獣達の世界
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小学生最後の年、事故に合って一命を取り止めた私の世界は一変した。
今まで人だった者が動物に見えるようになったり、色んな人から好かれたり(狙われたり)
おばあちゃんは、そんな私を守る為に様々な事を教えてくれた。
抑え方、隠し方、混ざり方、見極め方、守り方。
それらを練習しながら、私が身を置くことになった世界の話をしてくれた。
斑類の世界。
進化の過程において、猿以外の動物の特徴を持ったままヒト型に進化した、動物のDNAが「斑覚醒」している人類。
そんな人類が生きてるのが、斑類の世界らしい。
私が急に人が動物に見えたり、好かれたりするようになったのかとの理由はその斑類が関係しているらしい。
どうやら、先祖返りというものをして斑類の世界に足を踏み入れたそうだ。
おばあちゃん曰く、先祖に斑類がいる場合に隔世遺伝で先祖返りをする者がいるみたいだが、希少も希少らしい。(うちの両親は斑類ではないが、おばあちゃんを含め更にご先祖には斑類がいたとのこと)
そんな先祖返りは猿人の繁殖力を持ち合わせてるから子供が生まれやすいとかウンタラカンタラ。
まあ細かい説明は置いといて、とりあえず私は先祖返りである事がバレるわけにはいかない身なのだ(狙われるから)
それ以外にも、どうやらご先祖の中でも力の強かった曽祖父の影響が出ているらしく、私は「翼主・重種・大鷲」の魂元を持っているらしい。
翼主は斑類の中でも全滅しているのではと言われており、こちらも希少度が高い。
そんな嬉しくない希少度の高い者になってしまった自分は、身を守らなければいけない。
おばあちゃんが教えてくれたイロハは、能力の、魂元の隠し方だった。
繁殖力の低い重種だけではなく、他の者からも狙われにくくする為に希少度の低いモノの皮を被るのだ。
そんな私は、政府からの試験もクリアして今は「猫又・軽種・三毛猫」として生きている。
そして、極力斑類が多い学校は避けていたのだが…だが………
(2年前の中学生だった私を殴りたい)
結城雅はそんな事を考えながら、2年2組の教室で日直の仕事の日誌を書きつつ、フとグラウンドを見た。
そこでは今日も野球部とサッカー部が小競り合いをしている。
ちなみに、蛇だったり虎だったり狐とかも見える。
(斑類ばっか…)
そう、この高校は斑類が多いのだ。
何も考えず近いからとこの学校を選んだ中学生の自分を本当に殴りたい。
もう一度溜息を吐くと、日誌を書き上げた。
「雅、書けたのか?」
教室の扉から声を変えてきたのは同じクラスの女子、かすがだった。
「うん、終わったよ」
雅はそう返事すると、書き終えた日誌と自分の鞄を手に立ち上がる。
ちなみにこのかすがちゃんも斑類だったりする。
確か狐だったかな?
「かすがちゃん、待ってくれてありがとう」
「ふ、ふん!別にお前を待っていたわけではない。偶々、他にすることがあって残っていただけだ」
頬を少し赤くしてそっぽ向くかすがのツンデレに今日も可愛いなと微笑みながら歩いていると、職員室へと着いた。
日誌を提出すると、今日は部活動の無いかすがと共に帰路に着く。
「危ない!!」
かすがと話しながら校庭を歩いていると、そんな声と共にサッカーボールがこちら目掛けて飛んできていた。
思わず目を見開くと、当たる前にそのボールは弾かれた。
「Are you OK?」
「う、うん。ありがとう伊達君」
ボールを受け止めてニイッと笑う男、伊達政宗に礼を言うと、その奥から誰かが走ってきた。
「す、すまぬ!怪我はござらぬか!」
赤い鉢巻を靡かせながら走ってきたのは真田幸村だった。
(蛇の目の重種に猫又の重種)
この学校でも人気の高い2人が揃えばまあ視線が集まるわけで、女子がきゃあきゃあと騒いでいる。
「大丈夫だよ、真田君」
「貴様ら!!危ないだろう!」
隣で怒り出したかすがをよしよしと諌めると、そそくさとその場から退散する。
私は斑類に極力関わりたく無いのだ、特に重種には。
まだ文句を言うかすがを引っ張りながら校門を出ると、ふうっと息を吐く。
(あー、転校でも考える?)
そんな事を考えながら、始まったばかりの2年としての生活が早く終わればいいのにと思った。
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