各々の幸せ
名前変更
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ver 斎藤一
「では、斎藤君。向こうに行ってもよろしく頼むよ」
「…はい」
相変わらず、煙草を吸いながら彼は長い廊下を歩いてたいた。
これから行く場所は北の肌寒い土地。
出発前に買った防寒着などが詰まった鞄を乱暴に持ち上げると、外に停まっていた馬車に足を進める。
扉を開ける従者に鞄を渡し、斎藤は中に乗り込むと、煙を吐き出した。
(来なかったか…)
己の元に、奴は来なかった。
自分が思っていたよりもショックを感じている斎藤は何時までも扉が閉まらないのに違和感を感じた。
「おい、何をしている」
「すみません、もう少し待っていただいてよろしいですか?…あ、君、早く早く!」
誰を呼んでいるのか。
自分以外はこの馬車に乗らない筈だ。
「すみません、お待たせしました」
外から聞こえた声に、斎藤は片眉を上げた。
「どうぞ」
従者の声の後に乗り込んで来たのは、笑みを浮かべる紅杏だった。
「お前…」
「遅れてすみません、一さん」
紅杏が斎藤の前に座ると、馬車は動き出した。
「………」
「そんな無言で睨まないで下さいよ~俺だって早く出ようとしたのに、胡桃と爺が離してくれなくて、うわっ!!」
紅杏が弁解していると、斎藤にギュッと抱き締められた。
「一さん?」
「……俺を待たせるな阿呆が」
悪態を吐く斎藤を抱き締め返し、紅杏は笑った。
「悪いって…そんなに怒るなよ~」
斎藤は紅杏の顎を掴むと、目を覗き込む。
「んっ…」
直ぐに噛み付くようなキスをされ、紅杏はキュッと目を閉じた。
「一さん…」
「何だ」
「一、好きだ」
「!?」
「俺を傍に置いて」
そう言って斎藤の首に抱き付いた。
「当たり前だ、阿呆」
斎藤の言葉に紅杏はククッと笑い、頬に唇を落とした。
(ちょ、何服脱がして…)
(港に着くまで時間はある)
(っ…この阿呆!!!馬鹿!!!)
斎藤END