獣達の世界
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(前から気にかけてたってどういうこと……?)
教室に着いてからかすがちゃんに何か言われたり、周りの斑類から物凄く見られていたがあんまり気にはならなかった。
(真田君の婚約発言すら整頓できてないのに、風魔先輩まで爆弾落としてきてどういうこと……?)
ただでさえ疲れるような出来事が起きてるからこれ以上はどうかご勘弁願いたい。
というか、慶次も真田君も風魔先輩も……変え魂してた私に対して好意的に思ってたって事だよね……?
この学校の重種は大丈夫なのか……?
1人で色々と考えていると、おい!という声とともに肩を掴まれた。
「聞いているのか!」
「はっ、はいぃ⁉」
ビックリして肩を掴む主を見ると、こちらを見つめるかすがだった。
「もう昼だぞ」
「……え?」
そう言われて時間を見ると、確かに昼休みに入っていた。
「ずっと深刻な顔して…どうした?」
「あ、いや…」
「……まあいい、色々と聞きたいことがある」
一緒にお昼を食べようというかすがに頷き、お弁当箱を手にして立ち上がった。
かすがについて行くと、そこは美術室だった。
「美術室?」
「教室や屋上、中庭だと邪魔が入るかもしれないだろう?謙信様に恐れ多くもこの教室を借りたのだ」
なるほど、と頷くと外に誰もいない事を確認してかすがは教室の鍵を内側からかけた。
適当な席に座ると、お互いにお弁当を広げて食べ始める。
「さて…」
食べながら口を開いたかすがに視線を向ける。
「まず、昨日の放課後。伊達と喧嘩をしたとは本当か?」
「うっ…もう耳に入ってたんだ」
「当たり前だろう。猿飛がこの学校にいる限り嫌でもすぐに耳に入る」
あの新聞部めと悪態を吐きたくなるのを我慢して視線を少し逸らす。
「あの~…」
「どうなんだ?」
「えっと…はい、伊達君と喧嘩しました…」
「原因は?」
「品定めされてるのが…ムカついて…」
「品定め?」
雅の言葉におかずを口に運ぶ手を止めたかすがは、伏せていた目を雅に向けた。
「どういう事だ?」
「えっと…」
何があったかを話すと、かすがの表情は見る見るうちに鬼の形相になった。
「アイツ……私が殺してやる!!」
「落ち着いて!かすがちゃん!」
今にも駆け出しそうなかすがを捕まえてなんとかその場に押さえつける。
「ちゃんとやり返したから!大丈夫だから!!」
そう言い聞かせ、かすがをなんとか落ち着かせると雅もふぅと息を吐いて椅子に座り直した。
「……次はない」
怒るかすがに「あはは…」と笑い、お弁当を食べ進める。
「…次だが、真田が改めて私に対して『雅の事は本気だ、改めて弁明をした』と伝えてきたのだが、弁明とはなんだ?」
「あぁ、そのことか…」
その事ならかすがも怒らないだろうと思い、昨日聞いた話をする。
それを聞いたかすがは箸を動かす手を少し止めたが、再度動かす。
「……まあ、真田は猿飛と違い嘘がつけないタイプだ。意外ではあるが…私達は本能的に相手を見つける事が多い。真田の本能がお前だと告げて気になっていたというならば…それを否定する事はしない」
「う、うん」
猿飛先輩はそこまで嘘つきなのかと気になったが、何も言わずに頷いておいた。
だって、かすがちゃんの顔が凄く怖かったんだもん!
「さてと…」
お互い、話しながらも食べ終わったお弁当。
空になったお弁当箱を片付けていると、先程よりもとても真剣な表情でかすがは雅を見つめていた。
「か、かすがちゃん…?」
「伊達の事も真田の事も聞きたかった事には間違い無いが…私が1番聞きたかった事ではない」
「え?違うの?」
頷くかすがに、頭の上にハテナを浮かべる。
「今日、雅が教室に来た時から凄く気になっていたのだが………なぜそんなに風魔の匂いがしている?」
「……へっ?」
かすがの言葉に、雅が固まる。
(風魔先輩の…匂い?)
何を言っているのか分からなくて考えていると、フと思い出した。
「多分…これかも」
どうするべきかと悩んで持ってきた、羽飾り。
かすがは雅が取り出した羽飾りを見て、眉をひそめた。
「どういう事だ?」
「いや、実は今朝ね…」
そう言って今朝の事を話すと、かすがは溜息を吐いた。
「理由は分かったが…わざわざ持ってこなくても…」
「だって!翼主って珍しいんだよ?そんな人の匂いがするもの置いてたら…悪用されるかもしれないじゃん」
「それはそうだが…」
かすがは再度溜息を吐いた。
「ただでさえややこしい事になっているのに、そんなものを持っていたら…余計に面倒な事になるぞ」
「え?なんで?」
「なんでって…お前は今、各所から目を付けられている。更には真田のように真剣に思っている者がいる。そんな奴らからしたら…想い人が突然他の奴の匂いをさせていたら…いい気分ではないだろう?」
真剣に言うかすがの言葉に、確かに…と頷く。
実際に、私ならば嫌だ。
雅は少し考えた後、残りのお弁当を勢いよく食べ進める。
「ど、どうした急に」
「……よしっ!」
雅はお弁当箱を片付けると、立ち上がる。
「これ、風魔先輩に返してくるね!」
「え、ああ…っておい!」
1人で動くな!と後ろでかすがは叫んでいたが、雅の耳には届いておらず風魔がいるであろう図書室を目指して走り出した。
→