獣達の世界
名前変更
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途中、走っている事を怒られたが気にせずに図書室へと到着すると、流石にソッと中へ入った。
キョロキョロと中を見渡していると、目的の人物は思った通り図書室へいた。
「風魔先輩、こんにちは」
声をかけると、風魔はコクリと頷いた。
向かいへと座ると、スッとアクセサリーを出した。
「これ…やっぱり受け取れません」
「…その割には、捨てなかったんだな」
「風魔先輩、自分の事ちゃんと理解してますか⁉翼主は珍しいんですよ!もっと自分を大事にしてください。適当に捨てて悪用されたら…どうするんですか……」
図書室なので小声で風魔に言い寄ると、風魔はキョトンとした後雅の頭を撫でた。
「心配…ありがとう」
そう言って微笑むと、風魔はアクセサリーを自分のポケットへと突っ込んだ。
風魔の笑みをまたもや目の前で見た雅は、「うっ…」と顔を赤くして少し距離を取った。
「ご理解頂けたならよかったです……それじゃあ、私は行きますね」
そう言って立ち上がろうとすると、手を取られる。
「…先輩?」
不思議に思って風魔を見ると、風魔も立ち上がり、奥へと連れて行かれる。
(え、ちょっ…)
なんなんだと不思議そうに見ていると、いつも自分が座っている奥の席へと連れてこられる。
風魔はそこへ着くと、壁の前へと雅を立たせた。
「先輩…?」
不思議に思って雅が風魔を見上げると、髪の隙間からこちらを見下ろしていた風魔と目が合い、その距離は近くなった。
あっ…と思った時には、距離はゼロ距離になっており、頬には何か触れていた。
「へっ……?」
一瞬の事で初めは理解できなかったが、まだ至近距離にある風魔の顔を見てジワジワと顔が赤くなる。
(も、も、も、もしかして…)
今、触れたものって…
混乱する雅に、風魔は笑う。
「お前が…アレを持つのも捨てるのも嫌だというならば、直接…虫除けをさせてもらう」
「へ、あ、ちょ…」
流石に抵抗しようと思い、風魔の胸に手を当てるが、優しく捕まえられた手は壁へと縫い付けられる。
(力が篭ってないのに…振り払えない…)
何故なのかはわからないが、自分の手首を優しく捕まえるこの手を振り払えない。
雅が目をぐるぐるさせている間にも、先ほど頬に触れたもの…風魔の唇は顔中に優しいキスを降らせていた。
そして気付いた、この人は直接自分の匂いを私に付けようとしている…と。
風魔の真意に気付いた雅がグッと手に力を入れるとその拘束は簡単に解かれた。
「ふ、風魔先輩!ダメですよ…!私を守ろうとしてくれているのは嬉しいですが、やはり…こ、こういった事は…好きな人としてください」
頬を赤くしながらそう言った雅に、風魔はフッと笑みを溢し頬へと手を添える。
「言っただろう?……前から気にしていたって。俺が望んでしている…お前を……俺のモノだと周りに牽制したくて、ワザとこうしている」
「ひぇ……」
至近距離でそう言った風魔に、情けない声が溢れる。
「それに…これでもかなり気は使っている」
「いや、気を使っているならこういう事は…」
「そもそも、お前を狙っている奴は此処には多すぎる………前から」
「いや、そんなにいないと…」
「本当ならば今すぐにモノにしたいが、お前の気持ちを尊重したい……だから、少しずつ俺に絆されてくれ」
話しながらも顔中にキスを降らせる風魔は“今すぐモノにしたい”と言った時にスルリと雅の腰に手を回しグッと引き寄せた。
流石にそこまでされて意味がわからない訳ではない雅が大パニックに陥っていると、「あっ…」と風魔の声が聞こえたと同時に羽ばたきが聞こえた。
「…ふっ、出てるぞ。魂現」
「⁉」
風魔に言われて深呼吸をして心を落ち着かせると、ゆっくりと目を開ける。
恐る恐る下を見ると、自分の物と思われる羽が落ちていた。
(あーーーーーー)
キャパオーバーでやってしまったのだと気付くと、風魔が羽を拾う。
「これは…貰っておこう」
「えっと…何故?」
不思議に思い問い掛けると、グッと腰を引き寄せられて今度は唇に先程まで感じていた柔らかいものが触れた。
驚きで目を見開いていると、至近距離にあった風魔の顔が離れた。
「好いた相手の物は、取っておきたくならないか?」
そう言って風魔は笑うと、雅の腰から手を離した。
「そろそろ予鈴が鳴るな…これからも気を付けろよ」
ポンと風魔は雅の頭を撫でると、その場を離れていった。
残された雅は真っ赤になった顔を抑えると、ズルズルとその場に座り込んだ。
暫く惚けていたが、予鈴がなったと同時に正気に戻って教室へと急いだ。
少し遅れてしまったが先生はまだ来ておらず、助かったと自席についた…が、とても気まずい。
(痛い、とても痛い、視線が痛い)
かすがちゃんと真田君の視線が激しく痛い。
「遅れてすまんなぁ~!」
ガハハと効果音が付きそうなくらいの笑いをあげながら入ってきたのは島津先生で、皆がそちらに気を取られたのを感じ雅はホッと息を吐く。
教科書を開くが、正直言って勉強どころではなかった、なぜなら…
(物凄く、風魔先輩の匂いがする)
自分から香る風魔の匂いに、雅は頬が熱くなる。
再び惚けてしまうのを防ぐために首を振って頭を切り替えると、目の前の授業に集中した。
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