新生活・2日目
名前変更
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「いいか、車の中で絡繰りの事は説明したんだから、何事にも動じず、ちゃんとルールを守ってくれよ」
車を出る前に被った帽子を更に深く被り、少し大きいサングラスをかける。
「任せな」
政宗の返事を聞き、目の前のデパートを見上げ歩き出した。
自動ドアが開き、中に入る。
勝手に開いたドアに5人は一瞬肩をビクッと揺らしたが、何もなかったかのように後ろに続いた。
「さてと…」
5人を引き連れてとりあえず案内板のもとへ向かう。
このデパートは広く、店舗も多いため、毎回案内板を見ないとどこになにがあるか分からない。
(今日用があるのは…7階と3階に1階かな)
7階で服、3階で必要な日常生活品、1階で食材だ。
「とりあえず今から7階まで上がるから、エレベーターに乗るぞ」
「えれべーたー?」
「…動く箱」
溜息を吐きながらエレベーターのスイッチを押して、中に入る。
エレベーターに乗ると襲ってくるなんとも言えない感覚に5人は固まった。
その様子を面白そうに見ていると、7階に着いた。
「行くぞ」
エレベーターから降りると、ホッとした様子の5人を引き連れ、辺りを見渡す。
平日の朝も早い時間なので、人影はまだない。
「これならいいかな…」
朱雀はそう呟くと帽子とサングラスを外した。
その瞬間、店員達がざわめき出す。
その中から、一番近くにいた店員に近づく。
「ごめん、このデパートの総合支配人にさ、LuciferのSuzakuが7階を貸切にしたいってお願いしてる。って伝えてくれない?」
「は、はい!!」
店員は慌てて走り出した。
その様子を5人はポカーンと見ていた。
それに気づいて朱雀は頭にハテナを浮かべた。
「どうした?」
「いや、朱雀ってどっかの偉いさんだったんだと思ってね」
「…別に偉い訳じゃねぇさ」
「じゃあこの騒ぎはなんだ?」
慶次の言葉に苦笑を返すと、小十郎が尋ねてくる。
「えっと…なんか有名人らしくてさ、俺」
「らしくてって…どういうこと?」
「まぁ…それは帰ってからまた説明する」
ポリポリと頬を掻いた時、先程の店員が戻って来た。
「総支配人から、お好きに見て下さいとの事です!!!」
「ありがとうね。さて…」
くるりと5人に振り返る。
「お金は気にしなくていいからさ、好きな服選んできて。昨日貸したやつと似たような下着も。せめて10着ずつ位は選んでくる事。じゃあ、1時になったら集合。なにか質問は?」
スッと手を上げた慶次を指差す。
「1時って?」
まずは時計の説明か…と朱雀は溜め息を吐いた。
なんとか時計の説明も終わり、今5人はそれぞれ自分の気に入った店で服を物色中。
俺はというと…
「うわぁ…生で見たの初めて」
「格好いい…///」
「男の俺が言うのも気持ち悪いけど、抱かれてもいいかも…」
好奇の目でジロジロと見られて居心地が悪い。
時間潰しに必要な日常品など買いに行ったが、案外早く終わってしまった。
後30分ほど時間がある。
(あー、誰か戻ってこねぇかな)
くるくると髪の毛を弄んでいると、目の前に影が出来た。
「あの…」
女の子3人が顔を赤くしながら立っていた。
「なに?」
「
「そうだけど」
問いかけに答えると、女の子達はキャーキャーと騒ぎ出した。
「あの、ファンなんです!!」
「良かったら、サインとかしてもらえないですか?」
キラキラとした目で見てくる彼女達に視線を向ける。
「プライベートでサインとか写真は断ってる」
そう告げると、女の子達はシュンとうなだれた。
なんとなく、罪悪感に襲われ、口を開く。
「……握手で良かったら」
手を差し出して笑うと、女の子達もパァっと笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます!!」
黄色い声を上げる彼女達に気づいたのか、他の店員達も次々に集まってきた。
(嘘だろ…)
いつの間にやら周りを取り囲まれ、逃げ出せない状態に。
(だからファンサービスは嫌なんだよ)
小さく舌打ちをした時、急に誰かに腕を掴まれた。
「!!!」
驚いていると、視界が一転。
自分は先程の取り巻きから離れた場所に立っていた。
「大丈夫だった~?」
その声に振り返ると、そこにはニコニコ笑う佐助。
「…あんがと」
「どういたしまして~」
この際どうやって抜け出したのかは聞かないでおこう。
そう決めて周りを見ると、5人共揃っていた。
それぞれ籠を持っていて、言われた通りの数だけ服を入れている。
「皆選び終わったんだな」
「おう!戻って来たらなんか朱雀が囲まれててびっくりしたよ」
爽やかに笑う慶次に苦笑しつつ歩き出す。
「金払ってさっさと去るぞ」
「あぁ、だがこんなに買って金は大丈夫なのか?」
小十郎の言葉に、朱雀は頷いた。
「金ならいくらでもあるし、平気だ」
レジまでくると、先程支配人に連絡を頼んだ店員が立っていた。
「会計頼む。全部一緒に」
「はい!!」
「で、悪いけど家に配達してほしい」
「かしこまりました、では、こちらにご住所を…」
差し出された紙に住所を書き込むと、店員に渡す。
「じゃあ、悪いけどよろしく。支配人にありがとうって言っといて」
帽子を深く被り、サングラスをかけると、後ろの5人を見た。
「さて、食材でも買いに行くか」
朱雀がエレベーターを指差すと、5人は少し嫌そうな顔をした。
「さて、食材と言っても色々ある。野菜、肉、魚。とりあえずどれが見たい?」
「「野菜」」
「肉」
野菜と答えたのは政宗と小十郎。
肉と答えたのは佐助。
「じゃあ、野菜のある場所は向こう、肉はあっち。この籠に好きなだけ入れてきな。また後で迎えにいく」
それぞれに籠を渡すと、3人は去っていった。
「後の2人はどうする?」
「俺は酒が飲みたいねぇ」
「そ、某はその…甘味を…」
少し恥ずかしそうに言った幸村の頭をポンポンと叩いた。
「今は色んな菓子があるぞ」
ニィっと笑った後、あるコーナーを指差した。
「あそこ、いろんな菓子が置いてるから、行ってこい」
「あいわかった!!!」
「で、酒はあっち」
「りょーかいっと」
幸村と慶次はそれぞれ籠を受け取ると、去っていった。
(さてと…)
自分はどうしようかと考え、誰も魚コーナーに行ってない事を思い出した。
(魚…見に行くか)
そう決めると自身も籠を手に歩き出した。
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