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「おい霞槻」
「はい?」
「相手しな」
書類を処理していると、剣八に声をかけられる。
「相手…?試合ですか?風呂ですか?酌ですか?姓しょ「普通試合だろうがバカ野郎!!!」最後まで言わせろよハゲ」
隣から怒鳴ってきた一角を睨む。
「おまっ…!俺はハゲじゃ「全部してくれんのか?」
一角の言葉を遮り、剣八はニィっと笑った。
「して欲しいんスか?」
ジーッと見つめると、剣八は鼻で笑った。
「お前がしたいんだろ?」
「一番はじめだけスけどね」
(嘘。全部したい)
気持ちを伝えずに書類を整えて暇そうな隊員に渡す。
「それ、四番隊によろしく。く・れ・ぐ・れ・も!!!失礼のねーようにな」
「は、ハイィィィィ!!!!!」
慌てて出ていく隊員を見送り、剣八を見た。
「仕事も一区切りついたんで、お相手します」
「そうこなくちゃな」
「隊長!!俺もいいですか!!」
「それなら僕も」
一角と弓親が立ち上がる。
それにつられてあちこちからも声が上がる。
「お前ら」
霞槻はフワリと笑う。
「「「「////」」」」
髪が伸びてからの霞槻のこの笑みは前よりも殺傷力と女子力が増してるようで、女性隊士のいないこの隊では随分と華やかに見える。
そんな霞槻に隊員達は思わず顔を赤くする。
「キモイ顔を赤く染めんな。それと…書類の処理もきちんとこなせてねーくせに鍛練所に着いてくんな。俺が戻って来たからには書類系の仕事をサボらせねーからな。わかったかこのアホ共が」
「「「「ハイィィィ!!!!!!」」」」
悲鳴混じりの返事をすると、隊員達は席に着く。
「さて、行きますか?隊長」
「あ、あぁ…」
「一角達も、行くぞ」
「お、おう」
「そうだね…」
霞槻は冷や汗を流す三人に声をかけると、膝の上で大人しく金平糖を食べるやちるを抱き抱えた。
「はい、弓親」
「ありがとう」
霞槻は弓親に木刀を渡す。
「あ?真剣はどうした」
「怪我したら痛いじゃないっすか」
口を尖らせてそう答える。
「じゃ、どっからでもどうぞ?」
「余裕だね」
「いやいや…久々に体動かすから、結構緊張してるぜ?」
「そう…まぁ、いいや」
弓親はニコリと笑い地を蹴った。
先ずは一撃、正面からの打ち込みを受け止める。
下…左…後ろ。
次々と打ち込まれる木刀を全て受け止める。
「攻めてこないのかい?」
「もう攻めていいのか?」
防戦一方だった霞槻が笑う。
その笑みに弓親は肩を震わせた。
(相変わらずだね…)
絶対の自信を持った笑み。
弓親は瞬歩で背後に回ったがそれを読んでいた霞槻に木刀を掴まれる。
「!?」
「あめーよ」
「ぐっ!!!」
腹部に拳を入れられ、くの字に曲がった所に頭を掴まれ地に叩き付けられる。
「がはっ…!!」
そのまま両手を地に着けて側転しながら木刀を振り落とそうとしていた一角を蹴りあげる。
「ちっ…気づいてやがったか」
「当たり前」
面白そうに笑う一角に、弓親の木刀を投げる。
「あ?」
「鞘変わりだよ。斑目三席」
笑う霞槻に一角も口端を上げた。
「後悔すんなよ!!!」
「するか!!ハゲ!!!」
「ハゲじゃねぇ!!!!!!」
右から振り落とされた木刀を受け止め、左から振り上げられる木刀を半身で避ける。
彼特有の攻撃を避ける。
右、左…に見せかけて下。
上、右下、正面。
「おるぁ!!!」
正面からの突きは入った。
一角は笑ったが、次の瞬間笑みは消えた。
「残念」
脇の下に木刀を挟んだ霞槻が笑った。
「おわりっ!!!」
「がっ…!!」
腹部を蹴られて一角は吹き飛ぶ。
「次は俺だ」
「!!?」
飛び上がって後ろからの攻撃を避けたが、後を追いかけるように剣八は突っ込んできた。
「ちょ!!」
霞槻の声は屋根の壊れた音でかき消された。
「あーあ、やっちまった…」
「直しゃーすむだろ」
「誰が直すと思ってんすか!」
「一角にやらせればいいだろ」
「………それもそーっすね」
会話こそ呑気に交わしてるが、二人の交わす刀はあまりの速さに目に見えない。
「相変わらず余裕だな」
「結構いっぱいいっぱいですよ…っと!!!」
剣八の刀を振り払い、距離をとる。
「逃げんなよ」
「逃げて…ませんよ!!!」
すぐに距離を詰められて木刀同士がぶつかる。
チリン―
剣八の付けている鈴がなったかと思うと、背中に衝撃が走った。
「ちっ…」
衝撃を受け流す様に前に体重移動させると振り返った。
「相変わらず…強いっすね」
「はっ!!!余裕そうに笑ってるくせに何言ってやがる」
「余裕じゃなくて…」
楽しいんですよ。
霞槻が笑ったと思ったら、次の瞬間、目の前にいた。
「!?」
「おっと…今日は終わりましょう」
剣八は自身の首に突き付けられた木刀と破壊された自分の木刀に視線を向けて笑った。
「おいおい、やっと楽しくなってきたとこだろ?」
「同意見ッスけど…ほら、屋根も直さないと駄目ッスからね」
不満そうな剣八の手を引く。
「ほら、戻りましょ…て、ちょっと!!!」
首のチョーカーに伸ばされていた手を払いのける。
「これは触んな」
「あ?なんだ「マジ、触んないでください…」
視線を俯かせる霞槻に舌打ちをした。
「わかったよ。おら、戻んぞ」
地に降りる剣八の後ろに続く。
(これ外したら…もしもの場合があったら)
貴方の下にいれない。
それだけは絶対に嫌だ。
(喜助に新しいの作ってもらおうかな~ピアス増やすか、カフスにするか)
色々と考えながら霞槻は前を向いた。
「くっそ…なんで俺が…」
剣八の命令で屋根の修理をしていた一角は舌打ちをした。
「すっかり夜じゃねぇか」
よいしょ、と立ち上がると首の骨を鳴らした。
屋根から飛び降り、執務室に向かうとまだ電気が点いていた。
(誰かいんのか?)
扉を開いて中に入ると、書類と向き合う霞槻がいた。
「……何してんだ」
「あ、終わったんだ。おかえり」
「ただいま…じゃなくて」
はぁ…と溜め息を吐きながら霞槻に近づくと、あることに気付いた。
彼がしていたのは一角がするべき仕事だったのだ。
「お前、それ…」
「とばっちり喰らわせちまったから、礼だよ」
明日1日はしなくてもすむぞー
そう言った霞槻に神々しい光が射していた(幻覚)
「お疲れ」
「…おう」
笑う霞槻から思わず視線を反らす。
「何照れてんだよ」
「テメェ!!離せ!!」
首に腕を回され、胸元に引寄せられる。
うりうり、と頭に拳を押しつける霞槻に一角は暴れるが、ビクともしない。
「怒んなよ」
「なっ…!?///」
耳にフッと息を吹き掛けられ、一角は顔を赤くして耳を抑える。
振り返るとニヤニヤ笑う霞槻が視界に入り「くっそ…」と呟くしかなかった。
END 試合