新生活・2日目
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「おい、起きねぇか」
「んっ…」
肩を揺すられ、うっすら目を開ける。
「こんなところで、しかもこんな格好で寝てたら風邪をひくぞ」
どうやらそのまま寝てしまったみたいだ。
少し目を開くと、小十郎の顔が見えた。
「ん…こじゅろ…?」
「っ…//あっ、ああ、俺だ」
少し頬を赤らめた小十郎を見た後、壁にかかる時計に視線を移す。
「まだ5時じゃん…まだ寝る…」
「おいおい…真田なんか庭で鍛錬してるぞ」
先程から聞こえる声は幸村のだったのか、なんて思いながら小十郎に視線を合わす。
「小十郎…俺はまだ…寝るんだ」
「お、おいっ!!」
朱雀は小十郎の手を掴むと、そのままコテンとソファーに倒れた。
小十郎は溜息を吐いてギュッと握られた手を離そうと試みるが、中々離れない。
むしろ引き寄せられる。
(どうしたものか…)
小十郎は困ったように頬を掻いた。
「なっ…!!!」
その時突然第三者の声が聞こえ、そちらを見ると鍛錬を終えた幸村が顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。
上半身裸の朱雀、そんな彼に手を掴まれている小十郎。
なんとも近い2人の距離。
「は、は、破廉恥でござるぅぅうぅ!!!!!」
幸村には刺激が強かった(主に朱雀の裸が)
もちろん、起きてきた寝坊助武将と朱雀に幸村は怒られた。
「いいか、俺は別に規則を作るつもりはない。だが、1つだけ敢えて作る」
「はい…」
「俺が起きるまで騒がしくするな」
「あいわかった…」
着替えて小十郎と佐助が作ってくれた朝食を食べながら幸村を怒る。
(ちなみに朝食は和食でとても美味い)
怒られた幸村はシュンとうなだれながら、ご飯をもそもそと食べていた。
そんな幸村を見て朱雀は1つ溜息を吐き、幸村の頭に手を伸ばした。
びくりと肩を震わし、恐る恐るこちらを見てくる幸村に何故かシュンと垂れ下がる犬耳が見えた。
あれ、幻覚が…なんて思いながら、口を開く。
「幸村、次から気をつけれるな?」
「勿論でござる!!」
「なら、何時までもうじうじするな。折角の美味い料理が不味くなる」
少し微笑み頭を撫でて、もう怒ってない事を示すと、幸村はみるみるうちに笑顔になった。
(ついでに犬耳がピンと立った気が)
「ほら、いっぱい食べろ」
「あいわかった!!!」
朱雀がそう言うと、幸村は急に元気を取り戻し、ご飯を食べ始めた。
そんな微笑ましい光景を皆が微笑みながら見る中、政宗がボーっと眺めていた。
「さて、買い物に行こうと思う」
「おっ、外に出るんだな」
ウキウキとしだす慶次に笑い、5人を見る。
「とりあえず、現代の服に着替えてもらう。二階にある衣装部屋には様々なサイズ…大きさの様々な服がある。とりあえず、自分が気に入ったの選んでくれ」
そう言いながら皆を引き連れ二階へ。
部屋に着くと、5人にそれぞれ服を選ばせる。
「どれがいいかな~♪」
「佐助、これはどうでござるか?」
「旦那にそれは似合わないね~」
「小十郎、これなんかお前に似合うんじゃねぇか?」
「…そうですか?」
5人が服を選び終わるのを待ち、時計を見る。
まだ7時を回ったところだ。
後数時間、どうしようか考えていると、服を選び終えた5人が近づいてきた。
「選んだらそれぞれ着替えて下のリビング、居間に集合。服の着方はなんとなく察する事。解散」
そう言うと、5人は部屋を出て行った。
「あ、忘れてた」
政宗のあの眼帯をどうにかしないと。
一度物置に移動すると、薬箱を開ける。
(あった…)
医療用の眼帯を取り出し、廊下に出る。
それぞれどの部屋にいるのかは今朝聞いた為、政宗の部屋を目指す。
部屋に着くとノックをして、声をかける。
「政宗、入っても大丈夫か?」
「Ah?別にいいぜ」
返事が返ってきたので扉を開ける。
そこには既に着替え終えた政宗がいた。
「中々似合ってる」
「Thank you。それより、どうした?」
不思議そうに見てくる政宗に眼帯を見せる。
