いつの間に⁉」
驚くジンベエに苦笑した。
「マルコを泣かした後に」
そう呟いて、上げていた手を振り下ろすと、うねりながら津波がマリンフォードの地へと流れ込んだ。
なるべく建物は壊さないように、人は殺さないように、水を操り、人を捕らえ、遠くへ遠くへと運ぶ。
「うっはー‼お前、スッゲーな‼‼」
「それはどうも、さあ行こうか」
水で捕らえる事の出来なかった人物を見る。
三大将や七武海、能力者は排除できなかったか。
「麦わら君、なんとか…⁉」
切り抜けるよと言う言葉は、突然響いた轟音にかき消された。
あれは、と声をあげたジンベエの隣で、顔を真っ青にした。
海中から轟音を発しながら現れたのは、モビー・ディック号だった。
「グラララララ…派手にやったな、鴾」
「お、オヤジさん…」
「鴾………」
「マルコ…」
船から出てきた白ひげとマルコをジッと見つめる。
青筋を浮かべたマルコは鴾を見て、悪い笑みを浮かべた。
「話は後だよい。先ずは…バカ弟の救出が先だ」
その言葉に、船員は声をあげた。
それを皮切りに、白ひげ海賊団の船員だけでなく、傘下の海賊団も声をあげて、エース奪還へと走り出す。
「エースの救出だー‼‼」
ルフィもニッと笑って走り出す。
「ふぅ…オジサンも頑張るか」
駈け出すと、目の前に残る猛者へと向かっていく。
「やれやれ、鴾と戦うとはねぇ…」
「俺も、クザンと戦うとは思わなかったよ」
辺り一帯を冷やしながら立つクザンへ目を向ける。
「クザンには色々と感謝してるよ。でもね、負けらんないんだよね、俺…だから、ごめん‼」
「うおっ⁉」
不意打ち!と手を振ると背後からクザンに向け海水を被せた。
「あらら…力入んないや」
「すまないな」
クザンにそう言って再び駆け出す。
目の前に現れる相手を水を使い薙ぎ倒してエースの元へと向かう。
やたらと自分へ向かってくる相手が多いのは気のせいだろうか、いや気のせいじゃないな。
エースへ近付くに難航するため、ルフィの目の前の道を開くのを手伝う。
彼が徐々にエースへと近づいているのを確認していると、背後で悲鳴が上がった。
「マルコ‼⁉」
(マルコ?)
慌てて振り返ると、手に海楼石の手錠を嵌められたマルコがしゃがみこんでいた。
「不死鳥、やっと捕まえたよ~?」
そう言って光る指先を向けるボルサリーノに、慌てて駆け出す。
「 水の矢 ‼」
「おっと~…邪魔せんでくれんかねぇ」
「邪魔するに決まってるでしょ‼」
マルコを抱き上げると、能力を使って手錠を破壊する。
「ヒヨコちゃん、大丈夫か!」
「大丈夫だよい…助かった」
笑うマルコにホッと微笑むと、周りから痛い目が向けられていることに気がついた。
「な、なんだ…?」
「ヒヨコちゃんって、なんじゃい」
あのサカズキまでが、固まってこっちを見ていた。
「俺の嫁、マルコことヒヨコちゃんだ」
なんだよと周りを見ると、冷ややかな目を向けるものや、穏やかな目を向けるもの、爆笑する者。
「嫁…?」
「嫁だ」
ほらっと指輪を見せて微笑む。
恥ずかしがるマルコの隣で機嫌よく鴾が笑うが、今はそれどころではない。
「エース‼‼‼助けたぞー‼」
ルフィの声に皆ハッとした。
「よし、麦わら!戻ってこい!」
エースを引き連れルフィがこちらへ戻ってくる。
「ヒヨコちゃん、俺のこと、援護してくれる?」
「……わかりきったこと聞いてるんじゃねえよい」
そう言ったマルコの頭を撫でると、周りに告げる。
「アクア・ラグナ級の波に巻き込まれたくないなら、自力で逃げてくれよな‼」
意識を集中させると、広大な海の水を操り、マリンフォードを覆う。
仲間を守り、相手を排除し、エース達の退路を確保する。
「鴾!もう良いよい!皆撤退だ‼」
マルコの声に皆撤退を始める。
水を操るのを止めた時、フッと力が抜けた。
(くっそ…)
慣れていないのに、力を使いすぎた。
「鴾!」
慌てて駆け寄ってくるマルコに微笑むと、意識を飛ばした。
