排球
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「ねーねー、君がコート上の鷹君?」
「え?」
肩を叩かれたので振り返るとニコニコと笑う人がいた。
「あ、もしかして…宮城県の北川第一の及川さん?」
「なになに?俺の事知ってるの?」
いや~有名で困っちゃうな~と笑う及川さんを俺はなんなんだろうと見つめていた。
(偵察かな?こんな隣県の中学を)
正直言ってまだまだ発展途上のチームだ、なんか俺に訳の解らない異名的なのが付いてるが正直言ってそこまでの力も無いしまだまだ練習も足りてない。
なら何で来たんだろうかと考えていると、さっきまでヘラヘラしていた及川さんが急にキメ顔になった。
「そんなに見つめて…俺に惚れた?」
「彼女いるのでごめんなさい」
「即答!!?」
うわーん岩ちゃーん!フラれたー!と騒ぎ出す及川さんをどう扱えばいいのか解らなくてあたふたしていると、どこからかボールが飛んできて及川さんの頭に当たった(因みに彼女はいない嘘ついてみた)
「いだっ!!」
「他校に来てまで騒いでんじゃねえよ!バカ及川!!」
「岩ちゃん酷い!」
騒ぎだした2人にどうしたものかと眺めていると、岩ちゃんと呼ばれた青年と目があった。
「あ~悪いな、騒いで」
あ、この人いい人だ。
「いえ、大丈夫です。はじめまして、君鴾です、北川第一の岩泉さんですよね?同じスパイカーとして尊敬してます」
「お、おう。なんか、恥ずいな」
ニコニコと笑って挨拶をしていると、ニュッと目の前に及川さんの顔が現れたビビるからやめてください。
「なんで岩ちゃんにはそんなに愛想良いの?」
「愛想良いというか元々こんな感じです」
そう言って一歩離れる。
「そう言えばお二人は何故ここに?偵察か何かですか?こんな無名校に」
「無名校って…そう思ってるの多分君だけだぞ」
「え?」
岩泉さんの言葉に頭にハテナを浮かべる。
「ここの学校と練習試合した他の学校がさ、1年なのにスッゴいスパイカーがいるって噂しててね!」
スッゴいスパイカー?と頭を捻るとピシッと指を差された。
「君だよ君」
「……え?」
ニコリと笑う及川さんに頭を傾ける。
「今はレギュラーじゃないけど、直ぐにでもレギュラーを勝ち取る位の強さと野心があるってね」
「そうそう、かなり絶賛してる奴が多いぞ」
あのウシワカも褒めてる、と言われて顔が熱くなった。
牛島若利、レベルの高いスパイカーでよく雑誌にも乗るかなりの実力者。
しかし、何故牛島さんが自分を知っているのだろうか会ったことも試合をしたこともないのにと首を傾けた。
「何で知ってるのかなって思ってる?」
「え、あ、はい」
「ヒント、俺達」
ニッと笑う岩泉さんにああっと納得した、恐らく彼の学校もここを見に来た事があるのだろうワザワザすいませんと言いたい。
「なんか、嬉しそうだね」
「え、まあ…あんだけ凄いスパイカーに褒められたらそりゃ嬉しいですよ」
いや本当に嬉しいんです思わずにやついてしまうくらいに。
「ふ~ん…面白くないね」
「え?あいたっ!!」
ぺちっとデコを叩かれ何だと及川さんを見る。
「及川さんも充分凄いのに」
拗ねた様に唇を尖らす及川に鴾はきょとんとした。
「はい、及川さんも凄いですよ?俺はあんなに周りを見れてないのでスッゴい尊敬してますよ」
「え?」
驚く及川さんに思わず笑った。
「あそこまで自分の仲間を知り、信頼し信頼してもらいチームとして、個人としての能力を引き出せる人なんてそうそういないと思います。もちろん技術もですけど」
チラリと視線を落とすと、及川さんの手に触れた。
「俺は同じスパイカーとして牛島さんを尊敬してますが、セッターで尊敬してるのは及川さんです。いつか一緒にプレーさせてもらえたらなと思うくらいには」
「随分褒めるな」
「俺なんとなくなんですけど、分かるんです。それでも勘違いなら恥ずかしいですけど、牛島さんが元からの天才なら及川さんは努力の天才。カッコいいですよね、努力してここまでの実力つけるのって相当しんどいのに及川さんはやってみせて未だ向上心を忘れてない。褒めてるつもりは無くても尊敬してたらそう言った言葉が出てしまうんです」
生意気にモノ言ってすいませんと謝り手を離した。
「もちろん、岩泉さんも尊敬してますけど」
「嬉しい限りだな」
笑いながら頭を撫でてくれる岩泉さんにふにゃっと笑った。
「さて、そろそろ帰るぞ及川」
「うん…帰るけどさ、岩ちゃん」
「あ?」
「連れて帰っていい?」
「え!?」
真剣な面持ちの及川さんに抱き締められ急な出来事にびくついた。
「何言ってやがるテメェ!!」
「だって、クソ生意気なガキだと思ってたら随分可愛い事言ってくれてもう及川さん気に入っちゃったんだけど!!」
「だからって連れて帰るって発想おかしいだろ!!」
ギャーッギャーッと騒ぎだした2人をはらはらと見ていると、その様子に気付いたのか2人は落ち着きを取り戻した。
「…とりあえず、もう遅いから帰るぞ」
「うん…あ、そうだ鴾ちゃん、及川さんの連絡先教えとくね何かあったら直ぐに言うんだよ?及川さんのとこに来てもいいからね?それから毎日ラヴコールくれてもいいからね?」
「キモ川帰んぞ」
「略さないで!」
また騒ぎだした及川さんだったが岩泉さんに殴られて口を閉ざした。
「邪魔して悪かったな」
「いえ、お気をつけて!」
ニコリと笑って見送ると、ふう…と息を吐いた。
(スッゴい緊張したー)
凄腕のセッターと凄腕のスパイカーがワザワザ自分の事を見に来るなんて誰も思わないでしょ普通。
噂になってることにも勿論驚いたが。
よしっ、噂通りの強者になれるように練習しないとな!と気合いを入れると体育館に戻った。
(これが及川さんと岩泉さんとの出会いです。因みに異名は苛めで付けられてると思ってました)
(色々と相変わらずだったんだな)
(てか、苛めって)