「現代の眼帯に付け替えてもらおうと思って」
「っ…そうか」
政宗は一瞬辛そうな表情を見せた。
それに気づいて、朱雀は政宗の髪に触れた。
「何を恐れてる」
「…!!」
ビクッと政宗は肩を震わす。
「傷を見られるのが嫌、だからか?」
髪を撫でて、眼帯に触れる。
「不本意ながら、なんで政宗がこんな事になったのか、知っている」
「………」
「それぐらいで、俺は政宗を嫌いにならないけど」
朱雀の言葉を聞いた政宗は眼帯を外した。
現れたのは疱瘡に犯された傷痕、恐らく刀で傷を抉ったのだろう、いくつかの傷もあった。
一言で言えば、気持ち悪い傷痕。
「これを見ても同じ事が言えるか?この気持ち悪い傷痕を見ても」
こっちを見つめる政宗の目はまるで親に縋る子供のようだった。
「お前も母上の様に気味悪いと言って、俺から離れていくんだ」
幼き頃、母親に拒絶され深い悲しみを負った政宗。
朱雀は震える政宗に微笑んだ。
「言える。これは政宗が病気と闘った証拠だろ?もっと誇れよ。頑張った証なんだから」
髪を上げて傷を露わにする。
朱雀はなんの躊躇もなく口付けた。
「確かに傷痕自体は気持ち悪くないって言ったら嘘になる」
少し潤む瞳を見て、更に言葉を続ける。
「でも、俺が親ならさ、政宗を気持ち悪いなんて思わない。よく頑張ったなって、よく痛いの我慢したなって、俺は褒めてやるよ。病気したのって小さい頃だろ?小さいながら命のやりとりに勝ったんだ素晴らしい事じゃないか」
政宗は一瞬驚いた後、朱雀の服をギュッと握って胸元に顔を埋めた。
「よく頑張ったな」
朱雀がもう一度言葉をかけると、政宗は更に力を込めて服を握った。
「Thank you…」
少し震えた小さな礼に微笑んだ。
「皆着替え終わったんだな」
政宗と共にリビングに戻ると、着替え終えた4人が揃っていた。
それぞれ着こなしていて、うん…格好いい。
しかし、気になる事が。
「幸村はその赤い鉢巻を外して、佐助もその頭のやつ外してこっちのヘアバンド付ける」
2人とも、昨日風呂から出た時は外していたのに、何故かまた付けていたのだ。
「承知!!」
「はいよ」
2人とも大人しく外したり付け替えたり。
「さて、今から外に出るが、幾つかルールを作る」
「るーる?」
「規則だ」
1.騒がない
2.自分勝手に動かない
3.俺の言うことを聞く
「とりあえず、この三つは全員に共通して守ってもらう。で、最後に…佐助と小十郎は懐に物を忍ばせない」
朱雀の言葉に2人は目を見開いた。
「今は銃刀法というものがあって、武器なるものを持ってたら捕まるんだ。もし捕まったら…流石の俺でも助けれん」
「しかし、なにかあったらどうするんだ」
「めったにそのなにかは起きない。起きてもあんたら戦国武将に現代人は勝てやしないさ」
だから懐の物を出せ。
視線で訴えると2人は渋々何かを出した。
キラリと光る果物ナイフを見て朱雀は溜息を吐いた。
「ところで、なんで朱雀は2人が何か持ってるのに気付いたんだい?」
車に乗るため、駐車場に向かっていると、慶次が後ろから尋ねてきた。
「主を守る為、きっとなにか隠し持つと思ったから」
俺ならそうするし。
駐車場に着いて奥に置いているワゴン車に向かう。
「俺の横に1人、その後ろに2人、その更に後ろに2人って感じに乗ってもらう」
鍵を開けて扉を開き、後ろに振り返る。
「誰が横に座る?」
「俺だ」
「拙者が!!」
「俺様?」
「……」
「俺はどこでも」
5人のうち3人が名乗りをあげた。
政宗、幸村、佐助。
「………小十郎、横に座ってくれ」
「「「なっ!?」」」
「俺がか?しかし…」
「悪いが、俺がルールだ。それに…」
小十郎の耳元に口を寄せる。
「3人の中から1人選んで喧嘩されても困る」
「なら、前田でも良かったんじゃ…」
小十郎の言葉に朱雀は笑った。
「小十郎が多分一番安全なんだよな」
小十郎にそう言うと朱雀は残り4人を後ろに乗せた。
小十郎は少し笑うと、自身も乗り込んだ。
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