花魁少年
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ここは…
ワイワイガヤガヤと賑わう吉原遊廓…
から随分と離れた場所にある、ちょっと変わった遊廓。
「おはようございます、杏様」
「おはよう、胡桃」
杏と呼ばれ、振り返ったのは、黒く長い髪と藍の瞳が綺麗な人。
胡桃と呼ばれた
「胡桃?」
「あ、すみません//」
慌てる胡桃に微笑み、杏は鏡の前に座った。
「胡桃、朝は少し出かけるので髪を上で結ってもらっていいですか?」
「はいっ!!!」
胡桃は元気良く返事をすると、櫛を手にとった。
「今日も賑やかでござるなぁ」
「そうね」
町を歩く4人組。
「よーし、いっぱい食うぜ!!」
「お前、ちゃんと金出せよな!」
緋村剣心・神谷薫・明神弥彦・相楽左之助の4人だ。
「赤べこに行くのも久しぶりねぇ」
「確かに、久しく行ってなかったでごさるな」
呑気に話す薫と剣心を挟んで、弥彦と左之助は騒ぐ。
もちろん、薫の顳には青筋が浮き出ており、苛立ってるのがわかる…が、そんなことに気づかない2人の口論はヒートアップしていき、ついに薫はキレた。
「うっるさいわねぇ!!!!!!」
町中で叫び、注目は当然集まる。
人々の視線に気付き、薫は恥ずかしそうに頬を赤くした。
その光景を見て、苦笑する剣心の耳に、クックックッ…と少し堪えた様子の笑い声が聞こえてきた。
「おろ?」
なんの声だと振り返ると、1人の青年が立っていた。
「あー可笑しい。怒ったあんたが一番五月蝿いのに」
ほんとに可笑しそうに笑う彼に、薫は腹が立った。
「ちょっと!何時まで笑ってるのよ!」
「あぁ、悪い悪い。謝るからそんな怒るなよ、お嬢さん」
「ぷっ…」
「お嬢さんて…」
肩を震わせて笑う弥彦と左之助。
薫はすかさず2人を殴ると、青年を見た。
黒く、長いであろう髪を高い部分で結い、藍の瞳はどこか神秘的にも見えた。
「拙者の名は緋村剣心。そなたは?」
「俺?」
青年は自分を指差した。
「そうでござる」
剣心はそう答えながら、不思議な事を考えていた。
(なぜ拙者は彼の名を?)
疑問に思ったが、聞きたいのだ、彼の名を。
「俺の名は…紅杏」
「紅杏殿でござるか」
剣心は笑った。
「俺は明神弥彦!」
「相楽左之助」
「…神谷薫よ」
それぞれ名を告げた。
薫の顔がほんのり赤いのは、紅杏が笑ったからだろう。
「次々名乗っちゃてるけどさ、なに?俺と友達にでもなりたいの?」
少し棘のある言い方に、誰もがムッとしたが、紅杏の頬がほんのり赤いのを見て、照れ隠しでそんな言い方をしたのがわかった。
「そうだよ!」
「!!!」
弥彦が紅杏の表情に自分もつられて赤くなりながら、そう言った。
「そっか…ありがとよ」
紅杏はそう言いながら、左之助を見た。
「なんだ?」
「お前、妙さんに付けばっかしてるだろ」
「な、なんでそれを…!!」
「俺は赤べこの常連なんだよ」
ニィっと笑った紅杏に、思わず見惚れる。
「あ、やべぇ!!」
紅杏は懐中時計を見ると、慌てだした。
「俺、戻らないと!」
「戻る?」
「あぁ!!じゃあな」
紅杏は走り出す。否、走り出そうとした。
「な、なんだよ」
紅杏の腕を左之助が掴んでいた。
「お前…次いつ会える?」
「はぁ?次?」
「そう、次」
紅杏はジッと、何かを考えた後、山の方を指差した。
「あっちにさ、建物あるの知ってる?」
「建物?」
弥彦がうーんと頭を捻る。
しかし、剣心と左之助はその建物がなにかわかった。
「お二人さんはわかったみたいだね」
「え?ほんとなの?」
薫の言葉に、剣心は苦笑いするだけだった。
「俺に会いたいなら…ソコまでおいで」
紅杏はニッと笑った。
「なんでもありの、町外れの遊廓へ」
悪戯に笑った彼が、妖艶に見えた。
END 花魁・少年