「ん…っ…」
ふっと目が覚めた。
痛む身体をほぐし、ベッドから起き上がる。
見慣れた部屋の風景に、ハッと慌てて立ち上がる。
(エースは⁉マルコは⁉)
甲板を目指して走り、外へと出ると、目の前に広がっているのは宴をする仲間達。
呆気にとられていると、こちらに気付いた船員が声をあげた。
「鴾!起きたのか!!」
その言葉に、皆がこちらを振り向いた。
「鴾!」
「ぐえっ…」
お腹に突撃してきた何かに、痛みに耐えながら視線を向ける。
「エース…!」
ニカッと笑う彼の頭を、わしゃわしゃと撫でる。
ああ、救出出来たんだ。
良かったと息を吐いて彼から離れると、白ひげの元へ向かい、頭を下げた。
「オヤジさん、勝手に飛び出してすまなかった。でも、エースを助ける為に、この力をいち早く、どうしても手に入れたかった」
無言でこちらを見てくる白ひげは相当怒っているんだろうなと考えていると、ポンと頭を撫でられた。
「鴾…良くやってくれた。オメェさんのおかげだ」
ニイっと笑う白ひげに、笑い返すと皆が更に盛り上がった。
その様子を見て笑った後、一番の目当てを探したが、甲板には見当たらなかった。
周りに集まる面々を上手く躱して船内の部屋へと戻る。
「………マルコ」
ベッドに座り、ムスッとこちらを睨むマルコに苦笑しながら近付いた。
「勝手に飛び出してすまなかった。お前の制止を聞かずに、1人で行動してすまなかった」
泣かせてごめん。
そっと抱きしめて、ひたすら謝ってくる鴾に、マルコは溜息を吐いた。
「…鴾。今度無茶する時は、おれも一緒にだ」
「マルコ…勿論だ。ありがとう」
ぎゅっと抱きしめて、唇に触れた。
「ヒヨコちゃん、離れてた間の分、触れていいか?」
「そんなこと…聞くなよい」
顔を赤く染めるマルコに微笑むと、そっとキスをした。
(ところでさ、そんな能力者に対して凶悪な力、どこで手に入れたんだよい)
(天竜人から)
(………はっ?)
(危険なことにヒヨコちゃんを巻き込みたくなかったから飛び出しちまったんだ。俺の可愛いマルコ。俺の可愛いヒヨコちゃん)
(………バカ野郎)
眼下に広がるは人、ヒト、ひと。
人の山だ。
(オジサン、この中に突っ込んでいくの、果てしなく怖いんだけど)
いや、まあ、そうも言ってられないか。
(何の為に、ヒヨコちゃんを泣かしてまで、1人海に出たのか)
エースを助けるためだ。
事の発端は黒ひげことマーシャル・D・ティーチが、悪魔の実欲しさにサッチを刺して逃げた。
重傷を負い生死の境目を彷徨ったサッチだが、なんとか命はとりとめた。
しかし、自分の隊に所属していたティーチを許せなかったエースが彼を追いかけ、バナロ島で敗北し、海軍へと引き渡された。
そして、今…処刑が実行されようとしている。
(大切な家族は、見捨てれないよ)
それが、ゴール・D・ロジャーの息子、鬼の息子と呼ばれる人物でも。
(正直、俺にはそんなこと関係ないしな)
海賊王とか、鬼とか言われても知らねぇ。
俺が知ってるのは、目の前の等身大のエースだけだ。
「さーてと」
ヒヨコちゃんを泣かしてまで、周りの制止を振り払ってまで1人船を降りて探し求めたチカラ。
「お試し…あれってな‼」
オジサン、すっげえ怒ってるんだから、まじ許さねえから‼
エースをここまでボロボロにしやがって。
マルコの、オヤジさんの、白ひげ海賊団の、大切な家族を守るんだ。
深呼吸をすると、地を蹴り、立っていた壁の上から下を目指して急降下。
「う…おおおおぉお⁉」
怖い怖いちょー怖い、オジサン今スッゲー怖い。
悲鳴をあげながら落ちていく鴾にいち早く気付いたのは、青雉ことクザンだった。
「鴾⁉」
大将として構えていたクザンだったが、突然の鴾の登場に慌てて駆け寄る。
ヒエヒエの実のチカラを使い、上手くキャッチされた鴾を、クザンは馬鹿を見る目で見つめた。
「ちょっと、あんな上から落ちてきて、何してんのさ」
今、ここがどうゆう状況かわかってる?
