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お嫁さんになりたい

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「へー!そうなんだ…それは大変だったね」

「え?そんな事ないよ?すっごく楽しい!」

「うん、うん…そっかぁ。それならそうだね」

ある日、無人島を発見した白ひげ海賊団は数隻の小船を出して数隊が上陸し、島の確認をしていた。

今回は空からも確認出来るマルコ率いる1番隊、絶対自分が行くと言って譲らなかったエース率いる2番隊、海の中から確認が出来るナミュール率いる8番隊が上陸していた。

1番隊と8番隊の隊員は「それが出来るのは隊長だけじゃないですか!」とツッコミを入れていたが、海なら任せろということでヒスイが白ひげの許可を得て着いて行くことになったらコロッと態度を変えていた。

今は一通りの探索が終わり特に収穫もなく、浜辺へと戻ってきた皆が項垂れながら休憩をしているのだが、少し離れた岩場でヒスイが何やら1人で話していた。

(何してんだ?アイツ)

それに気付いたエースが海に落ちないように岩場に向かうと、エースに気付いたヒスイが振り返って笑った。

「あ、エース君!」

「そこで何してんだ?」

そう問いかけると、ヒスイは少し体をズラす。

「この子と話してたの」

そう言ってヒスイが撫でたのは、海から顔を出すイルカだった。

「海の生き物とは基本的には話せるからね」

そう言ってヒスイはイルカへと視線を戻す。

「この子、海賊に襲われて大変だったみたい。陸は怖くないか〜って聞かれて、そんな事ないよって話をしてたの」

「そうか…お前も大変だったな」

エースの言葉がわかったのか、イルカは「本当だよ」とでも言いたそうに溜息を吐いた。

それを見て笑っていると、ヒスイが「そうだ!」とイルカを見た。

「海賊に襲われたってことは……この島、何かあるの?」

そう問いかけると、イルカはキュイキュイと何度か鳴いた。

それをヒスイは真剣な表情で聞いた後、ぱあっと顔を輝かせた。

「そうなんだ!教えてくれてありがとうー!」

ヒスイはイルカにチュッとキスをすると、足を海へと入れる。

「エース君、ナミュールさん呼んできてほしいな」

「ナミュールを?」

「うん!海の中にお宝、あるって」

ヒスイの言葉にエースは目を輝かせ、慌ててナミュールの元へと走った。

「ナミュール、ちょっと来てくれ!!」

「どうしたエース」

「海の中に宝があるらしい!!」

その言葉にナミュールは慌てて駆け寄ってくる。

他の船員達も着いてこようとしたが「お前らは長時間海に潜れねえだろうよい」というマルコの一声でシュンっと項垂れその場に再び座った。

エースがナミュールを連れてヒスイの元へと戻ると、岩場にはヒスイが着ていた服が畳まれて置かれており、ヒスイ自身は海の中へといた。

「あ、ナミュールさん!結構深い海底の洞窟内にあるみたいなの」

「おう、それはわかった。だが、ヒスイも行くのか?」

ナミュールがそう問いかけると、ヒスイは元気よく頷いた。

「いや、危ねェだろ!」

「ふふっ、大丈夫だよエース君」

ヒスイは笑うと、ナミュールの手を取る。

ヒスイ、どうしても行くのか?」

「うん」

その返事を聞いてナミュールは頭が痛くなったが、海へと入った後にヒスイの肩を掴む。

「いいか?絶対に無茶はするなよ?」

「うん!約束する」

ヒスイはニコニコと笑うと、何かを思い出したかのようにエースを見た。

「エース君、お願いがあるの」

「お願い?」

「うん。その……私が戻ってくるまで、服を預かってて欲しいな」

「服だな。わかった」

エースが頷いたのを確認すると、「じゃあ、浜辺で後でね」と言い、ヒスイとナミュールはイルカと共に海へと潜った。

見送ったエースはマルコへの報告も兼ねて戻る為に、ヒスイの服を持ち上げた時、ハラリと何かが落ちた。

「なっ……!」

拾い上げたそれはヒスイの下着で、エースは顔を真っ赤にした。

(そうか、アイツ足が引っ付いて尾になるから……)

エースは脳内に浮かんだ事を振り払うように首を振ると、ヒスイのワンピースで下着を隠すようにくるっと包み、急ぎ浜辺へと戻った。






浜辺へと戻りマルコへと報告すると「ヒスイのやつ…」と頭を抱えていたが、今に始まった事ではないのか「まあいいよい」とすぐに切り替えて周りを見た。

「2人が戻り次第、モビーに戻る。すぐに出れるように準備しておけ!」

その指示に船員達は声を上げると、テキパキと用意を始める。

自分も手伝おうと思いヒスイの服をどこに置こうかと辺りを見回していると、ポンっとマルコが頭に手を置いた。

「お前はヒスイの服を持って待機してろ」

「え?でも…」

「いいか?女に飢えた奴にヒスイの服を渡すんじゃねえぞ?」

その言葉とマルコから放たれる威圧感にエースは首を傾げる。

「女に飢えたって…たかが服だろ?」

「…お前はそういう奴だったな」

マルコは首に手を当て、溜息を吐いた。

「いいかエース、こんな事は言いたくないが…直前まで女が着ていた服。しかもヒスイは見た目も悪くない。いいオカズになるって事だ」

「なっ…!」

マルコの言葉に、エースは頬を赤くする。

「ついでに言うなら、アイツは人魚になる時は上は水着をつけてるからいいが、下は尾にする為に全部脱ぐ。海から上がってきた後はすぐに服を着せる必要がある。そんな時、服がどこにあるか分からなかったら困るだろい?」

