花魁少年
名前変更
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「ヤア、久しぶりだね」
「お久しぶりです、雪代様」
下げた頭を上げると、窓際に座っていた男、雪代縁はムッとした表情で此方を見ていた。
「呼び方が違ウ」
「…!失礼しました、縁様」
杏がそう言い直すと、縁はニィっと笑い手招いた。
杏が大人しく近寄ると、縁は力強く抱き寄せた。
「会いたかっタ」
随分と彼とは会っていなかった。
分からなくなる程ではないが、それでも随分と長い間…
「どこで何をしていらしたのですか?」
「君二言っただろ?普通の男になって戻っテくると」
確かに、彼は最後にそう言ってしばらく姿を消した。
「全て…終わらせたのですか?」
「そうだよ」
嬉しそうにニコニコ笑う彼に、杏も笑う。
「全部…終わったンだ」
杏の頭を撫でながら、縁は呟いた。
「求めていた答えは得ましたか?」
「いいや…厳しい答えガ返ってきタよ。でも、不思議と気分は悪くない」
前よりも幾分か優しくなった表情。
杏はその頬に触れた。
「貴方の愛しい人は、微笑んでくれましたか?」
「…わからないナ。でも、今は君が微笑んでくれタらいい」
子供のように、胸元に頭を擦り寄せてくる彼を撫でる。
「ふふっ…私に笑って欲しいなんて、面白い事をいうのですね」
本当に可笑しそうに杏が笑うので、縁は何とも言えなくて口付けをした。
「君は俺の言葉ヲ信じてないね」
「何を言われますか…ちゃんと、信じてますよ?」
顔を両手で包み、ニコリと微笑む。
「縁様は私の言葉を信じて下さらないのですか?」
少し寂しそうな表情で視線を逸らすと、縁はゆっくり起き上がった。
「そんな訳ないサ」
ニタァっと笑う彼にふふっと笑った。
「さて…会えなかった分、君を感じたイ」
ゆっくりとした動作で服を脱がしにかかる縁。
杏は縁に体を預け、微笑んだ。
ふっと、目が覚めた。
体の節々が痛む。
(くっそ…激しすぎなんだよ)
どれだけ抱かれたのかも分からない。
隣ではすやすやと眠る縁。
一瞬、脳裏に同じように激しく抱いてやろうかなんて考えが浮かんだが、子供のように安心しきった表情で眠る彼を見ていたらそんな気も失せる。
1つ溜息を吐くと、そっと縁の髪を撫でた。
撫でた手にすり寄ってくる縁にフッと笑みを零し、彼が起きるまで待った。
END 客その肆、傷つきし男