そういったクザンに、鴾は力なく笑った。
「もちろん、そこまで馬鹿じゃない」
「なら、一体なにしに…」
「そんなの、決まっちょるだろ」
聞こえてきた第三者の声に、クザンは振り返る。
「あの小僧を、助けに来たのか」
「お久しぶりです、サカズキさん」
にへらっと笑った鴾に、サカズキは眉を顰めた。
「おんどりゃ…なに笑っとる」
「サカズキさんに、お久しぶりにお会いしたので」
そう伝えると、遥か向こうにいるエースに視線を向ける。
「エース!」
「鴾‼なにしに来たんだよ…」
きっと睨むエースに微笑む。
「家族を迎えに来たんだよ」
そのうち皆来るさ。
そう微笑む鴾にエースは涙を流した。
「ほ~?そのうち、皆来るのかい~?」
いつの間にか近づいてきていたボルサリーノは片眉を上げながら彼を見た。
「きっと、来る。俺は信じてる…ちょっと怖いけどな」
「怖い?」
「ああ…エースを助けるために飛び出そうとした俺を、オヤジさんも、他の皆も、マルコも…スッゲー止めたんだ。それを振り切って飛び出してきたんだ…」
後が怖いと震える鴾に、クザンはやれやれと溜息を吐いた。
「お前たち…いつまで呑気に話をしてるんだ」
呆れた様子のセンゴクの声に、皆ハッとした。
「そうだね…もう、鴾は白ひげ海賊団の1人だったな…」
戦闘モードに入るクザンに、背筋が震える。
(オジサン、生き延びれるかな…)
目の前の三大将、多くの海兵、七武海。
息を吐いた時、頭上から別の叫び声が聞こえた。
「グットタイミング…」
空から落ちてきたのは、インペルダウンから脱獄した囚人たちを引き連れた、麦わらのルフィ。
彼がこのタイミングで来てくれてよかった。
皆が気を取られているうちに、三大将から距離をとる。
着地した一行に声をかけると、見慣れた魚人に声をかけた。
「ジンベエ!」
「鴾さん‼」
「ちょっと、一掃するから、彼らをまだ船から降ろすな!」
鴾の言葉に戸惑いながらも頷いたのを確認し、再び深呼吸をした。
「この実の情報、追いかけていてよかったよ…」
ヒヨコちゃん…オジサン、頑張るからね!
グッと、手に力を入れると、まっすぐ上に持ち上げる。
それと同時に大きな地響きが鳴り響き、皆が何事だと周りを見渡した後、悲鳴をあげた。
「つ、津波だー‼‼」
「な、なんで急に⁉」
「俺の手に入れた能力、ミズミズの実の力」
「み、ミズミズの実だって⁉」
「鴾さん、いつの間に⁉」
驚くジンベエに苦笑した。
「マルコを泣かした後に」
そう呟いて、上げていた手を振り下ろすと、うねりながら津波がマリンフォードの地へと流れ込んだ。
なるべく建物は壊さないように、人は殺さないように、水を操り、人を捕らえ、遠くへ遠くへと運ぶ。
「うっはー‼お前、スッゲーな‼‼」
「それはどうも、さあ行こうか」
水で捕らえる事の出来なかった人物を見る。
三大将や七武海、能力者は排除できなかったか。
「麦わら君、なんとか…⁉」
切り抜けるよと言う言葉は、突然響いた轟音にかき消された。
あれは、と声をあげたジンベエの隣で、顔を真っ青にした。
海中から轟音を発しながら現れたのは、モビー・ディック号だった。
「グラララララ…派手にやったな、鴾」
「お、オヤジさん…」
「鴾………」
「マルコ…」
船から出てきた白ひげとマルコをジッと見つめる。
青筋を浮かべたマルコは鴾を見て、悪い笑みを浮かべた。
「話は後だよい。先ずは…バカ弟の救出が先だ」
その言葉に、船員は声をあげた。
それを皮切りに、白ひげ海賊団の船員だけでなく、傘下の海賊団も声をあげて、エース奪還へと走り出す。
「エースの救出だー‼‼」
ルフィもニッと笑って走り出す。
「ふぅ…オジサンも頑張るか」
駈け出すと、目の前に残る猛者へと向かっていく。
「やれやれ、鴾と戦うとはねぇ…」
「俺も、クザンと戦うとは思わなかったよ」
辺り一帯を冷やしながら立つクザンへ目を向ける。
「クザンには色々と感謝してるよ。でもね、負けらんないんだよね、俺…だから、ごめん‼」
「うおっ⁉」
不意打ち!と手を振ると背後からクザンに向け海水を被せた。
「あらら…力入んないや」
「すまないな」
クザンにそう言って再び駆け出す。
目の前に現れる相手を水を使い薙ぎ倒してエースの元へと向かう。
やたらと自分へ向かってくる相手が多いのは気のせいだろうか、いや気のせいじゃないな。
エースへ近付くに難航するため、ルフィの目の前の道を開くのを手伝う。
彼が徐々にエースへと近づいているのを確認していると、背後で悲鳴が上がった。
「マルコ‼⁉」
(マルコ?)
