花魁少年
名前変更
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「………は?」
「ですから…身請けの話が来ています」
「誰に?」
「紅杏様にです」
爺の言葉に紅杏は目を見開く。
「俺に…?」
「はい、しかも1つではなく…7つ程同時に」
「はぁ!?」
驚きに声を荒げると、爺は落ち着かすように紅杏の背を撫でた。
「悪い…てか、その話は本気か?」
「はい」
頭が痛くなり、思わず手を当てた。
身請けの話は別に今回が初めてではないが、7つも一気に来たのは初めてだ。
「因みに…誰だ」
「はい…斎藤様に四乃森様、志々雄様に瀬田様に雪代様、緋村様に相楽様です」
(よりにもよって…)
なんて厄介な7人だ。
頭がますます痛くなる。
「その話はいつ?」
「たった今です」
「………今?」
頷いた爺に嫌な予感がし、立ち上がった。
「今って…事は…」
紅杏の言いたい事がわかった爺は頷いた。
「やべっ!」
紅杏は走り出した。
(やっぱり…)
入口へ着くと、そこにはいがみ合う様に立つ7人の男達。
この7人が互いに関係ある事をなんとなく知っていた紅杏は頭が痛くなった。
「何故貴様がいる」
「お前には関係ない」
「あれ?志々雄さん、由美さんと出掛けたんじゃ…」
「そういうお前は買い物に出掛けたんじゃねぇのかよ」
「ココで会うとはね」
「縁…」
「てか、何なんだお前ら?」
面々は口々に話をしており、紅杏には気づいてない。
追い付いた爺がいつの間にか隣に立っていた。
「先程、次々と現れまして…」
それからこのような事態に…
爺の言葉に溜め息を吐き、紅杏は7人に近付いた。
「あの~皆様?」
振り向いた7人に杏の笑みを向けた。
「他のお客様のご迷惑になります故…」
どうぞ、と遊廓の奥に誘った。
「え~皆様、来ていただいてありがとうございます」
杏はとりあえず頭を下げた。
「今回は皆様から身請けの話を頂いたみたいで…その…私を、俺を身請けしたい、との事でよろしかったですか?」
「あぁ」
「………皆様に確認ですが、私は男ですよ?」
「知っている」
あぁ、そうですか…
痛くなる頭を抑え、前方の7人を見た。
「でしたら…身請けの話はお受けします。が、勿論私は1人しかいません。ですから…考える時間を下さい」
「勿論ですよ」
「1日で決めな」
「志々雄さん!」
宗次郎は志々雄の服を掴んだ。
「なら、1週間、1日交代に俺達と過ごしてから決めたらいい」
縁の言葉に剣心と左之助は顔を見合せた。
「それがいいで御座る」
「だな」
「あの、ちょ…」
勝手に進む話に杏は困惑したが、ふぅと笑った。
「では、そうさせて頂きましょう。皆様と過ごした後…手紙をお一人に届けさせて頂きます。そのお手紙が届いた方と、私は…俺は…これからの人生を過ごしたい」
紅杏が顔を上げると、7人は頷いた。
「では、明日…貴方のもとへお邪魔します」
杏はそう言って微笑んだ。
END 身請け