お嫁さんになりたい
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エースとヒスイが付き合い始めた。
その話は一気に船に乗る皆に回った。
すれ違う人には「おめでとう!」「泣かすんじゃねえぞエース!」「ヒスイちゃん、エースに飽きたらおれの所に来なよ!」なんて声をかけられ、それに笑ったり、エースがうるせぇなんて答えたり。
ジェシーからは「あのエース隊長を瞬殺で射止めるなんて…凄いわね」なんて言われた。
“あの”の意味がよく分からなかったので、ジェシーと入れ違いでやってきたサッチに聞いたら、「どれだけ良い女に言い寄られても特定の女は作らなかった」のが今までのエースだったらしく、そんなエースを射止めた事はかなり凄いぞとサッチに頭を撫でられた。
お付き合いを始めただけだというのに何故か宴が行われ、船の上ではあちこちで船員達が楽しそうに酒盛りをしていた。
「なんか…恥ずかしいな」
「グララ…アイツらは何かに理由を付けて酒盛りがしたいだけだ、気にするな」
そう言われてポンっと頭を撫でる白ひげを、ヒスイは見上げて微笑んだ。
「宴は楽しいもんね」
「そうだな。酒も飲める「船長は少し控えてください」
酒を煽る白ひげの腕をペシっと叩いたのは、ナース長のナディアだった。
「ぐぅ…」と渋い顔をする白ひげからお酒を奪い取ると、隣にいるジェシーに渡していた。
「おいナディア、少しくらいはいいだろうが」
「船長の場合は少しで済まないからダメです」
キッパリと言い返すナディアに、ジェシーと顔を見合わせてクスクス笑っていると、いろんな人に揉みくちゃにされていたエースが、ふらふらとしながらやってきた。
「あ、エース君!」
「よお、ヒスイ」
嬉しそうに笑ったヒスイにエースは笑い返すと、その横にゴロンと寝転がった。
「ったく……どいつもこいつも飲ませやがって」
「皆、オメェら2人を祝福してんだ。飲んでやれ」
「祝福って、まだ…その、付き合っただけだぜ?」
起き上がりなら白ひげにそう言ったエースは、ポリポリと頬をかいた。
「あァ?さっさと結婚しろ」
「はぁ!?」
「おれは早く孫が見てェ」
ニヤリとしながらそう言った白ひげに、ヒスイはこれでもかと顔を赤くし、エースもまた体から炎を大量に出していた。
「オヤジ!!」
「グララララ…」
笑う白ひげに突っかかるエースにその横で顔を赤くするヒスイ。
その様子を周りの面々は微笑ましく眺めていた。
そんな状況を面白く思わないのはエースを想う例のナース…マリィで、仲間と共にその様子を睨みつけていた。
「あの女…」
「ちょっと、マリィ。顔が大変なことになってるわよ」
「だって……!!」
マリィは持っていたカップを勢いよく置いた。
その音に何人か振り返ったが、マリィの表情を見るとそっと目を逸らした。
「少し落ち着きなさいってば。変に騒ぎ立てれば船から降ろされるわよ」
そう言われ、マリィはグッと唇を噛んだ。
「マリィ、大丈夫。あなたはあんな子より魅力的じゃない。少し…待てば良いのよ」
「待つ?」
「そう。例えば…あの女が街で消えたりしたら…その時はあなたが慰めたらいいじゃない」
その言葉に、マリィは仲間の顔をバッと見た。
笑う仲間にマリィも口角を上げると、改めて乾杯をして酒を煽った。
「で?とりあえず部屋は一緒にすんのか?」
「えっ!?」
「そ、それは…急すぎだろ」
いつの間にかやってきていたサッチにそう言われ、2人は再び顔を赤くする。
ニヤニヤとその様子を見ているサッチに気付いていないヒスイはもじもじと自分の髪を触った後、自分の熱くなった頬に手を当てて顔を逸らした。
「い、いつかはそうしたいなって思ってるけど…今はまだ恥ずかしい…」
そう言ったヒスイが可愛くて、周りにいた男達はだらしなく鼻の下を伸ばしていた。
その様子を見ていたエースは、男達からヒスイを隠すように「そんな顔で見るんじゃねえ!」とぎゅっと抱きしめた。
「はぅ…」
急に抱きしめられたヒスイはダイレクトに感じるエースの体温と目の前の肌色に、更に顔を赤くする。
「おいおいエース、お熱いのはいいけどよ」
「あ?」
「ヒスイが目を回してるぜ」
そう言われて腕の中にいるヒスイを見ると、キャパオーバーで目を回している様子だった。
「ヒスイ!!」
「ったく……部屋で休ませてこいよい」
呆れた様子のマルコにそう言われてエースはヒスイを抱き上げると、慌てて船内へと戻っていった。
とりあえず自分の部屋へと連れてくると、ベッドへと寝かせる。
傍に腰掛け「うーん…」と唸るヒスイの頭を撫でていると、ゆっくりと目が開いた。
「ヒスイ、気付いたか?」
「……エース君?」
「お前…目を回してたんだけど、大丈夫か?」
そう言われ、ヒスイは先ほどのことを思い出して頬を赤くしながら「ごめんね」と言った。
「その…色々恥ずかしくなって、キャパオーバーしちゃったみたい」
「…そうか」
へらっと笑ったヒスイにエースも笑うと、頬を撫でた。
「水でも飲むか?」
「ううん、大丈夫。ありがとうエース君。それよりここは…?」
ヒスイは起き上がると、部屋の中を見回した。
色々なものが溢れ、少し散らかったいかにも男の部屋。
「おれの部屋だ」
「え、エース君の…」
ここが…とヒスイは周りを見渡した後、ハッとしてベッドから慌てて降りて立ち上がった。
「どうした?」
「あ、その…」
「また恥ずかしくなったのか?」
そう問いかけると「うっ…」と頷いた。
「お前、あれだけおれに好きだとか嫁にしてくれって言ってたのに、今更恥ずかしがるのかよ」
「そ、それはそれ!これはこれ」
慌てるヒスイに笑うと、エースはグイッとヒスイの腕を引っ張った。
「わぁ!?」
驚くヒスイを自分の膝上に収めると、顎に手を添える。
「この先、色々慣れてもらわないと困るけど?」
「ぜっ…善処します」
その返事にククッと笑うと、わしわしっとヒスイの頭を撫でた。
「わわっ、髪の毛が!」と慌てるヒスイはエースの手を掴むと、むうっと睨みつけた。
「そんな顔しても可愛いだけだぞ」
「えっ?」
可愛いの言葉に再び顔を赤くしたヒスイに笑うと、頬にキスをした。
ビクッと体を震わせたが、嫌がる素振りはなかったので再び顔を近づけるとぎゅっと目が閉じられた。
その様子にフッと笑うと、今度は唇へとキスをする。
ちゅっとリップ音を鳴らしてすぐに唇を離したが、ヒスイが弱々しく手を掴みながらこちらを見るので、堪らなくなりもう一度キスをする。
何度が啄むようなキスをしていると、いつものようにぺちぺちと腕を叩かれたので渋々唇を離した。
「また苦しくなったか?」
「う、うん…」
「どうしたらいいのかな?」と聞いてくるヒスイに笑うと、鼻を突く。
「鼻で息すんだよ」
「鼻で?」
「おう。これから練習しないとな」
ニカっと笑ったエースにヒスイはキュッと胸元で手を握り締めた。
その手を優しく包み込んで開きながらヒスイの目を見つめ、コツンと額を合わせる。
「もう一回、いいか?」
「…うん」
頷いたヒスイにエースは笑うと、そっと唇を落とした。
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