慌てて振り返ると、手に海楼石の手錠を嵌められたマルコがしゃがみこんでいた。
「不死鳥、やっと捕まえたよ~?」
そう言って光る指先を向けるボルサリーノに、慌てて駆け出す。
「
「おっと~…邪魔せんでくれんかねぇ」
「邪魔するに決まってるでしょ‼」
マルコを抱き上げると、能力を使って手錠を破壊する。
「ヒヨコちゃん、大丈夫か!」
「大丈夫だよい…助かった」
笑うマルコにホッと微笑むと、周りから痛い目が向けられていることに気がついた。
「な、なんだ…?」
「ヒヨコちゃんって、なんじゃい」
あのサカズキまでが、固まってこっちを見ていた。
「俺の嫁、マルコことヒヨコちゃんだ」
なんだよと周りを見ると、冷ややかな目を向けるものや、穏やかな目を向けるもの、爆笑する者。
「嫁…?」
「嫁だ」
ほらっと指輪を見せて微笑む。
恥ずかしがるマルコの隣で機嫌よく鴾が笑うが、今はそれどころではない。
「エース‼‼‼助けたぞー‼」
ルフィの声に皆ハッとした。
「よし、麦わら!戻ってこい!」
エースを引き連れルフィがこちらへ戻ってくる。
「ヒヨコちゃん、俺のこと、援護してくれる?」
「……わかりきったこと聞いてるんじゃねえよい」
そう言ったマルコの頭を撫でると、周りに告げる。
「アクア・ラグナ級の波に巻き込まれたくないなら、自力で逃げてくれよな‼」
意識を集中させると、広大な海の水を操り、マリンフォードを覆う。
仲間を守り、相手を排除し、エース達の退路を確保する。
「鴾!もう良いよい!皆撤退だ‼」
マルコの声に皆撤退を始める。
水を操るのを止めた時、フッと力が抜けた。
(くっそ…)
慣れていないのに、力を使いすぎた。
「鴾!」
慌てて駆け寄ってくるマルコに微笑むと、意識を飛ばした。
「ん…っ…」
ふっと目が覚めた。
痛む身体をほぐし、ベッドから起き上がる。
見慣れた部屋の風景に、ハッと慌てて立ち上がる。
(エースは⁉マルコは⁉)
甲板を目指して走り、外へと出ると、目の前に広がっているのは宴をする仲間達。
呆気にとられていると、こちらに気付いた船員が声をあげた。
「鴾!起きたのか!!」
その言葉に、皆がこちらを振り向いた。
「鴾!」
「ぐえっ…」
お腹に突撃してきた何かに、痛みに耐えながら視線を向ける。
「エース…!」
ニカッと笑う彼の頭を、わしゃわしゃと撫でる。
ああ、救出出来たんだ。
良かったと息を吐いて彼から離れると、白ひげの元へ向かい、頭を下げた。
「オヤジさん、勝手に飛び出してすまなかった。でも、エースを助ける為に、この力をいち早く、どうしても手に入れたかった」
無言でこちらを見てくる白ひげは相当怒っているんだろうなと考えていると、ポンと頭を撫でられた。
「鴾…良くやってくれた。オメェさんのおかげだ」
ニイっと笑う白ひげに、笑い返すと皆が更に盛り上がった。
その様子を見て笑った後、一番の目当てを探したが、甲板には見当たらなかった。
周りに集まる面々を上手く躱して船内の部屋へと戻る。
「………マルコ」
ベッドに座り、ムスッとこちらを睨むマルコに苦笑しながら近付いた。
「勝手に飛び出してすまなかった。お前の制止を聞かずに、1人で行動してすまなかった」
泣かせてごめん。
そっと抱きしめて、ひたすら謝ってくる鴾に、マルコは溜息を吐いた。
「…鴾。今度無茶する時は、おれも一緒にだ」
「マルコ…勿論だ。ありがとう」
ぎゅっと抱きしめて、唇に触れた。
「ヒヨコちゃん、離れてた間の分、触れていいか?」
「そんなこと…聞くなよい」
顔を赤く染めるマルコに微笑むと、そっとキスをした。
(ところでさ、そんな能力者に対して凶悪な力、どこで手に入れたんだよい)
(天竜人から)
(………はっ?)
(危険なことにヒヨコちゃんを巻き込みたくなかったから飛び出しちまったんだ。俺の可愛いマルコ。俺の可愛いヒヨコちゃん)
(………バカ野郎)
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