だからお前がしっかり管理しろと言われ、エースは何度も頷いた。

マルコはよしっと笑うと、その場を離れた。

エースは腕の中のヒスイの服をギュッと握りしめると、先程のマルコの言葉を思い出す。

(……確かに、そうだよな)

自分たちの船は基本的に男しかおらず、同じ船に乗るナース達とそういった関係になる者もいるがそれなりにリスクがある為、手を出さない者が多い。

そんな中、船員ではないヒスイが現れた。

勿論、大半のやつの意識はそっちに向いてしまうだろう。

いきなり嫁にしてくれと押し掛けてきたとはいえ悪い奴ではないのは分かっている、だから守ってやりたい。

エースが今後も気をつけて見てやろうと決めた時、波打ち際に人が集まり騒がしくなっていることに気付いた。

「おおォ!こりゃ大量じゃねえか!」

「野郎ども、船に乗せろー!」

エースも近付いてヒョコッと集団の後ろから覗き込むと、ナミュールが大きな宝箱を持って帰ってきたようだ。

中にはそれなりに宝が入っているそうで、皆の目が輝いていた。

「ナミュールさーん!次のやつ来ましたよー!」

少し離れたところでヒスイが手を振りながら大声でナミュールを呼ぶ。

「次のやつって?」

「ああ、宝箱だが何個かあったんだ。今はヒスイが海の奴らの力を借りて運んできてくれてる」

その言葉を聞いて、船員達はますますテンションが上がる。

「おれが浜辺の近くまで運ぶから、お前らは船に乗せてモビーに運んでくれ」

ナミュールはそう言うと、ヒスイの元へと向かう。

「おれは一旦モビーに戻って引き上げれるように準備をしておけと伝えてくる。お前ら、しっかり運べよ。オヤジも喜ぶよい」

マルコはそう言ってニヤリと笑うと、不死鳥の能力を使いモビーへと向かった。

エースは次々と運ばれてくる宝箱を見て、自分も今すぐ輪に入りたかったが、ヒスイの事を思い出して何とか思いとどまった。

ソワソワしながら目の前の光景を見ていると、マルコが戻ってきた。

「モビーにいる奴らには伝えてきた。出れる船からモビーに戻ってくれ」

その指示を聞いて、小船が順番に出発する。

「それと、エース」

「ん?」

マルコが近付いてきて、手に持っていた袋を渡される。

「ジェシーから預かってきた。吸水性バツグンのタオルだとよ。ヒスイに渡してくれ」

「おう!」

「おれ達は先にモビーに戻るから、戻ったヒスイをストライカーで連れて帰ってきてくれないかい?」

「わかった、任せろ」

エースが頷くと、マルコは「頼んだよい」と微笑み、飛び上がって海から顔を出すヒスイの元へと向かった。

何かをマルコから聞いた後、ヒスイが頷く様子を見ていると、エースに気付いたヒスイが手を振った。

エースはそれに手を上げて返事をした後、岩場の方を指さした。

それにヒスイが頷くと、エースは岩場へと向かった。

「エース君!宝物いっぱいでよかったね!」

先に岩場に着いて座っていたヒスイは、エースが来た事に気付くとそう言って笑った。

「おう、オヤジも皆も大喜びだろうな。ヒスイ、ありがとうな!」

エースがニカっと笑うと、ヒスイは「はぅ…」と胸を押さえた。

その様子を見て笑うと、手にしていた服と袋をヒスイに渡す。

「預かってた服と、ジェシーからタオルだってよ」

「ありがとう、エース君。それにどうやって体を乾かそうか悩んでたから、良かった。ジェシーにお礼を言わなくちゃ」

そう言ったヒスイの頭をポンっと撫でた後クルリと背を向ける。

「おれは少し離れたところにいるから、着替えたら来てくれ」

「うん!」

エースはそう言ってその場を離れると、浜辺を見る。

宝は運び終わったようで、小船がモビーへと戻っているところだった。

はじめは何もないと思っていたが、大収穫で皆も喜んでいた。

今日は宴できっとご馳走だなと考えていると、背中にトンっと軽い衝撃が走った。

「エース君、お待たせ」

「おう。じゃあ戻るか」

着替え終わったヒスイが背中にトンっと手を置いた衝撃だったようで、その可愛らしい衝撃に笑うとストライカーの元へと向かう。

「エース君、それは?」

「ストライカーだ。おれのメラメラの実の力を動力として動かしてんだ」

「わぁ!凄いね」

キラキラと目を輝かすヒスイに笑うと、エースはストライカーに乗る。

「ほら」

エースが手を差し出すと、ヒスイは嬉しそうに微笑んでエースの手を取った。

「エース君、これってどの辺に乗ればいいかな?」

「………」

ストライカーに乗ったのはいいが、掴まるところがどこにもなく、どうすればいいのかとヒスイは困ったようにエースを見た。

(やべェ、考えてなかった)

エースは冷や汗を流す。

自分が立つ動力部分や帆の部分は、メラメラの力を使うから危険なので立たせるわけにはいかない。

「うーん」と考えた後、エースはヒスイをグイッと引き寄せて、横抱きに持ち上げた。

いわゆる、お姫様抱っこだ。

「きゃっ…!」

「しっかり掴まってろよ!!」

「え、エース君!流石に重たいんじゃ…」

「何言ってんだ。ビックリするぐらい軽いぜお前」

エースはそう言ってニカっと笑うと、ストライカーを発進させた。

はじめはエースの腕の中で顔を赤くしていたヒスイだったが、海の上を走るなんて事は初めてだったから、段々と楽しくなって来ていた。

「凄い、早いねエース君!楽しい!」

「だろ?たまんねえよなァー!」

はしゃぐヒスイを見てエースは笑うと、更にスピードを上げた。






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