新生活
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「これは冷蔵庫、冷たい冷気で食物を保存します。これはここを押さえれば…このように火が出ます。これは炊飯器と言って米を炊きます」
食材を取り出しながら鍋の用意もし、米を洗う準備もする。
一通りの説明をした後、2人を見る。
「料理は出来ますか?」
「勿論だ」
「俺様も勿論出来るよ」
「なら良かった。俺は料理が得意じゃないので、野菜を切ったりするのは任せていいですか?」
「任せろ」
野菜を見て目を輝かす小十郎、肉を見て目を輝かす佐助を横目で見ながら米を洗い始める。
「ねぇ」
「はい?」
「なんで米炊くの?それに卵も結構あるみたいだし…なにか特別な事でもあるの?」
「あぁ…今は昔と違って米は主食で殆ど食べるし、卵も特別貴重な訳じゃないから簡単に手に入るんだ。それに飯は朝昼晩の三食ですし」
「便利な世になったもんだな」
野菜を切りながら、小十郎が関心したように言った。
「ね、もう1つ聞きたい事あるんだけど」
「なんですか?」
「なんで俺達に料理作るの手伝わそうと思ったの?」
ザク、ザクと野菜を切りながら、佐助は朱雀を見た。
「なんでって…出した料理一々毒味されたり疑われるのは苛々するから。こうやって自分で料理を作れば、毒は入ってないのわかるだろう?」
朱雀の言葉に、小十郎と佐助は苦笑いした。
「さて、米は後はほっといたら炊けるので、俺は一旦向こうに戻ります。慶次も風呂から上がったみたいですし」
そう言うと、朱雀はキッチンから出て行った。
残された2人は自分達の考えがバレバレだったのを複雑に思いながらも、黙々と野菜を切っていた。
リビングの方に戻ると、風呂から上がっていた慶次がテレビを見ていた。
水を持ち、彼に近づくと声をかける。
「慶次、水」
「おっ、ありがとな」
「髪乾かすからここに後ろ向きに座って」
「こうかい?」
水を渡して自分はソファーに座り、前に慶次を呼ぶ。
水を飲みながら自分の前に座った慶次の髪に触れた。
「今からドライヤーっていう髪を乾かす機械…昔でいう絡繰りを使う。ちょっとした音と熱風が出るから」
幸村に説明したときより丁寧に説明し、電源を入れた。
音に反応して肩に力が入ったが、すぐに力は抜けた。
「なんか気持ちいな、それ」
「そうか?」
「ああ。朱雀の手付きも優しいし…眠たくなる…な」
長い髪に丁寧にドライヤーをする。
そのうちに眠気で慶次の頭が揺れ始めた。
「慶次、もう終わったよ」
「えっ…?あ、そうかい?もうちょっとやってくれても良かったんだけどねぇ」
ポリポリと頭を掻く慶次に少し微笑み、ゴムを手にした。
「適当に結ぶがいいか?」
「もちろん」
長い髪を櫛で纏めると、そのままゴムで結んだ。
「はい、終わり」
「ありがとよ。ところで厠はどこだい?」
「(厠…はトイレのことか)そこ出てすぐ右」
慶次は場所を聞くと立ち上がってトイレに向かった。
それを見た後、ドライヤーを片付ける為にコンセントを抜いていると視線を感じた。
「「「「………」」」」
「………何か?」
さっきまでテレビを見てた2人も、キッチンから戻ってきた2人も、朱雀を凝視していた。
「Hey、朱雀」
「だから…なんですか」
政宗が動き、朱雀の前までくる。
「オレの名前を言ってみな」
「伊達さん」
言われたまま名を呼ぶと、政宗は眉間に皺を寄せた。
「No、政宗だ」
「………はぁ?」
訳が分からず、顰めっ面になる。
「call my name」
政宗はそう言うと、朱雀の膝の上に乗った。
「ちょ、なんすか」
「………」
ジッとこっちを無言で見てくる彼に、思わず溜息が出そうになる。
そこは我慢して、政宗の両肩を掴むと無理矢理膝の上から下ろして素早く立ち上がった。
「なんでそこまで名前に拘るのかわからないんだが…」
「それはっ…」
「俺と朱雀が仲良く名前を呼び合ってるのに嫉妬でもしたのかい?」
政宗の言葉を遮ったのは慶次だった。
図星だったのか、政宗は舌打ちをした。
「…それで?」
「…悪いかよ」
「別に悪くはない。ただ、俺にまだ警戒心を持ってる奴と親しく名を呼びあうのが嫌なだけだ」
朱雀は冷たく政宗を見下ろしそう言うと、立っていた小十郎と佐助に近づく。
「ご飯の順番が出来たのでしょうか」
「あ、あぁ…」
「ありがとうございます。慶次、運ぶの手伝ってくれないか?」
「あいよ」
朱雀は2人に軽く頭を下げた後、慶次とキッチンへ消えた。
残された4人は朱雀の冷たい視線を思い出した。
「まさかあんな目で見られるとはな…」
「政宗様…」
重い空気が漂う中、鍋と材料を持って朱雀が戻ってきた。
→