各々の幸せ
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Ver 雪代縁
ワイワイ、ガヤガヤ…
賑わいを見せる街並みを、紅杏は眺めていた。
(まだかな…)
待ち人が帰ってこない。
少しムッとしながら外を眺めていると、部屋の扉が開いた。
「ただいま」
「おせーよ」
帰ってきた縁に悪態を吐くと、縁はうっすらと笑った。
「その笑い方もやめろ」
「はいハイ」
近寄ってきて抱き締めてくる縁にそっと凭れる。
「仕事終わったのか?」
「終わったヨ」
花魁を辞め、縁と共に南の地へやって来ていた。
そこで貿易商を営む縁を、紅杏は支えていた。
「飯は?」
「まだだよ」
「ん、出来てるぜ」
紅杏は食事の用意をしようと立ち上がるが、縁は離れない。
「縁、離れないと準備出来ないぞ?」
「今は紅杏に引っ付いておきたイ」
「ん…」
そう言って口付けてくる縁に身を任せる。
縁の眼鏡を外すと、傍らの机に置いた。
「縁」
「ナンダイ?」
「今幸せか?」
これまで何があったのか全てを聞いた紅杏は、そう問い掛けた。
姉の事も、何もかも、聞いたのだ。
「幸せだよ?姉さんも…紅杏も笑ってるからネ」
その答えに、一瞬不安そうにしたものの、紅杏は笑った。
「ならいいや」
「可愛いネ」
「…うっせぇぞ」
縁はニィっと笑うと、紅杏の額に口付けた。
「飯にすんぞ」
「わかったよ」
笑った縁につられ、紅杏も笑った。
(ご飯はナンダイ?)
(味噌汁とか味噌汁とか味噌汁とか)
(…そう)
(…頑張って覚えるから待ってろこの野郎)
縁END
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